日経平均がここしばらく2万円を超え、また米国の株式市場は引き続き堅調です。こうした環境では、これまで投資をした分は利益を確定しようとされる方もいるでしょうし、株式投資を始めたほうがよいのだろうかとお考えの方もいるでしょう。今回は株式投資を始めるにあたって、どのような資格が役に立つかを考えてみました。

やはり証券アナリストが王道か

日本の証券アナリストは、正式には日本証券アナリスト協会検定会員といい、公益社団法人 日本証券アナリスト協会が、試験や経験などを踏まえて認定するものです。意外かもしれませんが、証券アナリストは国の法律などで定められた資格ではなく、業界団体による資格なのです。

証券アナリストの試験内容は、理論的な内容から分析の手法まで網羅的にカバーされており、投資を始める際に知っていれば何かと役立つことは間違いありません。ただ、業界団体内の試験とはいえ、試験に受かるには相当な知識量を要し、実務経験なども必要とされます。

とはいえ、同検定会員だからといって投資で成功するかどうかは別物です。外資系や日系の大手証券会社で勤務してきたベテランのアナリストで、投資家の間で評価の高い人物でも同検定会員になっていない人もいます。株式投資だけが目的であるのならば取得までの必要はないでしょう。

簿記検定が役に立つ

株式投資において実戦で役立つのが簿記2級レベルの簿記知識です。決算短信や有価証券報告書といった上場企業の決算書が概ね理解できるようになるからです。

証券アナリスト試験でも簿記の知識は問われるため、証券アナリスト試験の学習をしていれば事足りるレベルですが、優先的に何を勉強すればよいかといえば、証券アナリスト試験の内容よりも、まずは簿記2級レベルをマスターすることをお勧めしたいと思います。

TOEFLやTOEICといった英語は必要?

日本株だけに投資をするのであれば必要ありません。ただ、好調な米国株に投資をしたいということであれば英語は必須です。決算書やプレゼンテーション資料が英語であるのは当然ですが、リアルタイム株価を見るのに米国の株価サイトを活用できればプラスになるでしょう。

日本のネット証券で米国株のリアルタイム株価を見ようとすると有料だったり、無料であればディレイ(遅れ)があったりするので、インターネットで検索して海外のサイトも使いこなせれば便利です。この場合、英語の「資格」は必要ありません。

あえて株式投資を選択しない

こうして見てくると、”株式投資はめんどくさい”と感じた方も多いのではないでしょうか。そうした方に使い勝手が良いのが投資信託という金融商品です。

ところが、投資信託にも様々な種類があり、どれを選んでよいかわからないということもあるでしょう。そうした場合には、買付手数料が無料で、信託報酬(投資家が運用している間に必要とされる費用)が安いインデックスファンドから始めるとよいでしょう。

ただ、インデックスファンドも、投資対象資産が株式なのか債券なのか、あるいはREITなのかといったことから、国内資産なのか海外資産なのか、またそれぞれをどの比率で持つかといった選択までを含めると、これから投資を始めようとする人にとっては厄介かもしれません。

その場合には、それらを適切に配分したバランス型ファンドという選択肢もあります。また、最近ではロボットアドバイザーと呼ばれる機械に自動的に運用させるという方法もあります。

まとめにかえて

いかがでしたでしょうか。株式投資は一見とっつきにくいかもしれませんが、もし本気で始めるのなら、この夏休みを利用して、簿記2級を目指しつつも、まずは簿記3級からスタートしてみるのはいかがでしょうか。

ただ、株式投資は資格を取らなければ始められないというものではありません。誰でもいつでも始められる・・・そこが株式投資のよいところとも言えるでしょう。また、簿記の勉強など面倒だ!ということであれば、投資信託について調べてみることから始めるのも一つの手かもしれません。

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青山 諭志