食品や日用品、光熱費などの値上げにより、多くの家計を圧迫した2022年度。

帝国データバンクが4月28日に公表した「「食品主要 195社」価格改定動向調査」によると、5月は800品目超、6月には3000品目の値上げが予定されており今年も値上げの夏になるようです。

これからの季節、飲み物を買う機会が増えてくると思いますが、5月からは、輸入コストの増加によって缶やペットボトルなどの資材費が上昇したことを背景に、缶コーヒーやジュースなども値上がりとなります。

物の値段が上がるのと同時に収入も増えれば問題はないのですが、現状、賃金は物価上昇のペースに追いついていません。それどころか、日本の平均年収は30年以上もの間、ほぼ「横ばい」です。

そこで今回は、日本の平均年収についてデータで確認し、年収アップが期待できない中、物価上昇の現代をどのように乗り越えていけば良いのかを一緒に考えていきたいと思います。

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1. 【日本の平均年収】世界と比べて低水準の日本

OECD(経済協力開発機構)の世界の平均賃金データによると、日本人の平均年収は3万9711ドル。1ドル110円で換算して約400万円ほどになります。

出所:OECD(経済協力開発機構)「OECD (2023), Average wages (indicator). doi: 10.1787/cc3e1387-en (Accessed on 08 May 2023)」

日本をはじめ、EU加盟国とイギリス、アメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア、スイスなど38カ国のOECD加盟国の平均である5万1607ドル(年収700万円前後)からは大きく下回っています。

2. 【日本の平均年収】30年間の推移を世界と比較

日本の平均年収が過去30年間でどのように推移しているかを、世界と比較しながら確認していきましょう。

OECD(経済協力開発機構)の最新データによると、1991年-2021年までの30年間で、世界の主要4カ国とOECD加盟国全体の平均年収は以下のように推移しています。

出所:OECD(経済協力開発機構)「OECD (2023), Average wages (indicator). doi: 10.1787/cc3e1387-en (Accessed on 08 May 2023)」

【1991年→2021年】(1ドル110円で日本円換算)

  • アメリカ:4万9121ドル(540万3310円)→7万7438ドル(851万8180円)
  • ドイツ:4万1925ドル(461万1750円)→5万6040ドル(616万4400円)
  • イギリス:3万3191ドル(365万1010円)→4万9979ドル(549万7690円)
  • フランス:3万6828ドル(405万1080円)→4万9313ドル(542万4430円)
  • 日本:3万7866ドル(416万5260円)→3万9711ドル(436万8210円)

日本以外の国は軒並み上昇していますね。

しかし、日本は1991年からほとんど変わっていません。

1991年時点では、平均年収が約365万円と日本より低かったイギリスは、2021年には「約550万円」と約185万円アップし、日本より約150万円も高くなっています。

物価上昇がなければ、給与が横ばいでも問題はありません。しかし、近年は、ハイペースで物価が上昇し続けている状態です。すでに家計を大きく圧迫していると考えられますが、今後も私たちの生活にどのような影響がでてくるのか、考えておかなくてはいけません。

3. 【日本の平均年収】年収400万円台の人は何割いるのか

日本の平均年収は30年間、約400万円と横ばいでした。では、平均年収が400万円台の人はどれくらいいるのでしょうか。
国税庁「民間給与実態統計調査(令和2年)」の「給与階級別給与所得者数・構成比」から日本人の年収について確認していきます。

出所:国税庁「民間給与実態統計調査(令和3年)」

【令和3年分(男女計)】

  • 100万円以下:425万1000人(8.1%)
  • 100万円超200万円以下:701万1000人(13.3%)
  • 200万円超300万円以下:781万8000人(14.8%)
  • 300万円超400万円以下:914万5000人(17.4%)
  • 400万円超500万円以下:788万2000人(15.0%)
  • 500万円超600万円以下:552万7000人(10.5%)
  • 600万円超700万円以下:352万6000人(6.7%)
  • 700万円超800万円以下:243万2000人(4.6%)
  • 800万円超900万円以下:151万8000人(2.9%)
  • 900万円超1000万円以下:100万4000人(1.9%)
  • 1000万円超1500万円以下:185万0000人(3.5%)
  • 1500万円超2000万円以下:43万2000人(0.8%)
  • 2000万円超2500万円以下:13万6000人(0.3%)
  • 2500万円超:16万6000人(0.3%)

300万円超400万円以下の人が 914万5000人と最も多く、全体の17.4%を占めています。次に多いのが平均年収400万円台に該当する400万円超500万円以下の788万2000人(15%)でした。

一方で、年収400万円未満の人は2822万5000人(約54%)と、全体の半数以上を占めています。賃金格差が大きく、平均年収の400万円台に満たない人の方が多いということもわかりました。

大幅な年収アップが期待できないどころか、物価上昇に加え、社会保険料や税金の負担など、出ていくお金が増え続ける近年。自助努力の必要がありそうですね。

4.【日本の平均年収】上がらない年収、自助努力でできる対策とは

「収入は増えない、支出は増える」となると、転職をして年収アップを図るか、副業をして収入源を増やすなど、「収入」にフォーカスしやすくなります。しかし、収入アップと同じくらい「支出」を見直すことも大切です。

まずは、毎月の収支を確認してみましょう。

無駄な支出を抑えることができれば、次に収入を増やす方法を考えます。

転職や副業など自分が働いて収入アップを目指すことのほかに、お金に働いてもらう方法=資産運用もあります。低金利の今の時代、銀行預金にお金を置いていても得られる利息は微々たるものです。物価上昇率を考えれば、実質的には資産が目減りしている状態になります。

使わないお金を置いておくだけでなく、お金に働いてもらい増やしていくことを目指すのが資産運用です。リスクもあるため慎重に運用方法を選ぶ必要があります。しかし、じっくりと時間をかけることで、リスクを分散させながら資産を育てていくことができます。

運用方法といっても、リスクの大小や期待リターンなど様々です。まずは、リサーチから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

宮内 勇資