仕事にも慣れてきた社会人2年目、もしかしたら、4月から少し昇給があったかもしれません。

しかし、6月の給与明細では「手取り額が減っている?」「どうして?」ということが起こるかもしれません。

その理由は、昨年の所得に対してかかる「住民税」が、6月から天引きされるからです。

今回は、6月が間近に迫る中、どのくらいの住民税が天引きになるのか、その目安も一緒に確認しましょう。

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社会人2年目は前年の所得に対し住民税がかかる

社会人1年目は、前年に所得がないため住民税はかかりませんが、入社2年目になると、前年の所得(社会人になった4~12月まで)に対してかかる住民税の支払いが発生します。

会社員の住民税は、6月から翌年5月までの12か月間にわたり、給与から天引きされ、納めることになります。

給与をもらう会社員や公務員の住民税は、原則給与から天引きされ納める「特別徴収」という方法になりますが、給与ではない自営業や個人事業主、フリーランスの住民税は、市区町村から送付される納税通知書を使い、納税者本人が住民税を納める「普通徴収」になります。

実際に負担する住民税はどのくらいになるのか

住民税は、「地域社会の会費」的な性格を有する税金で、教育、福祉、環境整備、ゴミ処理など、地方自治体による公共サービス提供するためのモトになり、毎年、1月1日にその市町村(都道府県)に住所を有している人が負担します。

住民税は、都道府県が課税する道府県民税と、市区町村が課税する市町村民税があり、どちらも、所得額に応じて負担する「所得割」と、所得額にかかわらず個人が等しく負担する「均等割」があります。

それぞれの負担は次のとおりです。

《所得割》

納税義務者の所得金額に応じて税額の負担が決まります。

住民税の所得割の税率は、一律市町村民税6%、道府県民税4%の合計10%で、以下の計算式で算出できます。

なお、自治体ごとに税率が異なる場合があります。

【所得割の計算式】

  • 税額=(前年の総所得金額等※1-所得控除額※2)×税率(10%)-税額控除額

※1「前年の総所得金額」は、給与や利子、事業などの収入から必要経費などを差し引いたものをいいます。

会社員や公務員などのような給与等の収入の場合は、年収から「給与所得控除額」を差し引いて算出します。

この給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて、次のように決められています。

給与所得控除額一覧

出所:国税庁「No.1410 給与所得控除」

※2「所得控除」は、所得税の額を算出する際、所得から一定の金額を差し引く項目で、扶養控除や生命保険料控除、社会保険料控除など15種類のものがあります。

所得控除のうち納税者の個々の事情に合うものを差し引くことで、税額計算上の所得を減らすことができます。

なお、住民税の所得控除に該当するものを確認したいときは、年末調整の結果が記された「源泉徴収票」を見るとよいでしょう。

《均等割》

市町村民税3500円、道府県民税1500円の合計5000円です。

このうち、年1000円(市町村民税500円、道府県民税500円)は、復興財源確保のため、2014(平成26年)度から2023(令和5)年度分までの間、負担金として引き上げられています。

自治体によっては、「森林づくり県民税」などのような超過課税が付く場合があります。

次は、実際の住民税の負担がどのくらいになるのか、給与所得者を例に試算してみましょう。

大卒入社2年目で天引きされる住民税は年間約9万1000円

入社2年目で天引きされる住民税を計算する前に、初任給の目安を確認しておきましょう。

厚生労働省による「新規学卒者の求人初任給賃金調査2023(令和4)年3月」では、次のとおりとなっています。

  • 大卒:21万円
  • 短大卒・専修卒:20万円
  • 高卒:18万100円

ここでは、大卒を例に住民税を試算してみます。

出所:東京労働局「学卒者の初任賃金」

●大卒の入社2年目の年収

大卒の場合の初任給は月額21万円。

4月〜12月の9か月間で「21万円×9か月=189万円」となります。

仮にボーナスが年間で3か月分支給された場合、「21万円×3か月=63万円」となり年収が「189万円+63万円=252万円」になります。

年収252万円の独身者の住民税を以下で計算します。

●《住民税を計算する際に必要な条件》

①年収252万円の給与所得控除額は83万円

②所得控除は「社会保険料控除:40万円」と「基礎控除:43万円」

①と②を所得割の計算式「(前年の総所得金額等※1-所得控除額※2)×税率(10%)」に入れると、「〔(252万円-83万円)-83万円〕×10%=8万6000円」になります。

  • 所得割:8万6000円
  • 均等割:5000円
  • 住民税合計:9万1000円

●納める住民税の目安は月7600円ぐらい

これより、6月からの天引きは約7600円が目安になりそうです。

上記の計算は扶養家族なし、生命保険料控除もなしという条件です。

扶養家族がいる方、生命保険に加入されている方などは、上記よりも住民税の負担は安くなります。

住民税の負担が重いと感じたら

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手取りが増えたと思ったら、住民税の天引きで減ることになり「がっかり…」ということもあるかもしれません。

そんなときは、生命保険料控除を確認したり、学生納付特例制度で猶予されている国民年金保険料を支払ったりしましょう。

15種類の所得控除のうちの「生命保険料控除」や「社会保険料控除」が適用になり、今後の所得税や住民税を節税できます。

参考資料

舟本 美子