新サービス「スマートEX」の影で「エクスプレス予約」が進化!
東海道新幹線で2017年9月30日からスタートする新サービス「スマートEX」の発表の影で、9月2日から「エクスプレス予約」のサービスが大きく進化しました。
これまで「エクスプレス予約」を使うには、「エクスプレス予約」で使えるJR東海の「エクスプレスカード」かJR西日本の「J-Westカード」の、いずれかのクレジットカードが必要でした。一方、JCB、三井住友VISA、アメリカン・エキスプレス、三菱UFJニコス、ダイナースクラブなどの一般カードは、「エクスプレス予約」とは年会費や割引額が異なる別の会員制サービス「プラスEX」の対象でした。それが今回「エクスプレス予約」に統合され、サービスが拡充されたのです(利用できるカードの詳細は下記のURLで確認してください)。
JR東海ホームページ
http://jr-central.co.jp/ex/guide/card.html
「エクスプレス予約」を利用するには、クレジットカードの年会費とは別に、年会費1,080円がかかりますが、割引率が大きく、通常期に東京・品川~新大阪間を利用すれば、たった1回の乗車だけで年会費分に相当する1,080円が割引されます。旧来の「プラスEX」は年会費は540円でしたが、割引額は東京・品川~新大阪間で510円でしたので、乗車する回数が多い人なら別々のカードを使い分けていることも多かったのではないでしょうか。
今回、一般カードでも「エクスプレス予約」が利用できるようになったので、筆者のように、クレジットカードの数を増やしたくない利用者、クレジットカードのポイントを1枚のカードに集中して貯めたい利用者にとって、待ちに待ったサービスになります。
「エクスプレス予約」の一般カード利用でポイント還元率が従来の2倍に!
筆者は、クレジットカードで貯めたポイントは、全てマイレージに交換し、無料航空券を発券することをメインに利用しています。これまでは、「エクスプレス予約」用のクレジットカードと通常利用しているクレジットカードの2種類にポイントが貯まることになり、管理が大変非効率でした。今後は、普段使っているアメックス(アメリカン・エキスプレス・カード)1枚で「エクスプレス予約」の決済管理ができ、100円の決済で1ポイント(還元率1%)貯めることができるので、エクスプレスカードを利用していた時(還元率0.5%)よりもポイント還元率が2倍にもなります。
※ただし、一般カード会員(プラスEX会員)は、グリーン車へのアップグレード特典はありません。
一般カードでも東京~博多間の予約が可能になった!
旧「プラスEX」は、東京〜新大阪間の予約しか使えなかったのですが、統合されて東京〜博多間でも使えるようになりました。これが、意外と助かります。つまり、アメックスでも山陽新幹線の予約が割安でできるようになりました。
※JR西日本のe5489でも山陽新幹線の割安予約はできるのですが、割引を受けるにはJ-Westカードが必要になります。
今回のエクスプレス予約の統合は、今までJR東海のクレジットカード決済を増やそうとしていた戦略の転換だと考えています。統合することで、筆者のようにJR東海のクレジットカードから離れる顧客も増えるでしょう。それよりも、エクスプレス予約の利用者を増やし、切符販売窓口、切符自動販売機の削減、そして、自社直売の売り上げ増を取ったのだと思います。
ただ、恩恵の大きい「プラスEX」のエクスプレス予約統合のアピールよりも「スマートEX」の広告の方が圧倒的に多いのは、「エクスプレス予約」会員がJR東海以外の一般カードへ流出するのを防ぎたいという思惑もあるかもしれません。
「エクスプレス予約」のこんなにもお得な割引制度(普通車指定席)
通常期に14,450円する東京・品川~新大阪間が「エクスプレス予約」を使うと、13,370円(1,080円の割引)になります。たった1回の利用で「エクスプレス予約」の年会費が捻出できるので、1年に1回、東京~新大阪間で新幹線を使う人には「エクスプレス予約」をお勧めすることになります。9月2日からは早期予約でさらに割引になる「早得商品」のラインナップもリニューアルされています。
