日経平均は2万9000円台を維持し高値圏

前日の米株式市場でダウ工業株30種平均が下落したにも関わらず、日本株は堅調でした。米国では3月に地銀のシリコンバレーバンク(SVB)が破綻したことをきっかけに、金融システムへの不安が起こりました。影響は欧州へも広がりました。一時、リスクは限定的と捉える見方もありましたが、足元ではまた懸念が再燃しつつあります。

日本が議長国を務める主要7カ国首脳会議(G7サミット)が5月19~21日の日程で、広島で開かれます。米国では政府債務の上限引き上げを巡り議会での協議が難航しています。このままでは、6月にも資金繰りが行き詰まりデフォルト(債務不履行)になる可能性もあります。そうなると市場に大きな影響を与えます。一時は、バイデン大統領もG7広島サミットにオンラインで参加する可能性があるとされていました。現時点では広島に来る予定になったそうですが、大きな課題に直面していることは変わりません。

12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比8ドル89セント安の3万3300ドル62セントで終えています。この5日間で約370ドルも下げています。

今週、日経平均はどのような値動きになるでしょうか。日本株は足元では上値を狙うような動きとなっています。欧米の株式市場が不安定な動きを見せる中、金融システムや地政学のリスクを受けにくい市場と見られているようです。大手企業の決算発表も相次いでいることから、業績好調の銘柄も買われています。もちろん、楽観はできませんが、日本株が買われやすい局面であることは確かです。商いのほうも12日の東証プライムの売買代金は概算で3兆9587億円と活況になっています。3万円台を目指すような動きがあれば積極的についていきたいところです。

2022年8月17日の高値も突破

先週の日経平均の値動きをテクニカル面から振り返ってみましょう。前週は大型連休のため2営業日しかありませんでしたが、底堅い動きを示していました。先週はそれを維持できるかどうかがポイントでした。実際には、週初8日に陰線となり、その2営業日に上昇した分がそのまま下落してしまいます。しかし、その後は陽線となり、週末にはさらに上昇しました。

今後の展開はどうなるでしょうか。チャートの形はよくなっています。25日移動平均線、75日移動平均線、200日移動平均線が扇を開くように広がっています。これは典型的な上昇トレンドの形です。さらに、先週の上昇により、2022年8月17日の高値(2万9222円)も超えました。ここを超えると若干の節はあるものの、2021年9月14日の高値(3万795円)あたりが次の目標になります。3万円台回復が近づいていきました。

ただ、4月上旬から2000円あまり急上昇していることからいつエントリーすればいいのか悩むところです。「押し目待ちに押し目なし」という相場の格言もありますが、相場の地合いが強いことから、買ったとたんに値が下がりかねません。ただ、それでも、心理的節目となる2万9000円や25日線と重なる2万8500円あたりまでであれば、若干の調整があったとしてもホールドしておくというのも一つの方法でしょう。3万円超えのチャンスをしっかりとつかみたいところです。

参考資料

下原 一晃