2017年1月から対象者が大幅に拡大し、公務員や専業主婦、すでに企業年金に加入している会社員など、従来は対象外だった人も含め、原則20歳以上60歳未満であればほぼすべての人が加入できるようになったiDeCo(個人型確定拠出年金、イデコ)。
掛け金が全額所得控除となるなど節税メリットが大きいことから、毎月数万人単位で加入者が増えています。一方、制度上はほぼすべての人が加入できるようになったとはいえ、一部に例外もあります。実は企業型確定拠出年金がある会社に勤めている会社員の方は、会社が規約で併用を認めていなければiDeCoには加入できません。
そこで今回は今一度「企業型確定拠出年金」とは何か、どういった場合に「iDeCo」にも加入できるのかについて見ていきましょう。
「企業型確定拠出年金」とは
企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、実施する会社の従業員が加入する確定拠出年金です。厚生労働省が公表しているデータでは、2017年3月末の時点で26,228社が実施しており、その加入者数は591.4万人に及んでいます。原則として60歳までの従業員が対象で(規約などで定める要件に基づく)、積み立てて運用したお金は60歳以降、専用口座から引き出して年金または一時金として受け取ることができます
企業型DCの掛け金は、会社が毎月従業員の専用口座に拠出します。その拠出限度額は、企業型DC以外の企業年金制度(確定給付企業年金、厚生年金基金など)の有無や、iDeCoの併用を認めているかどうかによって変わってきます。
- 厚生年金基金などの確定給付型年金を実施していない場合:月55,000円
(規約でiDeCoへの加入を認めている場合、月35,000円)
- 厚生年金基金などの確定給付型年金を実施している場合:月27,500円
(規約でiDeCoへの加入を認めている場合、月15,500円)
なお、企業型DCでは、運営管理機関は会社が決めた金融機関となり、運用できる商品もこの金融機関から提供されているラインナップから選ぶことになります。また、掛け金を会社が拠出してくれるとはいえ、運用するのは従業員個々人です。そのため、運用する方針や商品が違えば、60歳で受け取る額も変わってきます。
ちなみに、掛け金は会社が負担しているので、従業員個人の所得控除の対象とはならず、会社の損金として処理をされます。
企業型DCとiDeCoと併用できるのはどういうとき?
企業型DCを実施している企業に勤める会社員がiDeCoに加入できるのは「iDeCoの併用を会社が規約で認めている場合」で「マッチング拠出ができる規約になっていない場合」となります。ですから、もし企業型DCを導入している会社に勤めていて、iDeCoにも加入したいといった場合は、まずはここから確認しましょう。そして、もし併用OKの場合、iDeCo加入にあたっては必ず会社に届け出て、加入希望者が資格要件を満たしているかどうかについて会社側で書類に記入し、署名・押印をしてもらわなければなりません。
また、企業型DCと併用できる場合のiDeCoの掛け金の上限は、確定給付型年金を実施していない場合で月20,000円、確定給付型年金を実施している場合は月12,000円となります。
iDeCoとの併用ができなくても「マッチング拠出」ができないか確認を
もし会社の規約でiDeCoの併用が認められていなかったとしても、よく制度を調べてみてください。実は会社が払ってくれる掛け金に従業員が個人的に上乗せできる場合があります。この仕組みを「マッチング拠出」といいます。
マッチング拠出も企業型DCを実施しているすべての会社で採用されているわけではありませんが、iDeCoの対象範囲拡大よりも以前からある制度なので、会社によってはこちらが採用されている可能性もあります。ちなみに、先にも述べましたが、マッチング拠出制度がある会社がiDeCoも両方を採用する、といったことはできません。そのため、従業員が選べるのも会社が採用しているどちらかの制度のみになります(利用は任意です)。
なお、マッチング拠出で個人が上乗せできる掛け金の上限については「会社の掛け金と同額まで」で、かつ「合算で拠出限度額まで」と定められていますが、この上乗せした掛け金は所得控除となり、運用益も非課税になります。もし企業が払い込む掛け金の額が拠出限度額に届いていない場合は、使い切れていない掛け金の枠を有効活用できる点もメリットでしょう。
まとめ
いかがでしたか? 自分が加入している年金制度をあまり詳しく知らず、なんとなく…という会社員の方は意外と多いのではないかと思います。制度のメリットをうまく活用しながら、老後の資産形成を検討してみたいですね。
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LIMO編集部