1. 2000万円で足りる?「老後2000万円問題」

出所:金融審議会『「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料』をもとにLIMO編集部作成

上の図をもとに、「老後2000万円問題」について整理しましょう。

2019年に話題となった「老後2000万円問題」は、老後には年金以外に2000万円が必要という内容で世間の注目を集めました。

その中身を詳しくお話しすると、標準的な夫婦世帯が老後30年を暮らすためには、公的年金以外に2000万円の生活費が必要となる、というもの。

しかし、健康状態やライフスタイルにより、必要となる老後資金は個人差があるでしょう。また、試算中の支出項目には「介護費用」が含まれていない、持ち家世帯を前提として住居費用が1万円台で計算されている、といった落とし穴もあります。

つまり、自宅をバリアフリー改修する、有料老人ホームに入所する、といったシニア特有は、この「2000万円」の中には含まれていないわけです。賃貸住まいの場合ならば家賃との差額、住宅ローンの残債があればその支払額を、上乗せで準備しておく必要があるでしょう。

「公務員ならば老後は退職金で安泰」と考えるのではなく、まずはいま現在の収支や貯蓄額を把握してみましょう。自分と家族の健康状態やライフスタイルなどを考えて、どのくらい上乗せ費用が必要となりそうでしょうか。こうした試算は、リタイアまでの貯蓄目標を決める上で、大切な情報となるでしょう。

老後資金は「時間を味方」に準備しよう!

今回は「安定のイメージ」が強い国家公務員の退職金事情を見ながら、老後資金についても考えてきました。

公務員だから安心、民間企業だから不安ではなく、老後の理想・収支状況は人それぞれです。そのためまずは自身の状況(退職金・公的年金)を把握した上で、足りないところを考えることが必要かもしれません。

老後資金は、住宅資金、教育資金と並ぶ人生の三大支出と言われます。しかし、いつから、いくらくらい必要となるかが見えにくく、またときには予想を超えた大きな金額が必要となることも。

コツコツと預貯金を増やすにも、複利のチカラを借りて資産運用をするにも、「時間が味方」となりますね。準備期間が長いほど、余裕を持って将来に備えていきたいものですね。

参考資料

山本 大樹