株式会社JTBの「2023年ゴールデンウィーク(4月25日~5月5日)の旅行動向」によると、来たるGWはコロナ禍の落ち着きを見せて、旅行に「行く」と回答した人が前年から9.3ポイント上昇したようです。
中には関西方面への旅行を計画している方もいるのではないでしょうか。
関西には「関西弁」があるものの、マスメディアやSNSの発達によって共通語に触れる機会が増え、その土地ならではの方言が薄まっている傾向にあります。
一方で、国立国語研究所の調査によると、関西弁も全国に広まりつつあるのだとか。
確かに、少し前に「知らんけど」という関西発のフレーズが若者を中心に流行し、一部では浸透しましたよね。
旅行で現地のことばや文化にふれると、思わぬ発見があるものです。
そこで今回は、全国区になりつつある関西弁をいくつか紹介します。自分の身の回りで聞いたことがあるか、想像しながら読んでみてくださいね。
国立国語研究所の調査で「関西弁が全国に広がった」例が明らかに
2021年3月に国立国語研究所が発行した『ことばの波止場Vol. 9』では、「広がる関西弁」をテーマに、「国民の言語使用と言語意識に関する全国調査」のデータが公開されました。
この調査では、特定の言葉の使用率を、世代ごとに分けて集計しています。
関西弁発祥の言葉・フレーズが、どのように広まっているのか見ていきましょう。
1. 「おとん」「おかん」
まず紹介するのは、「おとん」「おかん」です。「おとん」は「お父さん」、「おかん」は「お母さん」の呼び方ですね。
1928~1949年生まれの人だと、「おとん」を使う人は近畿・中国地方で約10%、それ以外の地域は0%です。
「おかん」は近畿・中国地方は約15%、それ以外の地域はやはりほぼ0%となっています。
それでは、1970~1989年生まれの人はどうでしょう。「おとん」は近畿地方で約50%、四国地方で約40%、首都圏・北関東・東北でも10%前後にまで増加しています。
「おかん」の使用率は近畿地方で約60%、中四国で約40%、首都圏・東北・九州・沖縄では15~20%で、こちらも全国的に使用する人が増加していました。
近畿地方で使用する人が増えると、周辺の地域へも広まりやすくなるようです。ちなみに、北海道の「おとん」「おかん」の使用率は、生まれた年に関わらずずっと0%でした。