2023年2月24日に発表された、アミタホールディングス株式会社2022年12月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:アミタホールディングス株式会社 代表取締役会長兼CEO 熊野英介 氏
アミタホールディングス株式会社 代表取締役社長兼COO 佐藤博之 氏
アミタホールディングス株式会社 取締役 唐鎌真一 氏
アミタホールディングス株式会社 取締役 末次貴英 氏
アミタ株式会社 代表取締役 田部井進一 氏
アミタサーキュラー株式会社 代表取締役 土元健司 氏
AMIDAO株式会社 取締役兼Organizer 岡田健一 氏
Codo Advisory株式会社 代表取締役社長兼CEO 鈴木香織 氏

2022年12月期決算説明

熊野英介氏:おはようございます。アミタホールディングス株式会社の熊野です。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。

折しも本日は、みなさまご存知のように、ロシアのウクライナ侵攻が始まってちょうど1年となります。恥ずかしながら、2022年の期初予想時には、このような事態が起こるとは考えていませんでした。

さらに、2019年末より新型コロナウイルスによる感染症が世界的に大流行し、2020年に100年ぶりのパンデミックだと宣言されてから、3年が経とうとしています。今後のルールが大きく変わる時代になったと認識しています。

AMITA's Mission

我々が創業した1977年に、ジョン・ケネス・ガルブレイスという経済学者が『不確実性の時代』という本を出版し、世界的なベストセラーになりました(日本では1978年発刊)。その5年前の1972年には、国際人間環境会議で人間環境宣言が採択されています。

当時はベトナム戦争等の大きな戦争が終わったあとで、軍事産業の民間企業への影響も深刻なもので、あらゆるところで公害が起きていました。その約5年後に世の中のルールが変わり、ニクソン・ショックによってドルと金の交換が停止され、『不確実性の時代』が顕在化した訳です。

スライドに記載のとおり、我々は発展すればするほど、自然資本と人間関係資本が増えるような事業のみを行うと、定款の1番目に挙げています。このミッションを果たすことを約束するために、事業を展開しています。

会社情報

時代のルールが大きく変わるということを冒頭にお伝えしましたが、今企業は、成功事例のある会社ほど過去の経験に囚われ硬直化しています。状況に応じた全体最適の変革よりも、足元の部分最適を大事にするため、前を向くことができなくなっていると思います。

そこで我々アミタグループは、ミッションの実現に向けた意思の統合化と意思決定の速度を上げるため、ご覧のような組織体制でこのルールチェンジに臨むことを決めました。我々の競争相手は、変化する時代だと認識しています。

事業の全体像

事業の全体像はスライドのとおりです。「自然資本と人間関係資本が増えること」を第一に挙げ、社会ニーズを事業化し、多面的に展開しています。我々の事業は本質的なESG市場を開拓するものとご理解いただければと思います。

数字で見るアミタグループ

現在、我々の取引先の31パーセント以上を上場企業が占めています。また、上場している製造業の25パーセントが、我々のお客さまとなっています。つまり、日本経済の状況が我々の事業にも直接影響するため、経済に力強く発展してもらわなければ我々の発展も難しくなります。そこで、2年前の2021年1月に、今後はESG市場が世界、そして日本にも広がっていくと考え、従来の企業向け事業と地域・自治体向け事業を統合し、市場拡大へのポジショニングとして「社会デザイン事業」へと一本化しました。

私は、経営とは経営資源を集めて増やすこと、つまりヒト・モノ・カネ・情報を集めて増やすことだと思っています。その集め方も重要で、良質で信頼できる経営資源が増えないとなかなか事業を持続できません。

また、前提としてご理解いただきたいのが、我々のヒト・モノ・カネ・情報の「モノ」の捉え方が、他社とは少し異なっていることです。モノは「価値の源泉となる資産」と定義されますが、一般的にモノに対する投資を行った際は、BS(貸借対照表)上で機械や工場といった項目で記載されます。しかし我々は自己資本の中に、社内外の「関係性」も含まれると考え、そこへの投資を行うという特徴があります。

ROICの査定では、BS上でハード面は見えますが関係性は見えません。しかしながら、先述のとおり、我々は事業セグメントを一本化し、2022年度より本格的に外部との事業連携を続けてきました。つまり、自社内でモノを蓄積して内製化するのではなく、我々と事業提携先との関係性の中で価値観を新結合し、イノベーションへの動きを加速させようと取り組んできたのです。

日本経済をけん引してきたグローバルサプライチェーン

ここから、我々が開拓を目指す市場についてお話しします。戦後の日本経済の成長エンジンは、グローバルサプライチェーンでした。世界中から食料や原料など、さまざまなモノが安価で大量に安定的に調達され、モノづくり中心の産業モデルを支えていました。しかし、コロナショック、ウクライナショックによって、世界中に市場を求めるこれまでの成長エンジンの不確実性が、急速に増してきたと認識しています。

2007年に小宮山宏氏(三菱総合研究所理事長、東京大学元総長)は日本のことを「課題先進国」という不名誉な名前で呼び、その印象をみなさまに焼きつけたと思います。それから16年が経ちました。今、日本の産業界に突きつけられた主な課題は「労働人口の減少」「市場の縮小」「原料価格の高騰・不安定化」の3つです。これらの条件下で、どのように豊かな社会の維持・継続に取り組んでいくのかということが、命題として我々に突きつけられています。

ここで、これまでの成功体験であったグローバルサプライチェーンを成長エンジンとする仕組みは、今後は通用しないということを腹落ちできるかどうかで、上記の命題への取り組み方が変わってきます。

