多くの企業で入社式を迎えるこの時期。
4月から新たな門出を迎える新社会人の皆さんにとっては、初めてもらう給料は感慨深いものがあるのではないでしょうか。
今回は「うちの会社の初任給は高い方なのかな?」「他の会社の給料はどのくらいかな?」「給与明細はどう見たらいいのかな?」など、社会人1年目の今知りたい事柄や疑問を解説します。
初任給の平均はいくら?学歴や業種別に確認
2023年3月17日に公表された厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」から、新規学卒者の平均初任給をみてみましょう。
平均初任給(男女別、学歴別)
1/3
出所:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査 結果の概況/新規学卒者」をもとに筆者作成
男女別でみてみると、専門学校以外は男性の方が初任給は高くなっています。
大学卒の男性の平均初任給は22万9700円、大学卒の女性の平均初任給は22万7200円。男女差が一番大きいのが大学院卒で、1万5000円の差があります。
学歴別にみてみると、大卒の平均初任給は高卒の平均初任給よりも4万7300円高くなっています。
平均初任給(業種別)
次に、同調査から大学卒の業種別の平均初任給もみてみましょう。
2/3
出所:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査/新規学卒者の学歴別所定内給与額」をもとに筆者作成
初任給が高い業種上位5つと低い業種下位5つは次のとおりです。
<初任給が高い業種>
- 学術研究、専門・技術サービス業・・・24万4200円
- 鉱業、採石業、砂利採取業・・・24万300円
- 医療、福祉・・・23万5500円
- 不動産業、物品賃貸業・・・23万4400円
- 卸売業、小売業・・・23万3900円
<初任給が低い業種>
- 宿泊業、飲食サービス業・・・20万6800円
- 複合サービス事業・・・20万7200円
- 生活関連サービス業、娯楽業・・・21万6100円
- サービス業(他に分類されないもの)・・・21万6200円
- 製造業・・・21万7400円
「学術研究」「専門・技術サービス業」「鉱業」「医療、福祉」などが初任給が高くなっています。
反対に「宿泊業」「飲食サービス業」「複合サービス事業」などサービス業は低い傾向があるようです。
全年代でみる「業種別の平均月給」は?
初任給は高くても、その後あまり給与が上がらなかった、あるいは、初任給は低かったが、勤続年数が上がるに従って給与が上がっていったなど、業種別の給与をみるのに1年目だけで判断するのは適切ではありません。
そこで、業種別の全年齢の平均月給(大卒)を高い順に並べてみました。
<業種別の平均月給(大卒・男女計)>
3/3
出所:厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査/一般労働者 産業大分類」をもとに筆者作成
初任給が高い業種の上位5つと大分変わっています。
初任給では2位だった「鉱業,採石業,砂利採取業」が1位、2位に「金融業,保険業」、3位に「電気・ガス・熱供給・水道業」、4位が初任給で1位だった「学術研究,専門・技術サービス業」、5位が「情報通信業」となっています。
一方、平均月給の低い業種は、順位は入れ替わっていますが4位までは同じ業種になっています。サービス業は全年齢の平均月給をみても低い傾向にあります。
給与明細の見方とは?天引きされるものも確認
初任給を受け取ると、額面と実際に振り込まれる金額の違いに驚かれるかもしれません。
給料は「基本給」と「各種手当」で構成されています。
額面とは
「基本給」とは、給料のベースとなる賃金のことで、勤続年数や業務内容などを基準に決められています。これに通勤手当や住宅手当、残業手当など各種手当がプラスされ、会社が従業員に支払う総額が「総支給額」として給与明細に記載されます。
これが「額面」と呼ばれるものです。
「総支給額(額面)」=「基本給」+「各種手当」
各種手当には基本的に次のようなものがあります。
- 通勤手当
- 残業手当
- 住宅手当
- 役職手当
- 家族手当
- 資格手当
手取りとは?天引きされるものも確認
手取りは額面から税金や保険料などが差し引かれて、実際に手にすることができる金額です。どんなものが引かれているのか確認してみましょう。
額面から天引きされるもの1.健康保険料
会社員や公務員が加入する公的医療保険です。月給および賞与に保険料率を掛けた額を、原則として従業員と事業主で半分ずつ負担します。
額面から天引きされるもの2.介護保険料
40歳以上65歳未満の人は、健康保険料に介護保険料が上乗せされます。老化や疾病により介護の必要性が認定されると、介護サービスを受けることができます。
額面から天引きされるもの3.厚生年金保険料
会社員や公務員などが加入する公的年金制度です。月給および賞与に保険料率を掛けた額を、原則として従業員と事業主で半分ずつ負担します。
額面から天引きされるもの4.雇用保険料
雇用保険とは、失業時に受け取れる失業保険の給付など被保険者の生活を守るための労働保険のひとつです。令和5年度の労働者負担の雇用保険料率は0.6%(一般事業)となっています。
額面から天引きされるもの5.所得税
毎月の給与や賞与から所定の方法により計算した所得税額が天引きされ、会社が納税者本人に代わって国に納付します。この仕組みを「源泉徴収」といいます。
源泉徴収された金額に過不足があった場合は、その年の最後の給与を支払うときに精算します。これを「年末調整」といいます。
額面から天引きされるもの6.住民税
住民税は、居住地の都道府県や市区町村に対して納付する税です。前年の所得に対して課税され、会社員の場合はその年の6月から翌年の5月までの12回に分割して給与から天引きされます。
そのため、前年の所得がない社会人1年目は住民税の徴収はなく、2年目から課税されます。
「総支給額(額面)」-(健康保険料+厚生年金保険料+雇用保険料+所得税+住民税)=「手取り」
※40歳からは介護保険料も差し引かれます。
まとめにかえて
社会に出て働き、初めて手にした給料は、その金額に気を取られがちですが、その明細を良く見れば、社会人として生活基盤を築き生活を守るための保険料や、国や地方公共団体が行う活動を支えるための税金を納めていることがわかり、社会の一員となったことが実感できるはずです。
初任給で、支えてくれた家族へのプレゼントを買う、頑張った自分へのご褒美を買うなど、いろいろ考えるのも一興ですね。
参考資料
- 厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査 結果の概況/新規学卒者」
- 厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査/新規学卒者の学歴別所定内給与額」
- 厚生労働省「令和4年 賃金構造基本統計調査/一般労働者 産業大分類」
石倉 博子
