2023年度の公的年金支給額は、3年ぶりに引き上げとなりました。

ただし4月に支給されたのは2022年度分の年金。引き上げ後初の支給となるのは、6月になる見込みです。

公的年金は、通常銀行等の金融機関に振り込まれます。しかし、中には銀行口座がないという方もいるでしょう。

銀行振込以外に受け取ることはできるのでしょうか。

また、代理人の受け取り可否についても解説します。

【注目記事】【年金】みんな「厚生年金と国民年金」は本当は月いくらもらっているのか

1. 厚生年金や国民年金等は2ヶ月ごとの支給

まず原則として、厚生年金や国民年金等は2ヶ月ごとの支給である点を押さえておきましょう。

基本的に偶数月の15日に、前月までの2ヶ月分が支給されます。

出所:日本年金機構「Q.年金はいつ支払われますか。」

なお、15日が土日または祝日のときは、その直前の平日に支払われます。

4月に支給されたのは2月分と3月分の年金だったため、2022年度分となります。

今月は年金支給がなく、次の支払日は6月15日。ここで初めて、引き上げられた2023年度分の年金が受け取れるということです。

2. 公的年金は銀行振込以外でも受け取れる?

年金は基本的に銀行等の口座に振り込まれることがほとんどですが、ゆうちょ銀行の窓口にて受け取ることもできます。

年金送金通知書及び年金証書を持参することで、年金支払日以降に窓口で受け取れます。

ただし、窓口で受け取るには事前に手続きが必要です。

また途中で受け取りの支店を変更する場合にも、事前に手続きが必要です。

書面に以下を記載の上、年金送金通知書と一緒に日本年金機構に届け出ましょう。

  • 氏名
  • 住所
  • 年金証書の基礎年金番号と年金コード
  • 変更後のゆうちょ銀行の支払店(郵便局)名
  • 年金送金通知書に記載されている支払開始日や支払金額など

なお、どうしても本人が受け取りに行けない場合は、代理人が受け取ることも可能です。

年金送金通知書の裏面の委任状欄に必要事項を記載し、年金証書および代理の方の身分証明書とともに窓口に提示します。

3. 厚生年金と国民年金は平均いくら?

最後に厚生年金と国民年金の平均的な受給月額も見ていきましょう。

厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」を参考に、平均とボリュームゾーンを見ていきます。

3.1 国民年金(老齢基礎年金)の受給額

国民年金の月平均(最新データ)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:5万6368円

  • 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
  • 〈女性〉平均年金月額:5万4346円

3.2  受給額ごとの人数

  • 1万円未満:7万27人
  • 1万円以上~2万円未満:28万4152人
  • 2万円以上~3万円未満:90万3006人
  • 3万円以上~4万円未満:274万9550人
  • 4万円以上~5万円未満:463万6048人
  • 5万円以上~6万円未満:791万730人
  • 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
  • 7万円以上~:187万2466人

国民年金の場合、男女ともにボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。

3.3 厚生年金(老齢厚生年金)の受給額

厚生年金の月平均(最新データ)

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

〈全体〉平均年金月額:14万3965円

  • 〈男性〉平均年金月額:16万3380円
  • 〈女性〉平均年金月額:10万4686円

※国民年金の金額を含む

3.4 受給額ごとの人数

  • 1万円未満:9万9642人
  • 1万円以上~2万円未満:2万1099人
  • 2万円以上~3万円未満:5万6394人
  • 3万円以上~4万円未満:10万364人
  • 4万円以上~5万円未満:11万1076人
  • 5万円以上~6万円未満:16万3877人
  • 6万円以上~7万円未満:41万6310人
  • 7万円以上~8万円未満:70万7600人
  • 8万円以上~9万円未満:93万7890人
  • 9万円以上~10万円未満:113万5527人
  • 10万円以上~11万円未満:113万5983人
  • 11万円以上~12万円未満:103万7483人
  • 12万円以上~13万円未満:94万5237人
  • 13万円以上~14万円未満:91万8753人
  • 14万円以上~15万円未満:93万9100人
  • 15万円以上~16万円未満:97万1605人
  • 16万円以上~17万円未満:101万5909人
  • 17万円以上~18万円未満:104万2396人
  • 18万円以上~19万円未満:100万5506人
  • 19万円以上~20万円未満:91万7100人
  • 20万円以上~21万円未満:77万5394人
  • 21万円以上~22万円未満:59万3908人
  • 22万円以上~23万円未満:40万9231人
  • 23万円以上~24万円未満:27万4250人
  • 24万円以上~25万円未満:18万1775人
  • 25万円以上~26万円未満:11万4222人
  • 26万円以上~27万円未満:6万8976人
  • 27万円以上~28万円未満:3万9784人
  • 28万円以上~29万円未満:1万9866人
  • 29万円以上~30万円未満:9372人
  • 30万円以上~:1万4816人

平均を見るだけでも男女で約6万円の差があることもわかります。

またグラフを見る限り、幅広い受給額に分布しています。厚生年金は現役時代の働き方が大きく影響するため、男女差・個人差が大きくなる傾向にあります。

4. 老後を豊かにするために年金を知ろう

年金は高齢者にとって身近な存在である一方、制度が複雑なためにあまり知られていないこともあります。

支給日や受け取り方、また受給額については、現役時代から意識して情報収集しておきましょう。

今回は平均的な受給額をご紹介しましたが、実際には個人差が大きいものです。

ねんきんネットやねんきん定期便などを活用し、目安となる受給額を調べてみることが重要になります。

参考資料

太田 彩子