今までのやり方では、絶対に成長は不可能です。今まさに、新しい市場のイノベーションの力や新たな事業の在り方が問われていると思います。

サーキュラーエコノミーによる内需市場の開拓

我々は新しい成長エンジンは「内需を開拓するサーキュラーサプライチェーン」だと考えています。内需市場がもつポテンシャルは、77兆円に上ると推計されます。そのような市場の開拓には、2つの鍵が必要です。1つ目はグローバルサプライチェーンに頼らず、国内で資源を持続的に調達するための「サーキュラープラットフォーム」の構築です。そして2つ目は縮小していく市場でうみだす価値を高める「サーキュラービジネス」の創出です。

今後は労働人口の減少に伴い人件費が高騰し、固定費が上がります。また、すでに値上がりしている原材料はより一層高騰し、変動費も上がっていきます。変動費と固定費が上昇し、製品価格に占める割合が高くなった時に、その製品を1回限りで流通させるのではなく、繰り返し何度も循環利用する、つまり、製造業のサービス化が鍵になるということです。

一度市場に出た製品を回収し再度、自社が展開する市場に投入し提供できれば、製品あたりの変動費と固定費は下がっていき、それにより事業の利益率が上がります。そして、今度はそのサイクルを何回も回していくことで売上も伸びていきます。このように、これからは効率的に商業化する製造業が出てくると思います。

その市場では、現在製造業に従事される顧客のみなさまが、循環型のサービスを提供する「サーキュラーサービスプロバイダー」となります。そして、我々はその製造業からサーキュラーサービスプロバイダーへの移行戦略を支援しながら、基盤となるサーキュラープラットフォームのプロバイダーとして、内需の拡大に努めていくことになります。

アミタが開拓するサステナビリティビジネス市場

2020年のコロナパンデミック以降、我々が対象とする市場の規模はスライドに記載しているように顕著に拡大しています。我々はこうした社会ニーズの動きを捉え、本質的なESG市場を開拓のターゲットに据えました。

2020年時点の情報になりますが、世界のESG市場への投資金額は35兆3,000億ドルと言われています。調査対象である機関投資家の運用資産の全額が98兆4,000億ドルのため、約36パーセントがESG市場に投資されたことになります。ただし、これはコロナパンデミック前、つまりウクライナショック前の話です。今年(2023年)はそのような流れがどのように進むかも非常に大事だと思います。

アミタの競争優位性=2つの模倣困難性

さて、我々はもうすぐ創業47年目に入ります。第1次オイルショックから第2次オイルショックの間に創業し、今回のウクライナショックも合わせると、これまでに9回もの大きな市場変化の中で生き残ってきました。

その要因としては、事業の競争優位性を「模倣困難性」に絞っていることが挙げられます。模倣困難性を構成するポイントとして、1つは不確実を確実に変える独自の技術とプラットフォームを有していること、もう1つは関係性を最大の価値とし、集合知によって価値を創出する組織戦略によって経営を続けていることがあります。この企業文化性の組織戦略については後ほど佐藤から詳しく解説します。

アミタのビジネスモデルの特徴

我々のビジネスモデルの特徴に、社会ニーズの市場化にむけて長期的な関係性への投資を実行する点があります。レッドオーシャンである顕在化した市場ニーズを追いかけるのではなく、5年から7年で収益構造が変わるように、潜在的な社会ニーズに先行投資する設計によって、大企業との棲み分けを実現しています。そのために最初は関係性の構築として、市場の合意形成に取り組んでいます。その後、商品のプロトタイプを作り、潜在的ニーズを顕在化させます。顕在化したものを拡大再生産のビジネスモデルとして確立させます。ただし、これには5年から7年という期間がかかります。

我々は長期間にわたって社会ニーズの市場化に取り組み続けることで、これまで生き残ってきたのだと思います。

潜在的社会ニーズの市場化の歴史

我々は「不確実性を確実にする」という独自のノウハウを実践し続けながら、今の時代の流れの中では、地域と企業のサーキュラーデザインを提供することが求められていると認識しています。具体的には、資源のインとアウトのESGと、プロダクトのESGをお手伝いしていきます。

成長市場だった日本も、今後は成熟市場になっていきます。天然資源の代替ニーズからリスク対策ニーズへ、そして今、社会の要請は関係性ニーズへと移行しています。この関係性ニーズの市場化こそが、我々の目指すエコシステム社会の実現への道だと考えています。

エコシステムの鍵は “見えない価値”の可視化・ネットワーク化

「関係性という見えない価値を可視化しネットワーク化」する流れは、我々独自の偏った考えではありません。世界ではすでにコロナ禍前から、EUを中心にデジタルプロダクトパスポート(DPP)という、製品が移動するために必要な「電子的なパスポート」の部分的市場導入などが行われています。

DPPでは、製品やサービスの持続可能性を証明する環境配慮型の情報にアクセスし、製造元や使用材料、リサイクル性、解体方法などを知ることが出来ます。このような、製品のライフサイクルに沿ったトレーサビリティを重要視する流れがあり、35兆ドル以上の投資が始まっています。

日本もこの流れに遅れることなく、取り組まなければならないと思っています。我々もサーキュラープラットフォームプロバイダーとしてこのルールメイクについてウォッチしていますが、これは1996年頃に始まったISO14000の取得が広がっていった流れに非常によく似ていると思います。

エコシステム社会を実現するMEGURU PLATFORM構想

我々アミタグループは昨年(2022年)、2030年に向けた事業ビジョン「エコシステム社会構想2030」を発表しました。エコシステム社会を実現するためのポイントは、見えない価値、トレーサビリティの可視化と活用だと考えます。そのための、「MEGURU PLATFORM構想」です。

