8月29日の北朝鮮によるミサイル実験で為替市場は少なからず影響を受けた一方、米国株式市場ではナスダック指数が高値を更新しています。しかしながら9月3日には北朝鮮が核実験を強行するなど、今週の為替市場も北朝鮮問題を軸に動くことになりそうです。
先週の為替市場振り返り
8月29日の朝方に北朝鮮が発射したミサイルが北海道上空を通過し、北太平洋に落下しました。これを受け、ドル/円は円高が進み一時108.2円台にまで値を下げたものの、4月に付けた108.1円台の年初来安値は下回ることなく反転しました。その後は一転、急速に円安が進み、31日には110.6円台になるなど安値から2日間で2円以上の円安となりました。
また、先週は9月1日に8月米雇用統計の発表がありましたが、北朝鮮のミサイル発射による為替変動が先に生じており、指標発表直後こそ大きく上下に振れたものの、為替市場に新たなトレンドが発生するような値動きとはなりませんでした。
一方、先週月曜の寄付きから年初来安値を更新したドルインデックスは29日を底に反転。31日にはいったん先々週末終値の水準にまで上昇しましたが、その後は若干値を下げて週の取引を終えています。しかし、ドルインデックスが年初来安値を更新したという事実は重いと言えます。
ナスダック指数が高値更新、米株式市場は再度高値更新を狙う位置に
為替市場の周辺では、米国株式市場の動きが注目されました。これまで北朝鮮問題が発生する都度、下落に見舞われていたものの、先週のミサイル発射の影響は限定的でした。再度の上昇に向け動きを始めている中で、遂にナスダック指数が31日・1日と高値を更新するなど、ナスダック指数の強さが再認識される結果となっています。
また、ダウ平均、S&P500も最高値更新をうかがう値位置にいるため、今週の株式市場は再度高値更新モード入りするか注目に値します。ただし、3日の北朝鮮による核実験実施が金融市場にどのような影響を与えるのか、週明けの取引は注意したいところです。
今週の見通し
週明けの4日、米国はレイバーデイのため金融市場は休場です。また、今週は米地区連銀各総裁の会見およびドラギECB総裁の会見が予定されていますが、市場の関心は北朝鮮問題一色となる可能性もあります。
北朝鮮の核実験を契機に円高が進んだ場合、4月の最安値108.1円台を維持できるのか、それとも下ブレイクし、年初来安値を更新するのかが大きなポイントでしょう。108.1円台の下には105円台半ばまでサポート&レジスタンスが存在しておらず、108.1円台を割れると一気に円高が進む可能性があり、注意が必要です。
一方、年初来高値の更新を続けているユーロ/ドルが今後も高値更新を続けるかという点も気になります。先週はいったん戻しを入れた格好となっており、今週から再度上昇となるのか、それとも今週も下落が続くことになるのか注目です。
米株式市場では、ナスダック指数が高値更新し、他の指数も高値更新を狙える値位置にありますが、北朝鮮が核実験を行った今回、これまで以上の影響が生じる可能性には注意したいところです。ただし、先週のミサイル発射の際の影響は限定的であったため、市場に北朝鮮問題への慣れがある面も否定できず、レイバーデイ翌日の米株式市場の値動きは要注意と言えます。
まとめ
3日の北朝鮮の核実験がなければ、比較的穏当に終わると予想された今週の為替市場でしたが、にわかに騒がしくなっています。実質9月相場の最初の週と言える今週、果たして市場はどのような値動きを見せるのでしょうか。休み明け4日、レイバーデイ明け5日の値動きと、その後のトレンドを注視しつつ今週の市場に臨みたいと思います。
石井 僚一