先週発表の米雇用統計で、為替市場はこれまでのトレンドに逆行する値動きが生じました。今週はその逆行の値動きが続くのか、従来のトレンドの方向に戻って再度進み始めるのかがポイントとなります。
先週の為替市場振り返り
先週は夏枯れ相場に入りつつあったこともあり、4日発表の米雇用統計までは値動きの少ない日が続きました。その雇用統計の内容は、非農業部門の雇用者数の増加が前月比+20.9万人と市場予想の+18万人を上回り、米国経済の堅調さを裏付ける結果となりました。
市場の流れとしては、雇用統計前は前週までのドル売りの流れが継続したものの、雇用統計を契機にドルが急に買い戻されています。
ユーロ/ドルはドル売りが続いていた31日と2日に高値を更新、ドル/円は31日・1日・3日に安値更新となっていました。しかし、各通貨ペアが4日の雇用統計を契機に反転し、ユーロ/ドルは週足が陰線になるまでに急落、ドル/円は週足で陽線を付けるほど上昇しました。
ドルインデックスが反転
また、6月下旬以降、下落を続けていたドルインデックスも雇用統計を契機に反転しています。
このところ週足は3週連続で陰線が続いていましたが、雇用統計後の上昇により陽線を形成。雇用統計前には週足のサポート&レジスタンス(サポレジ)の下限部分に位置していましたが、雇用統計を契機にサポレジで反転する値動きとなりました。
一方、原油価格(WTI)はこれまでの上昇が継続して節目の50ドルに到達したものの、50ドル台半ばで売られて48ドル台まで下落することに。その後に再度上昇して49.5ドル台で週を終えていますが、50ドルの節目価格が依然強く意識されていることが再認識されました。
シェール企業の損益分岐点は従来原油価格50ドルとされていましたが、急速に進む技術革新の結果、現在は40ドル台半ばが損益分岐点とも言われています。しかし、市場では50ドルという価格が今も根強く意識されているようです。
今週は米国連銀総裁の発言が相次ぎ予定される
今週は大きな為替関連のイベントは予定されていません。また、今週から夏休みを取る市場関係者も多いため、値動きの少ない夏休み相場入りする可能性も高くなっています。なお、日本では11日(金)は祝日(山の日)です。
ただ、今週は米国の各地区連銀総裁の発言が複数予定されています。目先の利上げの可能性は非常に低くなっていますが、テーパリング(量的金融緩和縮小)については年内のスタートが確実視されている中、そのスタートのタイミングが注目されています。
最も早ければ次のFOMC後から始まる可能性のあるテーパリングですが、その開始時期について各連銀総裁からメッセージが発せられる可能性もあるため、その発言には注意したいところです。
各通貨ぺアでは、ドル/円は109.9ドルが壁になっていましたが雇用統計を契機に上昇しています。再度109.9ドルを目指す展開となるのか、それともこのまま112円付近まで上昇を続けてレンジ相場を維持することになるのかが注目ポイントです。
ユーロ/ドルは雇用統計での下落により、これまでの上昇に対して押し目を入れた形となりました。今週も継続的に高値更新がなされるかどうかがポイントになります。雇用統計を契機とする下落が止まらないようだと、これまで続いてきた高値更新のパターンが崩れることになります。
ドルインデックスがサポレジで反転した形となっているため、各通貨ぺアでこれまでのトレンドが継続するか否かはドルインデックス次第の面が大きい局面となっています。引き続きドルインデックスの値動きは注視したいと思います。
まとめ
国内外を問わず、今週から夏休みを取る市場関係者が多くなります。参加者の少ない市場は値動きが少ない状態が続くものの、突発的に“行って来い”的な値動きが生じることもあります。
今週、来週の2週間は「休むも相場」という相場格言に沿ったスタンスで為替市場に向き合うのがベターと言えます。値動きの少ない中、無理な売買を避け、精神的・資金的に消耗することのないよう注意したいと思います。
LIMO編集部