新年度が始まって1ヶ月が経過しました。

お子さんの学年によっては、将来や進路を考えるにあたって「中学は私立にするか公立にするか」考え始める時期かもしれません。

とはいえ、私立中学校に通わせるとなると公立よりも学費が高くなるため、「一体どのくらいの費用が必要なのか」気になりますよね。

本記事では、私立中学校の場合の教育費や、子どもを私立中学校に通わせている世帯の年収のボリュームゾーンなどについて解説していきます。

「今の年収で本当に子どもを私立中学校に通わせることは可能なのか」と悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。

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私立中学校の教育費は公立中学校の約2.7倍

まずは、子どもを私立中学校に通わせる場合の教育費を見ていきましょう。

文部科学省の「令和3年度子供の学習費調査」によると、公立中学校と私立中学校に通わせた場合のそれぞれの1年あたりの学習費用の平均値は、下記の結果となりました。

出所:文部科学省のデータをもとに筆者作成

公立中学校の学習費総額費用は53万8799円であり、月にすると約4万5000円が学費として必要になります。

一方で私立中学校の学習費総額費用は143万6353円で、月にすると必要な学費は約12万円となるため、公立中学校の約2.7倍となります。

上記は、学校外活動費・学校給食費・学校教育費すべてを含めた費用であり、それぞれの割合は下記のとおりです。

出所:文部科学省のデータをもとに筆者作成

私立と公立で学習費総額費用に大きな差が生じている要因として、「学校教育費」が挙げられます。

公立は学校教育費が24.6%なのに対して、私立は73.9%を占めており、その中には授業料や入学一時金、通信費なども含まれています。

出所:文部科学省「令和3年度子供の学習費調査 結果の概要」

公立と比較すると、この授業料や入学一時金の費用が高いことから、学習費総額費用に差が生じていることがうかがえます。

なお、学校給食費が公立のほうが割合が高い理由として、私立中学校は給食を提供する学校が少ないことが挙げられます。

その代わりに私立中学校では、弁当を作ったり学校の購買で購入したりするため、実際の食費に大きな差はなく、公立中学校の給食費用より高くなることもあるでしょう。

私立中学校に通わせる場合、3年間で約430万円の学費が必要となるため、公立との差額「約270万円」を両親が経済的にサポートしてあげられるかが、進路を決める1つの論点になると言えます。

子どもを私立中学校に通わせている世帯の年収のボリュームゾーン

前章で、私立中学校の学習費総額費用は1年間で約144万円必要であることがわかりました。

月にすると約12万円の支出を要することになりますが、実際に子どもを私立中学校に通わせている家庭の世帯年収はどのくらいなのでしょうか。

文部科学省の世帯年収別にみた学習費調査データによると、400万円未満〜1200万円以上の6つの世帯収入区分のうち、私立中学校で最も多いのは「1200万円以上」の世帯でした。

次いで多かった世帯年収は「1000万円〜1199万円」であり、私立中学校に通っている子どもの両親の年収は、約半数以上が1000万円以上であることがわかります。

子どもを公立中学校に通わせている世帯の年収のボリュームゾーン

一方で、公立中学校に通わせている世帯の年収で最も多かったのは「600万円〜799万円」であり、次いで「400万円〜599万円」という結果になりました。

上記の結果から、公立中学校と比較すると私立中学校に通う世帯年収のほうが高く、そのボリュームゾーンは世帯年収1000万円以上であることがわかります。

私立中学への進学は学習費用の検討も必要

本記事では、私立中学校にかかる教育費や、子どもを私立中学校に通わせている世帯の年収のボリュームゾーンなどについて解説していきました。

公立中学校の学習費総額費用は53万8799円である一方で、私立中学校の学習費総額費用は143万6353円と、公立中学校の約2.7倍となります。

3年間通うことを想定すると、約270万円の差が生じることから、私立中学校に通わせる場合は公立中学校との学習費用の差額を経済的にサポートできるかを検討する必要があります。

お子さんの人数によってはこの2倍、3倍も覚悟する必要があるでしょう。

とはいえ、学習費用の工面が難しい場合でも「奨学金制度」や「特待生制度」などが存在するため、それらの制度をうまく活用するのもひとつです。

子どもの進学希望と世帯年収、教育以外で必要となる資金などを考慮し、双方が納得する選択ができるように、今一度シミュレーションをしてみてはいかがでしょうか。

参考資料

太田 彩子