厚生労働省の「厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、2021年度末の厚生年金受給者の年金平均は月額14万6000円(国民年金を含む)です。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

老後の収入が年金だけでもなんとか生活できる水準ですが、月10万円未満の人は少しでも年金を増やしたいところです。

この記事では、厚生年金(国民年金を含む)が月額10万円未満の人が年金を増やす方法について解説します。

人生100年時代に備えて、老後資金を貯めるだけでなく年金額を増やすことも検討してみましょう。

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1. 年金額を増やすポイントは「長く働くこと」

年金には老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。

老齢基礎年金は60歳までの年金加入状況によって年金額が決まるのに対し、老齢厚生年金は70歳までの厚生年金加入状況によって決まります。

つまり、60歳以降も会社員として仕事を続ければ老齢厚生年金を増やせるのです。

老齢厚生年金のメインとなる「報酬比例部分」の金額は、厚生年金加入中の平均年収と加入期間に概ね比例します。

次のモデルケースを使って、どれくらい年金額が増えるか計算してみましょう。

  • 60歳までの年金加入:10年間未納、30年間厚生年金に加入
  • 65歳からの年金額:老齢基礎年金5万円、老齢厚生年金5万円(60歳以降無職)

60歳以降も仕事を続けて70歳まで厚生年金に加入した場合、厚生年金加入中の平均年収が変わらなければ、70歳時点の老齢厚生年金(報酬比例部分)は次の通りです。

  • 老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額=5万円×40年/30年≒6万7000円

65歳時の厚生年金加入期間は35年になるため月額5万8000円くらいですが、毎年少しずつ増額し、70歳時には約6万7000円になります。

※老齢厚生年金額は、報酬比例部分と経過的加算を合計して計算します。

モデルケースでは、1985年に経過的な措置として設けられた「経過的加算」は考慮せず年金額を計算しています。