3. 不動産投資における「民泊」

先ほど解説した「全国旅行支援」や「インバウンド再開」により、観光・宿泊需要の高まりが期待できるでしょう。

宿泊業に関連した不動産投資の一つとして、「民泊」が挙げられます。

不動産投資における民泊とは、一戸建てやマンションの一室といった住宅を旅行者などに貸し出す宿泊サービスのことをいいます。

近年では空き室を貸し出したい人と旅行先などで宿泊を希望する人をマッチングさせるWebサービスもあり、一定の需要があることがうかがえるでしょう。

民泊経営をするメリットとしては、空き家の有効活用や短期間の貸し出しが可能であることなどが挙げられます。

一般的には賃貸需要が少ない物件であっても、立地によっては宿泊需要が見込める場合もあるでしょう。

3.1 民泊に関連する法律

日本国内で民泊を行うためには、「旅館業法」「国家戦略特区法」「住宅民宿事業法」のいずれかの法律の適用を受けて、あらかじめ行政手続きをしなければなりません。

上記のうち、住宅宿泊事業法(民泊新法)は急速に増加した民泊に対して新たに制定された法律で、2018年6月15日に施行されています。

以前は住宅を有料で宿泊所として貸し出す民泊は旅館業における営業許可が必要でしたが、一般の住宅が旅館業の許可を得るのは困難であったため、無許可で営業する民泊が相次いでいました。

違法営業をしている民泊では近隣住民等の苦情やトラブルなども問題となり、健全な民泊サービスを普及させるために「民泊新法」が制定されたのです。

民泊新法では、従来の旅館業法の営業許可や国家戦略特区の認定対象とならない住宅であっても、都道府県または各行政区に届け出を行えば民泊経営ができるようになります。

許可や認定ではなく「届け出」により民泊の運営ができるとはいえ、当然のことながら法律やルールは守らなければなりません。

民泊経営を始める前に、守らなければならない法律やルールをしっかりと把握しておきましょう。

民泊許可制度についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も併せてご覧ください。

【ホームズ】3種類の民泊許可制度の違いを押さえよう|不動産投資コラム[ブログ]

3.2 民泊経営に利用できる補助金制度

過去に観光庁が公募していた補助金として、「宿泊施設基本的ストレスフリー環境整備事業」があります。

補助対象となるのは、旅館業法の営業許可を得た旅館・ホテル等の宿泊事業者。

旅館業法の営業許可を得て民泊をしていて一定の要件を満たしている場合は、補助対象となる場合もあったのです。

観光庁は不定期で事業者向けの補助金を公募していますので、活用できるものがないか確認してみましょう。

https://www.mlit.go.jp/kankocho/yosan_choutatst/kobo_index.html

そのほか、過去には地方自治体が宿泊事業者に向けた補助金や、個人事業主も対象となった持続化給付金もありました。

1月16日(月)18時に第9回公募を開始した事業再構築補助金のように、新分野の展開や事業・業種の転換などを行った中小企業等を対象とした制度もあります。

必要書類の準備や申請手続きがわかりにくい制度もあるため、公式サイトを確認したり、窓口に相談したりしながら手続きを進めていきましょう。

該当する補助金制度の有無については、物件が所在する自治体などにも確認してみてください。