4. 遺族年金のシミュレーション
2つの例で、遺族年金の金額を試算します。
1つ目の例は、47歳男性・自営業で、42歳の妻(パート)と10歳の子がいる場合(夫は今まで27年間、国民年金を払い続けていた)です。
子が18歳年度末まで、遺族基礎年金を受け取ることができますが、それ以降の年金がありません。
年金額を考えると、遺族基礎年金は79万5000円+子の加算額(1人目)22万8700円となっています。
年額約100万円(月額8万円強)ですが、子が18歳になるまでの収支を考えると足りませんし、子が18歳以降は特に学費もかかること、その後は遺族基礎年金すら貰えないため、妻の働き方を変えたり、大きな保険に加入しておかないといけないでしょう。
2つ目の例は47歳男性・会社員で、42歳の妻(パート)と10歳の子がいる場合(夫は今まで2年間、国民年金を払い、その後会社員として25年厚生年金に加入中に亡くなった)です。
自営業の方と同じく、遺族基礎年金を受給することができます。
遺族厚生年金については、計算できないと思いがちですが、みなさんには「ねんきん定期便」が送られています。
「ねんきん定期便」の様式(サンプル)の様式 50歳未満の方(裏)の 3.これまでの加入実績に応じた年金額をご覧ください。
上記表の「(2)老齢厚生年金」の欄に80万円と記載があれば、その4分の3の60万円が遺族厚生年金として受給できるため、10歳の子が18歳年度末までは、遺族基礎年金約100万円と遺族厚生年金約60万円が受給できます。
その後、遺族基礎年金はなくなりますが、中高齢寡婦加算が受給できるため、遺族厚生年金60万円と中高齢寡婦加算59万6300円、合計で月額約10万円ほどです。
妻が65歳になると、自分の老齢基礎年金+自分の老齢厚生年金+(遺族厚生年金ー自分の老齢厚生年金)となります。
遺族厚生年金を受給し続けることができるのですが、まずは、自分の老齢厚生年金をもらい、老齢厚生年金をもらった分だけ遺族厚生年金が減らされる仕組みです。
5. 遺族年金のしくみ
夫が亡くなった場合にそなえて生命保険に加入されている方は多いのですが、年金からも遺族年金という形で支給を受けることができます。
しかし、決して多くの年金を受け取ることはできません。
ある程度の遺族年金を受給できたとしても、満足できる金額ではない方も多いと思います。
一方、わからずに高額な生命保険に加入されている方もいらっしゃいます。
この機会に、ライフプラン、保険についても見直すきっかけにしましょう。
参考資料
- 日本年金機構「遺族年金」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
香月 和政