新年度になり、4月末〜5月末にかけて市町村などからいろいろな税金のお知らせが届きます。
不動産など固定資産をお持ちの方には固定資産税の納付のお知らせ、自動車をお持ちの方には、自動車税の納付のお知らせが届きます。
自営業の方や年金受給者の方で一定の収入(所得)以上の方には、これから6月にかけて住民税や国民健康保険などのお知らせなどが届きます。
では、年金生活者など一定の収入(所得)以下の方は、どうなるのでしょうか。
2023年3月22日には、エネルギーや食料品等の物価高騰の影響を受けた低所得世帯の支援として、1世帯あたり3万円の支援金を支給することが決定されています。
自治体にもよりますが、早くも申請についてのお知らせを公表するところが出てきました。
収入が「厚生年金や国民年金だけ」といった方の場合、こうした対象となる「住民税の非課税世帯」になるのかについて解説します。
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1. 住民税非課税世帯とは?
住民税非課税世帯とは、文字通り住民税がかからない世帯の方のことです。
一人の世帯ではなく夫婦や家族世帯の場合、全員に住民税がかからない世帯のことを指します。
収入や所得がわかりにくいものですが、収入は額面の金額です。
公的年金の場合は、公的年金等控除がありますので、所得税や住民税がかかりにくくなります。
(例)
所得税で考えると、年額240万円(年金月額20万円)の方の所得は次のように計算できます。
- 240万円 ー 110万円 = 130万円・・・雑所得の金額
- 130万円 ー (基礎控除+社会保険料控除、その他の控除) = ○○円
算出された金額に税額をかけると、所得税が計算されます。
年金月額が20万円の方であっても、控除が多くないと所得税や住民税は課税されます。
では、住民税非課税世帯の収入は、どのくらいなのでしょうか?
2. 年金生活者で住民税非課税世帯とは?211万円の壁
住民税には所得割と均等割があり、一定の所得以上の場合、所得割に加え均等割も課税されます。
つまり一定の所得以下であれば、均等割も課税されません。
障害年金や遺族年金はそもそもが非課税となりますので、これらの年金と国民年金(老齢基礎年金)だけを受け取っている方は、多くの方が住民税非課税世帯となります。
老齢厚生年金と老齢基礎年金を受け取っている方で、一般的に単身者の場合、年金収入で155万円以下、夫婦2人世帯では、年収211万円以下が住民税非課税世帯となります。
この211万円という金額ですが、地域により金額が違い、大都市であれば211万円、中核都市では203万円、それ以外の地域では193万円となっています。
また、配偶者の収入が155万円以下など、世帯主以外に配偶者の収入も影響しますので、詳細は住民登録している市町村にお尋ねください。
級地については、住民登録している市町村にお尋ねください。
上記の表では夫婦世帯の世帯主の金額を記載していますが、住民税非課税世帯となると、夫婦二人とも住民税がかかっていない状態でないと該当しません。
現役時に世帯主以外の方が高収入になっている場合、年金受給時に世帯主は非課税であってもその配偶者が非課税でなくなると、住民税非課税世帯には該当しません。
3. 住民税非課税世帯になると何が変わるのか?
住民税非課税世帯になれば、もちろんその年は住民税の納付がありません。
それ以外に、社会保険料(国民健康保険や後期高齢者医療保険、介護保険など)の支払い金額が安くなりますし、医療費の負担割合も変わります。
住民登録している自治体によっては、介護施設の負担が減るなど独自に負担が軽減されます。
NHKの放送受信料も、住民税非課税世帯で障がい者の方などは、申請をすることで全額免除や半額免除に該当することがあります。
他にも、臨時特別給付金など、住民税非課税世帯等を対象として給付金が支給されることもあります。
内容については毎年変わりますので、申請や手続きをしないとサービスを受けたり、受給できないことがありますので、必要な場合は申請手続きを忘れないようにしましょう。
4. 住民税非課税世帯のまとめ
住民税非課税世帯の場合は、いろいろなサービスを受けたり、支払いが少なくなるといったメリットがあります。
「住民税非課税になるように所得を下げましょう」と言っているわけではありませんが、所得が少ないのであれば、当然、生活もきつくなるのではないでしょうか。
収入や所得が少ない中で、生活するのは大変だと思います。
年金収入が少なくても、住民税非課税世帯になれば、税金以外にも公共サービスを少ない負担で使えるといったメリットがあるでしょう。
ただ、国や市町村の財政を考えた時に、給付金がこの先もずっと続くとは考えにくい点などを忘れないようにしましょう。
参考資料
香月 和政