総務省統計局が公表する「2020年基準 消費者物価指数 全国 2023年(令和5年)2月分(2023年3月24日公表)」によると、2023年2月の消費者物価指数は前年同月比+3.3%の上昇でした。

2022年2月の生活費が20万円の世帯は、同水準の生活を送るために20万6600円が必要になる計算です。

特に、高齢者は収入が年金のみの人も多く、生活費の上昇による影響は大きいでしょう。

では、年金のみで生活する65歳以降の無職世帯はどれくらいの貯蓄額があるのでしょうか。

本記事では、65歳以降・無職世帯の平均貯蓄額や生活費、年金受給額を解説するので、参考にしてみてください。

【注目記事】60歳代で「貯蓄4000万円以上」の世帯はどれくらい?平均は2537万円

1. 65歳以降・無職世帯「みんなの平均貯蓄額」はいくらか

総務省が公表する「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、65歳以降・無職世帯(二人以上世帯)の平均貯蓄額は以下のとおりです。

出所:総務省「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2021年(令和3年)平均結果-(二人以上の世帯)」

1.1 世帯主が65歳以上・無職世帯(二人以上)の平均貯蓄額(2016年~2021年)

  • 2016年:2350万円(預金1534万円・生命保険395万円・有価証券412万円・金融機関外9万円)
  • 2017年:2337万円(預金1550万円・生命保険394万円・有価証券386万円・金融機関外7万円)
  • 2018年:2233万円(預金1476万円・生命保険371万円・有価証券376万円・金融機関外10万円)
  • 2019年:2218万円(預金1484万円・生命保険369万円・有価証券357万円・金融機関外8万円)
  • 2020年:2292万円(預金1538万円・生命保険397万円・有価証券348万円・金融機関外9万円)
  • 2021年:2342万円(預金1547万円・生命保険403万円・有価証券388万円・金融機関外4万円)

年によって差はありますが、平均貯蓄額は約2300万円です。

内訳としては、預金と生命保険が約80%以上を占めていて、株などの有価証券が占める割合は少なくなっています。

2. 65歳以降・無職世帯の平均的な月の生活費はいくらか

では、年金受給額の生活費はいくらなのでしょうか?

総務省統計局が公表する「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」によると、65歳以上・無職世帯の平均生活費は以下のとおりです。

出所:総務省統計局 「家計調査年報(家計収支編)2021年(令和3年)」

2.1 65歳以上・無職世帯の平均生活費

  • 65歳以上・夫婦のみ無職世帯 :月22万4436円
  • 65歳以上・単身無職世帯 :月13万2476円

夫婦のみ無職世帯の平均生活費は月22万4436円なので、年間に約270万円の生活費がかかる計算です。

65歳以上・無職世帯(二人以上)の平均貯蓄額である2300万円を保有する世帯が貯蓄だけで生活費をまかなった場合、約8.5年で貯蓄がなくなってしまいます。

3. 【厚生年金と国民年金】平均的な年金受給額はいくらか

働かずに収入がなければ貯蓄は短期間でなくなってしまいますが、多くの人は65歳以降に年金をもらえます。

年金受給額が生活費を上回っていれば、生活費で貯蓄が減ることは基本的にはありません。

厚生労働省年金局が公表する「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、平均年金月額は以下のとおりです。

出所:厚生労働省年金局「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに筆者作成

3.1 厚生年金と国民年金の平均受給額

  • 厚生年金受給者の平均年金額 :月14万3965円
  • 国民年金の平均年金額 :月5万6368円

会社員や公務員などの厚生年金受給者は受給額が高額です。一方で、自営業者などの国民年金のみしか受給できない人の年金額は心もとない金額となっています。

4. 自分に合った老後の生活スタイルを見つけよう

今回は平均をご紹介しましたが、貯蓄額や生活費、年金受給額は人によって大きく異なります。

貯蓄額や年金受給額が少額でも、生活費が低ければ生活は可能でしょう。

ただ、それぞれ理想とする老後生活はあると思います。

自分がどのような老後生活を送りたいのかを考えて、今から必要な老後対策を始めてみてください。

参考資料

苛原 寛