そして、我々がどのように正確なトレーサビリティ情報を獲得していくかというと、人々の生活のアクセスポイントとなる「MEGURU STATION(めぐるステーション)」で消費行動等の情報を集めます。例えば、地域の生活者が「何を、どれくらい、どんな頻度で消費していたか」などです。それらの情報をデータベース化することで、数週間後、数か月後の地域内での需要予測を立てることができます。

MEGURU PLATFORMが叶える産業と暮らしの変容

つまり、集められた消費情報をもとに、データベース上で行動予測と需要予測が可能となり、企業はこの情報をもとに、持続的かつ計画的な調達や生産活動を実行できます。さらに、住民は商品サービスの社会性や生産者との関係性を踏まえた購買の選択が可能となり、購買行動を通じてより良い社会を実現する当事者となります。これにより無駄のない生産と消費の好循環のループが実現します。我々はこれをMEGURU PLATFORM(めぐるプラットフォーム)と呼び、構築に向けて取り組んでいます。

2030年までのロードマップ

MEGURU PLATFORMの構築のロードマップをご説明します。2030年までに、互助共助コミュニティ型の資源回収ステーションMEGURU STATIONを全国に5万箇所、さらに良質な資源と情報が集まるサーキュラーマテリアル製造所「MEGURU FACTORY」を47都道府県に設置し、ひと・自然・もの・情報のすべてがつながるMEGURU PLATFORMを構築するという目標を掲げています。

こうした新しい構想がうまくいくかどうかの境目となるキャズム(乗り越えるべき溝)は一般的に「普及率16パーセント」だと言われています。ここを越えれば、一気に社会に浸透していくのです。我々は2030年までにMEGURU STATIONの5万箇所の設置を達成できれば、キャズムを超え、日本全国が自律型のネットワーク社会になっていくと見ています。だからこそ、どのように超えていくかが、本当の挑戦であり、課題だと言えます。

自律型のネットワーク社会になるとどのようになるのかについてもご説明したいと思います。「関係性」がビジネスの中心になるということを想像してみてください。

今の日本は、若者の死因のトップが自殺です。関係性が劣化した社会において、都会で電車が遅れる理由のほとんどが人身事故で、その多くが自殺によるものです。そのようなことを防ぐために、我々は未来への希望、新たな価値を作り続けなければならないと考えています。

キャズムの谷を乗り越え、MEGURU STATIONの人口カバー率が一気に上がれば、多くの人が信頼のおける関係性を日々の暮らしの中で得られるようになり、さらに未来を創る当事者としての役割を自然と担うようになります。この事業を通じ、我々は社会の孤独を克服し、未来へ挑戦しがいのある国にしていきたいと思っています。

企業戦略=“関係性”

生態系の原理原則から見ると、大きな変化を伴う工業化モデルの成功事例というのは、外骨格を模して閉鎖系の情報交換を行っているようなメカニズムだと思います。

1992年以降、インターネット上のECサイトの市場では、市場のイノベーションの駆動力は情報でした。そのため、開放系のオープンリソースという言葉が出てきました。しかしながら、それも現在では希釈化しています。世界はESGという、社会イノベーションの時代になっています。この社会イノベーションの駆動力は、ライフスタイルだと思っています。そして、ライフスタイルを持続的で豊かなものにするためには、やはり関係性という資本が最重要となります。そのため、我々はスライドの進化の例にあるように、体内に骨格を持ちコアコンピタンスは内側で守りつつ、外部との境界は皮膚一枚で多様な関係性を構築する、より自由な内骨格型の組織の実現に取り組んでいます。

我々の背骨になる部分のコアコンピタンスは、先ほど申し上げた模倣困難性を構成する「不確実を確実にする独自ノウハウ」と「企業文化性」です。ここを着実に強化していきます。その他にも、多くの人たちと関係性を結び、変化に強い仕組みを作っていこうと考えています。

“関係性”による経営資本増幅の仕組み

また関係性に投資すれば、事業に優良な経営資本が集まっていきます。それを核に結果を出していくことで、さらなる関係性と経営資本が集まります。その結果、説明が省ける関係が増大し、取引する際の交渉にかかる時間や、リクルートで人を集めるコストなどの、取引コストが下がるという設計です。

戦略実行に向けた組織再編・経営体制の変更

こうした戦略を実行するため、3月から経営体制を変更します。聞き慣れない名称だと思いますが、私自身はCVO(Chief Visionary Officer:最高事業構想経営責任者)を宣言します。

今までの財務会計のような「過去にこのようなことを実施し、昨年はこのようなことに取り組んだ結果、数字はこのようになりました」という見方は、バックミラー経営と言われます。

このままでは、世界、特に西洋から「日本はなぜ前を、未来を向かないのか?」と笑われてしまいます。そこで我々は従来の財務会計だけでなく、マネジメント、すなわち経営視点でのアカウンティング、一般に管理会計といわれている手法を重視しています。本質的には管理会計ではなく経営会計と訳すべきだと私は考えていますが、事業の代表者は現在のステークホルダーだけではなく、将来のステークホルダーとの関係性を作っていかなければなりません。そのため、CVOとして事業構想に対する責任を持つことにしました。

また、これまではCOOとCFOを分業することが一般的でした。しかしそうではなく、今後はインテグレート、つまり統合責任として「足元はどのようになっていますか?」「予算上は計画どおり進んでいますか?」という数字を、全体的な視野で語っていかなければならないと考え、市場との対話をベースにしていくために、代表取締役社長をCOOとCFOを融合したCIOO(Chief Integrated Operations Officer)、最高統合執行責任者としました。