たとえば、乗車日の21日前の予約でさらにお得になる「EX早特21」を利用すれば、東京・品川~新大阪間が11,000円(通常期で3,450円の割引)になります。金券ショップでの「のぞみ号指定席」の安値が13,360円ですので、もはや金券ショップを利用する意味もなくなるわけです。
他にも乗車日の3日前に予約すると土休日の「のぞみ号」の2名分から6名分の購入がお得になる「EXのぞみファミリー早特」もあります。東京・品川~新大阪間が大人12,340円(通常期で2,110円の割引)、小人6,160円(通常期で1,060円の割引)と、週末に複数で乗るときにお得な割引です。
この割引の「こだま号」版である「EXこだまファミリー早特」は平日にも利用でき、さらにお得な料金になります。東京・品川~新大阪間が大人9,900円(通常期で4,240円の割引)、小人4,950円(通常期で2,110円の割引)まで安くなるので、4時間かかっても、ゆっくり新幹線の旅を楽しみたいグループにお勧めです。
「エクスプレス予約」のこんなにもお得な割引制度(グリーン車)
普通車指定席でもグループ利用か早めの購入で大幅割引が受けられますが、グリーン車では、さらなる割引が受けられます。
通常の「エクスプレス予約」では、東京・品川~新大阪間のグリーン車利用の料金は18,140円(通常期で1,090円の割引)と、割引額は普通車指定席よりも大幅に悪いのですが、乗車日の3日前までの予約で乗車駅を朝6時~6時59分に出発する「のぞみ」と終日の「ひかり」が利用できる「EXグリーン早特」を使うと、14,400円(通常期で4,830円の割引)になります。ちょっと早起きしてのぞみ号に乗れば、通常の普通車指定席料金よりも安くグリーン車に乗れるのです。
こだま号で4時間かかっても良いからグリーン車でゆったり移動するなら、さらにお得な「EXこだまグリーン早特」11,200円(通常期で7,720円の割引)があります。これも乗車日の3日前までに予約という制限がありますが、大幅割引のため、上手く活用したいところです。
また、普通車指定席でも設定されているサービス「EXのぞみファミリー早特」は、グリーン車でも利用できます。乗車日の3日前までに2名分から6名分を予約すると、大人14,400円(通常期で4,830円の割引)、小人8,220円(通常期で4,040円の割引)になるのですが、土休日に限られるとはいえ、終日のぞみ号でも利用できるのがうれしいです。
夏休みに、のぞみ号のグリーン車でファミリー利用を見る機会が増えましたが、このような割引の仕組みがグリーン車利用の追い風になっていたのですね。
さらに「EXこだまファミリー早特」をグリーン車利用にすると、同商品の普通車指定席の料金にプラス1,000円で乗車することができます。大人が10,900円(通常期で8,020円の割引)、小人が5,950円(通常期で6,150円の割引)です。
ただし、通常のエクスプレス予約以外は、年末年始、お盆、ゴールデンウィークなど、設定の除外日があるので注意が必要です。
新サービス「スマートEX」は、こう使う!
このように、「エクスプレス予約」は、年会費1,080円がかかるにも関わらず、手持ちのクレジットカードも利用できる、お得感満載なサービスへと進化しました。
一方、「スマートEX」は、年会費は無料で、手持ちのクレジットカードと交通系ICカードが使える便利さはあるのですが、通常の予約では、東京~新大阪間の割引金額が通常期でわずか200円と、料金面でのメリットを全く感じないサービスなのが残念です。
しかし、「スマートEX」でも「エクスプレス予約」の早得商品がほぼ使え、その特長及び発売額は「エクスプレス予約」で設定されている早特商品と同じです。つまり、乗車日の3日前までに予定が確定することが多い場合は、「スマートEX」でも割引料金の恩恵を十二分に受けることができます。事前に乗車日と乗車時間を決められる人は、年会費のかかる「エクスプレス予約」ではなく、年会費のかからない「スマートEX」を使うことをお勧めします。
まずは、9月30日から年会費無料で交通系ICカードが使える「スマートEX」に登録しておきましょう。
中嶋 茂夫