今年の大型連休は、各地でレジャーを楽しむ人々により「コロナ前」の賑わいが復活しましたね。
外出などが増えると何かと出費もかさみますが、連合(日本労働組合総連合会)が公表した調査結果によると2023年の平均賃上げ率は3.67%(※)と非常に高い水準となっています。また、公的年金に関しても2023年度の支給額は3年ぶりの引き上げに。
一方で昨年から続く物価高によって家計が圧迫されているのも事実です。十分な賃上げや年金額の引き上げとなっているかどうかも気になるところですね。
老後の年金額は、現役時代の年金加入状況により個人差が出ます。今回はサラリーマンだった人が受け取る「厚生年金」にスポットをあて、ひと月20万円を受給できている受け取っている人数などを確認していきます。
(※)参考:日本労働組合総連合会「2023 春季生活闘争 第5回回答集計結果について」2023年5月10日公表
【注目記事】【年金】みんな「厚生年金と国民年金」は本当は月いくらもらっているのか
1. 【年金収入】厚生年金の平均はひと月いくら?
厚生年金保険(第1号)の受給権者は男女合わせて1618万445人です。
実際に「どれほどの人数が、いくら受け取っているのか」を、厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に見ていきます。
【男女全体】厚生年金保険(第1号)平均年金月額:14万3965円
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
全体の平均値は14万3965円で、9万円以上~10万円未満を受け取っている方がボリュームゾーンです。今回の目安となる「20万円」に比べると、半分くらいを受け取る方が多いことが分かりました。
2. 厚生年金を「20万円以上~21万円未満」受け取る人の割合は何パーセントなのか
では、「ひと月20万円以上~21万円未満」を受け取っている人の割合を計算してみます。受給権者数は全国で77万5394人のため、全体の1618万445人で割ってみましょう。
- 77万5394人÷1618万445人=4.79%
全体の約5%とかなり少ないことが分かりました。
では男女それぞれで見るとどうなるでしょうか。まずは、男女別の受給額分布グラフをご覧ください。
2.1 男女別「厚生年金の受給額分布」をグラフで見る
3. 男性で厚生年金を「20万円以上~21万円未満」受け取る人の割合は何パーセントなのか
男性の割合から、先ほどと同じように1万円単位で受給者数を見ていきます。
3.1 【全国男性】厚生年金の年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ
【男性】厚生年金保険(第1号)平均年金月額:16万3380円
- ~1万円未満 7万366人
- 1万円以上~2万円未満:1万4136人
- 2万円以上~3万円未満:5875人
- 3万円以上~4万円未満:1万580人
- 4万円以上~5万円未満:3万1646人
- 5万円以上~6万円未満:7万694人
- 6万円以上~7万円未満:17万8892人
- 7万円以上~8万円未満:26万5042人
- 8万円以上~9万円未満:25万7224人
- 9万円以上~10万円未満:28万4196人
- 10万円以上~11万円未満:35万8936人
- 11万円以上~12万円未満:44万6960人
- 12万円以上~13万円未満:52万9551人
- 13万円以上~14万円未満:62万4724人
- 14万円以上~15万円未満:72万5289人
- 15万円以上~16万円未満:81万5769人
- 16万円以上~17万円未満:90万3637人
- 17万円以上~18万円未満:96万5471人
- 18万円以上~19万円未満:95万3315人
- 19万円以上~20万円未満:88万9人
- 20万円以上~21万円未満:75万1043人
- 21万円以上~22万円未満:57万7586人
- 22万円以上~23万円未満:39万8787人
- 23万円以上~24万円未満:26万7701人
- 24万円以上~25万円未満:17万8056人
- 25万円以上~26万円未満:11万2141人
- 26万円以上~27万円未満:6万7929人
- 27万円以上~28万円未満:3万9296人
- 28万円以上~29万円未満:1万9670人
- 29万円以上~30万円未満:9237人
- 30万円以上~:1万4455人
男性の平均年金月額は、男女全体の平均年金月額に比べて高く16万3380円です。また、男性の厚生年金受給権者は1082万8213人で、月平均20万円以上~21万円未満を受給している人は75万1043人です。
- 75万1043÷1082万8213人=6.94%
計算の結果、約7%が月平均20万円以上~21万円未満の受給者と全体平均よりも多いことが分かりました。
4. 女性で厚生年金を「20万円以上~21万円未満」受け取る人の割合は何パーセントなのか
続いて、女性についても見ていきます。
4.1【全国女性】厚生年金の年金月額階級別の老齢年金受給者数のデータ
【男性】厚生年金保険(第1号)平均年金月額:10万4686円
- 1万円未満:2万9276人
- 1万円以上~2万円未満:6963人
- 2万円以上~3万円未満:5万519人
- 3万円以上~4万円未満:8万9784人
- 4万円以上~5万円未満:7万9430人
- 5万円以上~6万円未満:9万3183人
- 6万円以上~7万円未満:23万7418人
- 7万円以上~8万円未満:44万2558人
- 8万円以上~9万円未満:68万666人
- 9万円以上~10万円未満:85万1331人
- 10万円以上~11万円未満:77万7047人
- 11万円以上~12万円未満:59万523人
- 12万円以上~13万円未満:41万5686人
- 13万円以上~14万円未満:29万4029人
- 14万円以上~15万円未満:21万3811人
- 15万円以上~16万円未満:15万5836人
- 16万円以上~17万円未満:11万2272人
- 17万円以上~18万円未満:7万6925人
- 18万円以上~19万円未満:5万2191人
- 19万円以上~20万円未満:3万7091人
- 20万円以上~21万円未満:2万4351人
- 21万円以上~22万円未満:1万6322人
- 22万円以上~23万円未満:1万444人
- 23万円以上~24万円未満:6549人
- 24万円以上~25万円未満:3719人
- 25万円以上~26万円未満:2081人
- 26万円以上~27万円未満:1047人
- 27万円以上~28万円未満:488人
- 28万円以上~29万円未満:196人
- 29万円以上~30万円未満:135人
- 30万円以上~:361人
女性の平均受給月額は10万4686円と平均値よりも低くなっています。女性の厚生年金受給者は535万2232人で、月平均20万円以上~21万円未満を受給している方は2万4351人です。
- 2万4351人÷535万2232人=0.45%
結果、約0.45%が月平均20万円以上~21万円未満の受給者と全体や男性平均に比べて少ないことが分かります。平均額も全体に比べて低いため、女性で「年金20万円」を受け取るのは難しいようです。
5. 厚生年金20万円をもらえる人は少数派
ここまで、厚生年金の受給額「20万円」を目安に解説してきました。結果として、全体でも男女別でも20万円を受け取る方は少数派でした。
多くの世帯にとって、公的年金は老後のメインの収入源です。とはいえ、「年金だけで暮らしていける世帯」は決して多数派ではないでしょう。
まずは「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で将来の受給見込額を把握してみることをおすすめします。長い老後を見据えた資産づくりの第一歩となるはずです。
参考資料
- 日本労働組合総連合「中小組合の奮闘で「賃上げの流れ」の広がりが明らかに2023 春季生活闘争 第5回回答集計結果について」
- 厚生労働省「令和5年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
徳原 龍裕