代わりに、一番大事になる将来構想と足元は、仕事が進めやすいように関係性の資本を蓄積し、構築していくため、パートナーシップを強化する役目であるCEPO(Chief Engagement and Partnerships Officer:最高パートナーシップ責任者)を設けました。そして、営業と生産、仕入、開発といった予算をつかさどるところが事後報告的にならないように横串を刺す意味で、CGO(Chief Growth Officer:最高事業成長責任者)という立場を追加しました。

エコシステム社会の実現のため、 2022年、アミタグループは ステークホルダー経営宣言を発表

このように我々は時代に合わせてスピードを上げ、構想と構築と実践によって事業を一体化し、全社一丸となって新しい時代に負けないような組織を再構築しました。

以上で私からのお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

決算ハイライト

唐鎌真一氏:みなさま、本日はご参集いただきましてありがとうございます。私からは、2022年12月期の決算説明として、数字を中心にご説明します。細かな数字等については、決算短信の資料をご覧いただければ、ご理解いただけると思います。

まずは決算ハイライトについて、ポイントごとにお話しします。スライドには、前期の売上高から当期純利益までを記載しています。

まずは、新収益基準の適用による収益基準の見直しです。2022年より売上の一部において総額計上していたものを、純額計上に変更しています。会計基準の変更により、売上高が前期比で減少している状況ですが、前期の会計基準と比較すると、売上高は前期比で1億7,200万円増えています。

営業利益・経常利益はともに、前期比でプラスになっています。要因については記載のとおり、利益幅の大きい商品・商材で売上が上がるようになってきたことが挙げられます。

2022年12月期の経常利益は7億1,500万円で、前期比で8,600万円増加となっています。前期に引き続き、マレーシア事業が好調に推移しています。持分法による投資利益の拡大が経常利益に貢献しており、事業自体も好調です。加えて、2022年度はマレーシアのグリーン投資税制という、環境負荷を低減する事業を行っている会社の設備投資については税額を控除するという制度の適用があり、減税の効果も含めて経常利益に貢献してくれました。

結果、前期比では概ね好調な業績となったのですが、期初予想に関してはコロナ禍の長期化とウクライナ侵攻が影響しました。我々はESGサービスを提供していますが、大企業においては先行投資型の施策はいったん保留という状況になってしまい、期初に考えていたような数字とはなりませんでした。

ただし、持続可能性に対するニーズは、脱炭素を含めて必ず取り組んでいかなければいけない問題ですので、今後は我々がするべき業務は拡大していくと考えています。

貸借対照表(前期末比較)

貸借対照表です。総資産は前期末比で3億9,600万円増加しています。内訳については、資産の部で流動資産が4億2,300万円増えており、このうち3億9,000万円程度は現預金です。こちらが総資産増加の大きな要因です。

負債に関しては、固定負債が前期末比で1億600万円減少し、借入金の返済が順調に進んでいる状況です。一方で純資産は、利益剰余金が前期末比で4億9,600万円増加の12億2,500万円で、着実に積み上がっています。株主資本合計は前期末比で5億700万円増加しておりで、引き続きキャッシュ・フローが潤沢で現預金も貯まっており、総資産が増えているという認識です。

キャッシュ・フロー計算書(前期比較)

キャッシュ・フローです。営業活動によるキャッシュ・フローは前年比でマイナスですが、こちらは売掛債権や仕入債務の回転差の影響ですので、特に問題はないと認識しています。財務キャッシュ・フローは先ほどご説明したとおり、借入金の返済が順調に進んでいる状況です。これらの結果、現金の増加もあり、現金及び現金同等物の期末残高は前期比3億8,900万円増の17億7,900万円となっています。

経営指標

経営指標についてです。営業利益率と自己資本比率については、2020年から約2年かけて、増加している状況です。

ただし、ROE・ROAについては、現在エクイティの部分で新株予約権を発行しており、自己資本が増えることによって右肩下がりになっていきます。今後は今まで積み上げてきた内部留保をどのように再投資していくかというフェーズへ移っていくと認識しています。

期末配当方針

期末配当です。2022年度の配当額は3円/株に決定しました。弊社は2022年度に2度株式分割を行っていますが、それを考慮しない場合での配当額は、45円/株となるため、前期比では増配の予定です。

2021年に復配しましたが、今後も安定的に配当を行い、将来的には配当性向30パーセントを考えています。しかし、2022年度、2023年度についてはまだ市場創造期であり、配当以外にも人的投資や物的投資など多くの投資があるため、その間は目標としていた10パーセントで配当を決定しました。

2022年度アミタグループ重要取り組み

2022年度の我々の取り組み実績です。1年をかけて、いろいろな財務的イベントと事業的イベントを計画的に連動させながら行ってきました。事業の具体的な各施策については後ほど佐藤よりご説明いたします。

2度の株式分割

財務面での具体的な施策として、2つご説明いたします。

1つ目の施策として、2度の株式分割を行いました。この結果、株主数が11.6倍となっており、みなさまにかなり共感していただけたのではないかと思っています。

新株予約権発行

2つ目の施策として、新株予約権の発行を行っています。具体的な資金使途としては「MEGURU STATION」の展開、ブロックチェーン技術を基盤としたシステム開発、シリコンリサイクル設備の増強を考えています。

新株予約権発行

新株予約権発行については、現在みずほ証券にお願いしており、2022年から2024年の2年間で実施していく施策となっています。

時価総額の推移

時価総額は、2020年から2022年で約6倍に増えました。2020年時点では34億円で、東京証券取引所グロース市場の上場維持基準である時価総額40億円に満たない状況でした。どのようにして基準を達成するかというところで、2021年・2022年にいろいろな施策を打ち、結果的に2022年末時点で205億円に到達しました。

