厚生労働省によれば、2023年度の国民年金と厚生年金の年金額は以下の通り。

出所:厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」

令和5年度の国民年金と厚生年金の年金額

  • 国民年金(満額):6万6250円(新規裁定者。68歳以上の方は6万6050円)
  • 厚生年金はモデル夫婦(2人分の国民年金と厚生年金):22万4482 円

前年度より67歳以下は 2.2%、68 歳以上は1.9%の引き上げとなります。4~5月分の年金は来月に支給されますから、今から待ち望まれる方もいるでしょう。

ただし年金額はマクロ経済スライドにより、物価上昇ほどは上がっていません。物価高に対応するには公的年金だけでなく、貯蓄などが必要です。

では、今の60歳代、70歳代はどのくらい貯蓄があるのでしょうか。貯蓄ゼロを回避するための老後対策についても解説します。

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【注目記事】【60歳代世帯】貯蓄3000万円の羨ましい世帯は何割か「円グラフ」で確認

1. 60歳代「貯蓄ゼロ」世帯の割合は?平均や中央値も確認

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)各種分類別データ」によると、60歳代の貯蓄は以下のとおりです。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

1.1 60歳代・二人以上世帯の貯蓄(平均と中央値)

  • 平均:1819万円
  • 中央値:700万円

60歳代のより実態に近い貯蓄は700万円でした。

上記を見ると、貯蓄ゼロ世帯と3000万円以上の貯蓄を保有する世帯が約20%あります。

経済的に余裕のある世帯と困窮する世帯に分かれており、60歳代で経済格差が激しいことが分かります。

2. 70歳代の「貯蓄ゼロ」世帯の割合は?平均や中央値も確認

同調査より70歳代の貯蓄も確認しましょう。

出所:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和4年)各種分類別データ」をもとにLIMO編集部作成

2.1 70歳代の貯蓄・二人以上世帯(平均と中央値)

  • 平均:1905万円
  • 中央値:800万円

70歳代の「貯蓄ゼロ」世帯は60歳代の20.8%と比べて18.7%と少なくなっています。しかし、約4世帯のうち1世帯は貯金額が100万円未満となっています。

3. 現役時代から貯蓄ゼロを脱する老後資金対策3選

60~70歳代の貯蓄を見てきましたが、今回の物価高のように社会情勢による変化や、少子高齢化により将来の年金受給額が減る可能性を考えると、できるだけ老後に向けた貯蓄を用意したいところです。

「人生100年時代」ともいわれる長い人生を送るためには、現役時代から時間をかけてコツコツと対策することが大切でしょう。

まずは貯蓄ゼロを脱し、「貯蓄習慣」を身につけることが重要です。その方法を3つご紹介します。

3.1 老後資金対策1.先取り貯金で確実に貯める

確実に貯蓄をするには、給料日に貯めてから残りで生活する「先取り貯金」が良いでしょう。基本的には一度設定すると自動で積み立てができるので、強制的かつ忙しくても貯められるのがメリットです。

先取り貯金でまずは月1万円から貯蓄すれば1年で12万円、5年で60万円になります。無理のない金額から、自動で貯まる仕組み作りをしましょう。

3.2 老後資金対策2.貯蓄を目的とした投資

ある程度まとまった貯蓄ができたら考えたいのが、貯蓄の一部での運用です。

投資にはリスクが伴いますが、一方で預貯金ではインフレリスクに対応できないという面もあります。

総務省統計局の「2020年基準 消費者物価指数東京都区部 2023年(令和5年)4月分(中旬速報値)」によれば、生鮮食品を除く総合指数はで前年同月比は3.5%の上昇となっています。

預貯金だけで老後に備えると、物価が高騰した場合に資産価値が下がってしまいます。

また、年金への不安や人生100年時代と考えると、老後資金にはより備えたいところです。iDeCoやNISAなどで長期積立投資に適した制度の利用を検討するといいでしょう。

3.3 老後資金対策3.健康維持とキャリア形成

高齢者は病気やケガになりやすく医療費が増える傾向にあります。

現役時代から健康的な生活を送り、病気やケガを予防することで、医療費の負担を減らし、老後生活の質を維持できるでしょう。

また、長く働き続けることで継続的に収入を得れば、貯蓄を増やしたり運用を続けたりすることも可能です。

現役時代から定期的な健康診断や適度な運動、バランスの取れた食事、禁煙など健康的な生活習慣を身に付けていきましょう。

4. まとめにかえて

貯蓄ゼロ世帯は60歳代で20.8%、70歳代で18.7%でした。

人生100年時代には貯蓄ゼロで老後を迎えると心細いでしょう。

老後の「貯蓄ゼロ」を回避するために、今からご自身でできる対策を考えていきましょう。

参考資料

宮野 茉莉子