生命保険文化センターが行った意識調査によると、自分の老後生活に「不安感あり」とした人の割合は84.1%、実に8割超です。
少子高齢化が進むこんにち、程度の差はあれ「老後のお金」について何かしらの不安を感じている人は少なくないでしょう。
将来の年金制度の支え手が減ることは明らかですから、働き盛りの現役世代が「漠然とした年金不安」を抱くことは不思議ではありません。
公的年金は物価や賃金を考慮して年度ごとに見直しが行われますが、今のシニア世代がどの程度の年金を受け取っているかを知ることで、本格的な老後に備えたマネープランを意識するきっかけになるかもしれませんね。
今回は、いまの年金受給世代が受け取る平均的な年金額を「1歳刻み」で見ていきます。
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1. 「国民年金と厚生年金」しくみの違いを整理
まずは日本の公的年金制度について整理します。
1.1 公的年金制度の基本
日本の公的年金制度は土台部分の「基礎年金(国民年金)」と上乗せ部分の「厚生年金」から成り立つ2階建て構造となっています。
1.2【1階部分】国民年金(基礎年金)
- 加入対象:日本に住む20歳から60歳未満の方
- 保険料:一律(年度によって変更が入ります)
1階部分の「基礎年金(国民年金)」は、国内に住む20歳から60歳までの方を加入対象とします。毎月の保険料は一律です(自営業者や扶養されている配偶者などが該当)。
また、国民年金の保険料や年金額には毎年度調整が入り、金額が変動します。賃金スライドや物価スライドをもとに改定率が定められ、その年の4月から適用されます(※)。
※2023年度の月額
- 国民年金保険料:1万6520 円
- 国民年金の満額(※):6万6250 円
※40年間(480月)年金保険料を納付した場合に受け取れる、老齢基礎年金の月額
1.3【2階部分】厚生年金
- 加入対象:会社員や公務員など
- 保険料:報酬比例制(毎月の報酬により決定)
- 年金額:加入期間や納付保険料によって決定。国民年金に上乗せで支給。
2階部分の厚生年金は、国民年金に上乗せして、公務員や会社員などが加入する年金制度です。
国民年金は、保険料の額も将来もらえる金額も定額ですが、厚生年金の場合は、現役時代に収入に応じた保険料を納付するため、将来もらえる年金額もそれらに基づいた金額となり、個人差が出ます。
つまり、ライフコースに応じて現役時代に加入する年金制度は異なり、その結果、老後に受け取る年金額も人それぞれということです。
次では、「国民年金(基礎年金)」「厚生年金」の受給額事情を見ていきます。