2024年からの市場展開期に向け資金調達により財務基盤を強化しさらなる企業価値の向上に取り組みます

今後も市場展開期に向けて、資金調達を行い財務基盤を強化し、さらなる企業価値向上に取り組みます。今後ともみなさまからご協力とご支援をいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

2022年 市場創造期:2年目

佐藤博之氏:私からは、2022年度の具体的な事業進捗と中期3ヶ年計画についてお話しします。

今、我々は市場創造期にあり、2022年はその2年目、2023年がラストの3年目です。そのような中で、企業経営の移行戦略や地域運営への移行戦略に取り組んで市場を作り、将来の市場展開や市場拡大、収益拡大につなげていく計画です。

商品開発・提供拡大&戦略的パートナーシップの強化に注力

2022年度の事業総括です。基本的にどの事業領域も収益に貢献しており、上向きといってよいかと思います。各事業の詳細については、これからご説明いたします。

持続可能な経営ニーズの拡大を追い風に、顧客企業の移行戦略支援を推進&売上伸長

中でも、我々が「Cyano Project(シアノプロジェクト)」と呼んでいるコンサルティングサービスにおいては、受注件数が前年(2022年)の24社から38社に増えており、金額的にも大きく増加しました。

企業からのニーズとしては、一時期は脱炭素の取り組みとしてTCFDやSBT関連のニーズが多かったのですが、最近ではサーキュラーエコノミーとして循環型ビジネスモデルへの変革ニーズに変わってきている状況です。移行戦略の支援方法としては「伴走型」であることが非常に重要だと考えています。まさに我々がサーキュラーエコノミーの担い手として、顧客に伴走しながら、一緒に実現していくフェーズにきていると感じています。

方針策定~仕組み化~具体化の統合支援が好評、今後さらなる提供拡大を見込む

我々のコンサルティングサービスの強みとポイントについてです。

1つ目のポイントとしては、スライドに記載のとおり、サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、自然資本などの生物多様性領域、SX/DXのすべての領域を横断して支援できることです。

2つ目のポイントは、計画や方針を作るだけでは終わらないという点です。実際にどのように仕組みを作っていくのか、さらに具体的な運用まで、複数年にわたって一気通貫で伴走型の支援をしていくことがCyano Projectの特徴となっています。

我々の持てるすべての領域のサービスを組み合わせて、統合的にビジネスモデルの転換を支援していくことが我々の武器であり、今後さらにニーズが高まる中で、支援の提供数は拡大していくと考えています。

不確実を確実に変える“調合技術”~情報を編纂し、新たな視点から価値を見出す

サービスの中の100パーセントリサイクル事業についてご説明します。我々は“調合技術”というものを用いて、40年もの間リサイクル事業に取り組んでいます。

廃棄物は非常に不確実で不安定であり、製品と違ってなかなか安定的に出てきません。しかし、それを資源として使いたいユーザー企業は、安定した品質での供給を求めています。不確実で不安定なものを、どのように安定的な資源、すなわち「信頼のおける資源」として提供するかが肝になります。

左から右へ扱いやすい廃棄物だけを流すのではなく、ユーザー企業の求める資源を提供するために、我々は廃棄物を元素レベルで分析し、ユーザーの求める規格に合わせて、複数の異なる廃棄物を組み合わせ、ブレンディングすることで、リサイクル資源を作っているのです。そういった意味では、我々は長年、情報編纂のような情報産業に近いことをしています。それが調合であり、ブレンディングの技術です。

取扱量が微減するも、業務プロセスの改善等により利益率は向上

リサイクル事業については、さまざまな世の中の影響もあり取扱量は微減となっていますが、利益率は向上しています。年々サービス体質が改善されてきており、国際情勢など外部環境が変化する中でもさらに収益を上げていける土台ができてきたのだと思っています。これまでもDX化による業務の効率化や価格・処理費の適正化などにも取り組んでおり、その結果として収益が上がりやすい体質ができてきたということです。

また、昨今再生資源のニーズが非常に高まっていることを肌身に感じています。特に石炭や代替燃料の領域でプレイヤーがかなり増えていると実感しています。

組織体制の変更&パートナー企業との提携で、リサイクル事業からサーキュラーマテリアル事業へ

2023年以降、リサイクル事業をさらに強化していくために、事業会社をアミタ社とアミタサーキュラー社の2つに分社化し、さらなる成長を目指します。分社化により、機動的かつ柔軟に経営の意思決定をしていく考えです。

アミタサーキュラー社が行う、サーキュラーマテリアル事業についてお話しします。我々はサーキュラーエコノミーの実現が、カーボンニュートラルや生物多様性の回復にも資すると考えています。そういった認識の上で、使用すればするほどCO2削減や生態系サービスの回復に寄与する循環資源や循環技術を「サーキュラーマテリアル」と呼び、アミタサーキュラー社ではその開発・製造・提供拡大に取り組みます。またCyano Projectを提供するアミタ社と密に連携し、企業のトータル的なサーキュラー化を一気通貫で支援していきます。

半導体業界の市場拡大を追い風に、好調推移&収益に大幅貢献

リサイクル事業の一環であるシリコンリサイクルは、堅調に伸びています。世の中が大きく揺れ動く中で、シリコンや半導体産業において一時的な停滞は確かにあるものの、スライド右上のグラフのようにEVなどの流れを追い風にして、長い目で見ると確実に伸びていきます。我々はそれを見越して今後の投資を進めていきたいと考えています。

