1. 国家公務員と地方公務員
公務員は、大きく「国家公務員」と「地方公務員」に分かれます。
- 国家公務員(省庁職員、自衛官、大使、裁判官、国会議員、検察官など):約59万人
- 地方公務員(市区町村・役職員、教員、警察官、消防官、自治体の議員など):約274万人
国家公務員は地方公務員のおよそ5分の1程度しかおらず、公務員の大半は地方公務員であるということがわかりました。
地方公務員は自治体によって給与水準や退職金が異なるため、今回は、国家公務員に限定して、退職金の実態をみていきます。
2. 国家公務員の退職金(退職理由別)
国家公務員の退職金は、退職理由や勤続年数により大きく異なります。まずは退職理由別の退職金を、内閣官房「退職手当の支給状況(令和3年度)」でみていきましょう。
2.1. 国家公務員(常勤職員)の退職金(退職理由別)
国家公務員(常勤職員)退職理由ごとの退職手当の平均支給額は次の通りです。
- 定年:2106万4000円(受給者数:1万2934人)
- 応募認定:2540万7000円(受給者数:1654人)
- 自己都合:274万2000円(受給者数:8820人)
- その他:199万6000円(受給者数:1万494人)
※「その他」は任期制自衛官等の任期終了(常勤職員)や死亡等による退職を含む
※「応募認定退職者」は早期退職募集制度により退職した人
退職理由が「定年退職」と「応募認定」の退職金は、平均2000万円超と高い水準になっています。
2.2. 国家公務員(常勤職員のうち、行政職俸給表(一)適用者※)の退職金(退職理由別)
※一般行政事務をおこなう職員
国家公務員(常勤職員のうち、一般行政事務をおこなう行政職俸給表(一)適用者)退職理由ごとの退職手当の平均支給額は次の通りです。
- 定年:2122万7000円(受給者数:3884人)
- 応募認定:2279万1000円(受給者数:820人)
- 自己都合:364万4000円(受給者数:1617人)
- その他:230万円(受給者数:1312人)
退職理由が「定年退職」の場合は常勤職員全体よりやや高水準に、「応募認定」の場合は260万円ほど低い水準となっています。
退職理由により前後はありますが、いずれにしても定年年齢あたりでの退職の場合2000万円超の退職金が現実的であることが分かりますね。
国家公務員の退職金は、おおむね5年ごとに行う民間企業の企業年金や退職金の実態調査を踏まえ、見直しを実施することとなっています。
2021年においては、企業規模50人以上の民間企業45605社から抽出した7562社を対象に、退職一時金及び企業年金の実態について調査が行われました。
これは、退職給付の民間均衡を図るために行われていますが、やはり公務員の退職金は安定していると言えるのではないでしょうか。