「富裕層」という響きに、どのようなイメージをお持ちでしょうか。

豪邸住まいで高級外車を乗り回している、といったようなゴージャスな暮らしを思い浮かべる方も多いでしょう。

一方で、彼らのような資産家たちの金銭感覚には、一見「ケチ」と思えるような一面があることも。

筆者が金融機関に勤務していた頃に実際にお会いした富裕層のみなさんたちは、絵に描いたような派手な生活をしている方はごく少数でした。そしてほぼすべての人に共通していたのは、お金に対するブレない価値観を持っていたという点。

そこで今回は金融機関に勤めた経験から、富裕層と呼ばれる資産家たちに共通する特徴について、とくに彼らが好んで節約をするポイントに着目してお話ししていきます。

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1. そもそも「富裕層」とは?その定義や数を知る

 

出典:野村総合研究所「野村総合研究所、日本の富裕層は149万世帯、純金融資産総額は364兆円と推計」

「富裕層」には明確な定義はありませんが、野村総合研究所の調査結果では、「1億円以上5億円未満の純金融資産保有額がある世帯」とされています。さらに5億円以上を保有する世帯は「超富裕層」と分類されています。

一般的に富裕層と呼ばれる資産家が「ごく一部の限られた世帯」であるという認識は間違いではなさそうです。

ここからは、富裕層たちの金銭感覚の根底にある共通点について、彼らの「倹約ポイント」に絞ってお話ししましょう。

2. 富裕層たちの倹約ポイント1 服装や持ち物が派手ではない

富裕層たちが節約するポイントの1つ目は、「服装や持ち物」です。これらは初対面でもわかりやすい部分ですね。

彼らの多くが、デイリーユースの洋服やカバンなどは、着回しや機能性を重視したアイテムを選ぶ傾向がありました。また、流行のブランドの最新商品を追いかけて身につけている人は極めて少なかった印象があります。

そして、高級で上質なアイテムは「ここぞと思う場面」で堂々と身につけており、TPOをわきまえたドレスコードを実践している人も多かったですね。

3. 富裕層たちの倹約ポイント2 身内に対しての金銭的援助

お金に余裕があるならば、身内への金銭的援助を惜しまない人が多いのでは?と思いきや、意外にそうでもないようです。

たとえ親族どうしであっても、お金に対する価値観がブレることはありません。理由のない金銭的援助をダラダラと行う人は極めて少ないのです。

「お金の大切さ」を理解しているゆえに、お金に対するシビアな感覚が揺らぎにくいのでしょうか。

これに関連するケースとして、子ども名義の通帳で預金をしてあげてはいるものの、本人にはそれを伝えていないという人も多かったです。理由はもちろん「子どもがそれをアテにすると困るから」。

まずは、お金を稼ぎ、貯めることの大切さを教えていくことが親としての役割であるという考え方なのかもしれませんね。

4. 富裕層たちの倹約ポイント3 手数料

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3つ目は「各種手数料」です。手数料といえば何百円単位の小さな金額で発生することが多いですね。

「お金持ちには痛くも痒くもない金額なのでは?」と思いきや、実は富裕層の方たちは、その小さな金額の「ムダ」を見逃さず、惜しみます。

例えば金融機関のATM手数料。コンビニエンスストアなどに設置されたATMは「今すぐお金を引き出したいとき」などにとても便利です。とはいえ、口座を持っている金融機関とコンビニの組み合わせによっては、手数料が発生するケースが多いですね。

富裕層の方は、現金の引き出しや振込の際に、手数料がかからない方法を吟味しています。「窓口よりもATM、ATM利用よりもインターネットバンキング」といった具合ですね。

一回の手数料はほんの数百円ですが、まさに「塵も積もれば山となる」です。

5. 富裕層たちの倹約ポイント4 外食代

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最後に印象に残ったのは「外食費」です。人生の節目となる記念日などには、時間とお金をかけてゴージャスな外食をされる方はもちろん多いです。でも、普段は「ごく普通の」食事を、自宅で家族と囲んでいる人が多かったです。

コンビニの割高な食材や惣菜などは購入せず、予算を立ててスーパーマーケットで買った食材を使い、丁寧に自炊をする、ごく一般的な庶民感覚を持ちながら生活をされていました。

また、外出時にはお茶を入れたマイボトルを持参するなど、コンビニや自動販売機での「ちょこっと買い」はめったにしない人が多かった印象です。

6. 「ケチではなく、倹約志向」お金持ちマインドから学べることとは

今回は富裕層が節約するポイントについて見てきました。4つのポイントの共通点は、お金に対しての「メリハリ」だと言えるでしょう。加えて、その金銭感覚の根底にある価値観が一貫している点にも注目したいところです。

お金の「本当の大切さ」を知る富裕層だからこそ、その価値観を維持していく姿勢が身についているのかもしれません。

今回ご紹介した富裕層の金銭感覚には、何一つ奇をてらったものはありません。

彼らのお金持ちマインドから、「ごくふつうの世帯」が学べることは多いでしょう。生涯続くお金との付き合い方を考えていく上で参考になるかもしれませんね。

心と暮らしに余裕をもたらすヒントとなればと思います。

参考資料

山本 大樹