スライド右下の写真は、北九州にあるシリコン再資源化設備です。現在2機の生産体制ですが、今年(2023年)は3機目の増設を予定しており、2024年には3機体制が整います。設備増強を通じた量的拡大に加え、リサイクル製品のさらなる高付加価値化にも取り組んでおり、こちらについては今後、みなさまにお知らせできる時がくると考えています。

マレーシアのリサイクルサービスが拡大中出荷量の増加&利益に貢献

海外の事業です。スライド右側のグラフのように、2021年は新型コロナウイルス感染症の影響でマレーシアでもロックダウンに近い状況があり、製造物の出荷量は一時的に少し下がりました。しかし、その後も依然としてニーズが大きいことを実感しており、生産は大幅に回復・増加しています。

さらに、2020年からニッケル再生資源の取り扱いを始めました。こちらは、マレーシア国内で発生する資源を日本へと輸出する海外トレーディング事業であり、2022年度は取扱量が急増しました。こちらも利益全体に大きく貢献しています。

今後はマレーシアにおいて既存事業だけでなく、ITサービスやコンサルティング等の社会デザイン事業領域を拡大していこうと検討しているところです。これらに関してもいずれみなさまに発表できればと思っています。

サステナビリティニーズの継続拡大により、FSC CoC森林認証を中心に顧客数が増加

環境認証審査サービスも堅調に伸びています。特にFSCのCoC森林認証(サプライチェーン認証)については顧客からの問い合わせが相次いでいる状況です。

水産認証に関しては、コロナ禍で飲食店のニーズがいったん停滞しましたが、現在また伸びてきています。2022年12月に開かれた生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で、水産認証のMSCが国際的な指標として認められるという発表がありました。

また、陸域と海域の30パーセント以上を健全な生態系として保全しようという国際合意「30by30」の動きからも、MSC/ASC認証は拡大していく見込みですので、このようなことから水産領域はまだまだ伸びると予測しています。

2023年にはTCFDから自然資本全体に視野を広げたTNFDも始まるため、自然資本や生物多様性における潮流が速くなり、我々にとっての追い風になると考えています。

部署横断で、自社業務プロセスのDX化・統合化を推進

業務効率化の取り組みとして、社内におけるDX化も大きく進めています。スライドに記載のように、請求書や仕入れ伝票など、いわゆる販売管理面でPC上の自動ロボット作業の導入といったDX化を進め、2022年は5,300時間の業務時間を削減する成果が出ました。まだまだ削減の余地があるため引き続き取り組んでいきます。

加えて、2023年以降の新たな取り組み分野として、サーキュラーマテリアル事業における調合や認証事業などでもDX化・効率化を行い、売上や引き合い増加への対応に繋げていきます。このような取り組みにより、後ほどご説明する週32時間就労についても着実に達成していこうと考えています。

互助共助コミュニティ型の資源回収ステーション「MEGURU STATION」

次は暮らしのRe・デザイン領域についてです。「MEGURU STATION(めぐるステーション)」はリユースなどを含めた資源の回収機能を持つサーキュラー拠点のようなものです。そこに人が集まることにより、互助共助のコミュニティ機能も高まっていきます。コミュニティの希薄化が自治体や地域の力を落としている中で、これらは大変重要な機能だと考えています。

つまり、互助共助コミュニティ機能と資源循環機能の両方を同時に達成できるのがMEGURU STATIONです。スライド左下にもありますが、千葉大学の先生方との研究の中では、MEGURU STATIONに通う人たちがそうでない人に対して、要介護になるリスクが低くなることが疫学的な調査で明らかになりました。

その理由は、MEGURU STATIONに行くことで、外出の頻度が増え、人と話す機会が増えます。その結果、幸福感を感じる人が増えるため、健康につながるわけです。そのような方が増えると、介護費等の財政負担が減るということが見えてきます。MEGURU STATIONを含む「MEGURU PLATFORM」を展開していくことにより、収益拡大を意図しています。

収益モデルとして、情報のプラットフォーム利用料、あるいは資源調達に関する収入、さらには、もともと自治体がかけてきた財政コストを低減しながら民間にシフトしていくことを想定しています。

2022年、3自治体 5箇所で稼働

2022年度は、福岡県大刀洗町と協定を締結して取り組みを行いました。人口が約1万6,000人の町で、町内には4つの小学校区があります。実は、昨日時点(2023年2月23日)で、4校区すべてにおいてこのMEGURU STATIONが設置されました。町のすべての方々がMEGURU STATIONを利用できるような状況づくりを初めて達成することができました。

MEGURU STATIONは奈良県生駒市でも継続しています。また、スライド右側の兵庫県神戸市でも展開を進めています。神戸市は、人口的にも非常にポテンシャルが高い地域ですが、最初は長田区に設置し、次に中央区と展開しています。神戸市は9区あるのですが、資源回収ステーションを全区に展開するということで、神戸市の動向と機会を合わせながら、今後もサポートしていきます。

2023年、開発と面的展開を加速

MEGURU STATIONは、まだ開発途上で投資段階にありますが、地域課題解決のプラットフォームになるということで多くの方に関心を持っていただいており、視察なども非常に多く行われています。このような中で、今後さらに1万箇所、5万箇所と展開していくビジネスモデルの型をどのように作っていくのかということに、おそらく2023年は待ったなしで注力しなければいけないと考えています。

そのためにも、アミタだけではできないことに関して、戦略的なパートナーシップを組んで実施していきます。三井住友信託銀行とは社会的インパクト評価の実施に取り組んでいきますし、BELLグループとは防災備品の可視化・共有化のクラウドシステムと連携して、コミュニティや地域の防災力を高めていく取り組みを実施しています。

災害時にはアレルギーの問題などもあり、実際にはすべての人が同じ食品を食べられるわけではありません。加えて、介護用品が必要なこともあります。そのような防災備品の最適化のためにも、このMEGURU STATIONを活かし、利用者情報の活用や防災領域の拡大も含めて、提携をさらに広げていくことに常に取り組んでいます。

企業連合によるサーキュラーエコノミーの実践

パートナーシップと関係性拡大の領域についてお話しします。我々はJ-CEPと呼んでいますが、「Japan Circular Economy Partnership」という企業連合においてサーキュラーエコノミーの推進・拡大に取り組んでいます。2022年10月で設立から1年が経ち、加盟企業は現在44社になりました。J-CEPは形式的な団体ではなく、意欲的に先を走り、トライアンドエラーを一緒に行っていこうという仲間が集まっています。

動静脈の連携はもちろんですが、サプライチェーン全体にまたがって実施することや、ライバル企業が「このような仕組みだったら一緒にできるよね」と共創するような土俵を作っています。ライバル企業同士だけ、あるいは業界団体だけでは、なかなか動けないという実態がある中で、このような少しフットワークの軽い仕組みを作ることで、サーキュラーエコノミーの実践を先行して取り組んでいこうと考えています。

MEGURU STATIONをフィールドにしたJ-CEPの取り組み

具体的には、スライドに記載しているような実証的なトライアルをどんどん進めています。例えば、循環しまわり続ける資源の実現ということで、MEGURU STATIONで回収した資源からベンチを製作しました。最近では、サンスターやライオン、三井化学と一緒に、神戸市で回収した歯ブラシを使って定規を作り、これをもう一度、神戸市に戻していくといった取り組みを行うなど、さまざまな取り組みから得られた結果をもとに課題の洗い出しを行っています。

取扱量的には大規模なものではないですが、サプライチェーンを回してみる、さらに先ほど熊野が申し上げたデジタルプロダクトパスポート(DPP)のような環境配慮の情報を乗せていくことで「回す」という、理屈だけではない領域を作っていこうと取り組んでいます。

2023年は、容器を持参して中身だけを購入するという、量り売りの実証を行ってみようという話が複数社で盛り上がっています。また、日用品の容器の規格を思いきって、ペットボトルのように統一しようといった提案もあります。これまでさまざまな所で、リサイクル設計に向けた議論は行われてきたものの、どれも実現には至っていないため、J-CEPとして実施していこうということでプロジェクトが始動しています。

このように、サーキュラーエコノミー実現に向けた取り組みにおいて、我々アミタはパートナーシップの中心的な役割を果たしていきたいと考えています。

戦略的なパートナーシップを強化・推進 〜「エコシステム社会構想2030」の実現に向けて〜

一部繰り返しになりますが、2022年度には、NTTコミュニケーションズ社、三井住友信託銀行、芙蓉総合リース社、BELLグループと、戦略的なパートナーシップを締結しました。今後は提携内容の具体化や、パートナーシップの拡大を考えています。

環境(アミタHD)×金融(MCP) 脱炭素経営を支援する合弁会社「Codo Advisory」設立

2022年春には「Codo Advisory(コウドウ アドバイザリー)」という株式会社を設立しました。パリ協定が発効されたフランス発の「ACT(アクト)」というプログラムを用いて、企業の脱炭素経営への移行戦略に向けて、コンサルティングおよびアセスメントを中心に提供しています。このACTは、非常に網羅的で、かつ移行戦略としては最適なプログラムだろうと考えています。Codo Advisoryは、教育のプログラムを含めると、すでに10社の支援を行っています。

また、2022年には三菱UFJ銀行、東京海上日動と業務提携を結び、金融機関のお客さまと一緒にサービスを提供しています。本社を福岡市に置いていますので、福岡市とも連携し、脱炭素地域として企業のカーボンニュートラルの実現を進めていく話になっています。

ブロックチェーンなどのWeb3技術を活用 アミタHD100%子会社「 AMIDAO 」設立

資料に記載のとおり「AMIDAO(アミダオ)」という会社を設立しました。社名は室町時代に、立場に囚われず理想社会を創るために活動した「阿弥衆(あみしゅう)」とDAOをかけた言葉ですが、自立分散型の組織としてディセントラリゼーションの形態で運用していくことを目指しています。いわゆるトークンエコノミーの設計を用いて、商業ビルやオフィスビルにおけるコミュニティとしての価値を強化し、利用者増加やテナントの入りやすさにつなげることを目指しています。

社会デザイン事業の市場創りを完成させ、2024年以降展開している状態を目指す

今後3年間の計画です。2023年は市場創造期の3年目で、2024年からは市場展開期に入ります。先ほどサーキュラーエコノミーの流れがすでに高まっている実感があるとお話ししましたが、それに本年(2023年)はネイチャーポジティブ、自然資本の要素が加わってきます。

今後サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、そして自然資本の3本柱の潮流は緩まることはないと見立てており、我々はサーキュラーデザインという考え方で、サービス提供を大きく推進していきたいと思っています。

海外においては、インドネシアでの展開について、またみなさまにお知らせする機会を作りたいと考えています。

社会・市場の期待に事業で応え、健全な野心的目標を掲げて躍進する3年間

今後3年間の数字です。営業利益については、2022年から2023年にかけて1.2倍の7億7,400万円、2024年には10億円を超えていくことを目標に掲げています。これは、トータルサービスであるCyano Projectを通じて、先ほどお話しした企業の3本柱の取り組みに貢献していくことで、高収益事業を増やし、収益を高めていくことで可能になると考えています。

スライド下部に記載のとおり、収益性を高めることで、2023年には営業利益率14.7パーセント、さらには20パーセントを超えるような高収益化を目指していくことを、中期経営計画として掲げています。

2025年の目標数値は大変大きいとお感じになると思いますが、MEGURU STATIONのプラットフォームを構築し、他社とのパートナーシップを拡大することで、非常に大規模な事業拡大ができると考えています。これまでとは一線を画すような大幅な収益化を、2025年には達成していきたいと思います。

関係性を価値とする企業文化性の醸成 週32時間就労への挑戦+給与のベースアップを実施

最後になりますが、2022年夏から週32時間就労、実質的には週休3日相当ですが、こちらのトライアルを開始しました。この半年間で、残業も含めて就労時間は大きく減りましたが、ご承知のとおり収益は上がっています。この結果に手応えをつかみ、2023年からは本格的に制度を導入し、週32時間就労に移行しています。

同時に給与ベースもアップするということで、正社員は6.5パーセント、パートナー社員と契約社員は7.8パーセントの大幅なベースアップと、就労時間の短縮の両方を達成していきます。価値創造力を高めるとともに、社員のウェルビーイングも高めることへ果敢に挑戦し、実現していきたいと考えています。

2023年は2030年ビジョンの実現に邁進

2022年は多くの方々と関係性を拡大し、まさにエコシステム経営元年になったと振り返っています。今年はさらに関係性を拡大し、2030年ビジョンの具現化に向けて邁進していきたいと思います。ぜひ我々の挑戦にご期待いただきたいと思います。

末次氏からのご挨拶

司会者:決算説明は以上ですが、熊野がお話ししたとおり、2023年は組織体制を変更しています。この場をお借りし、次期アミタホールディングス株式会社代表取締役社長に就任予定の末次貴英、ならびにグループ会社の代表取締役より、みなさまへ一言ご挨拶を申し上げます。

末次貴英氏:みなさま、こんにちは。アミタホールディングスの末次でございます。本日は本当にお忙しい中、お時間を作っていただきまして誠にありがとうございます。先ほどいろいろとお話がありましたように、アミタ自身も大きな転換点を迎えていると思います。そのような雰囲気を、市場関係者のみなさまにも少し感じていただけるような場になったのではないかと思います。

アミタは現在、社会や資本の関係性が増幅するメカニズムが生み出される循環型のビジネスモデルやプラットフォームを一生懸命構築しようとしています。これは自社の利益だけではなく、社会全体の共通益になると思います。つまり、金融市場も含め、産業全体の社会的な価値やインパクトを高めながら持続することにつながっていくのではないかと思っています。

私たちは2022年に、ステークホルダーの利益の総和を企業価値として高めていく、ステークホルダー経営を定款に掲げ、さらに取締役の義務としました。エコシステム社会の実現とは、まさにこの義務、責務を果たすものだと思っています。しかしながら、このようなビジョンや目標に向かって進む道というのは、いまだ私たちだけでは達成できないと思っていますし、さらに多くの経営資源が必要だと思っています。

私の役割は、ビジネスモデルや成長戦略を可視化することに加えて、本日ご出席いただいたみなさまと深い対話をしていきながら、経営戦略の執行力を高めていくことだと考えています。

この数年、アミタは商品やサービス、または業務プロセスを統合し高めていくことで、利益額や利益率を高めてきました。これからは、ステークホルダーのみなさまとの統合を通じて、新しいイノベーションの実現に向けてがんばっていきたいと思っていますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。

田部井氏からのご挨拶

田部井進一氏:みなさま、こんにちは。アミタ株式会社の田部井と申します。アミタ株式会社は企業と地域の移行戦略を支援していく会社です。何から何への移行かということですが、これまでのものづくりやライフスタイルから、エコシステム型のものづくりや地域へと変わっていくところを支援していきたいと思っています。

その領域は3つあります。サーキュラーエコノミー、カーボンニュートラル、そして2023年に始まるネイチャーポジティブです。私どもは、これまでコンサルテーションやICT、そして認証によるトレーサビリティを推進してきました。今後はさらにそれを加速していくことが私どものミッションだと考えています。

モノを作れば作るほど、使えば使うほど、買えば買うほど、世の中が良くなりウェルビーイングが向上するような事業を展開していきたいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。

土元氏からのご挨拶

土元健司氏:みなさま、こんにちは。アミタサーキュラー代表の土元です。ロシアのウクライナ侵攻から1年が経ち、資源やエネルギーの社会的問題、経済的問題はまだまだ変わっていません。その市場変革が非常に大事な状況だと理解しています。

社会全体を見ても、価値行動の変容が重要な部分となり、技術革新と合わせて、この2つが非常に重要なポイントだと理解しています。

その中で、アミタサーキュラー社としては、これまでは天然資源を代替製造する地上資源事業を進めてきましたが、市場変革のニーズに対し、これからはCO2の削減や生態系の回復を証明できるようなサーキュラーマテリアル事業へ進化します。

冒頭で熊野から説明がありましたが、アミタの理念に「凡人集まりて非凡を成す」という言葉があります。まだ見ぬ挑戦に社内全体で挑戦することと、いろいろな企業とさまざまなアライアンスを組みながら、大きな挑戦をかたちにして、サーキュラーマテリアル事業の確立を図っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。

岡田氏からのご挨拶

岡田健一氏:みなさま、こんにちは。AMIDAOの岡田です。「大切なものほど目に見えない」という言葉がありますが、ステークホルダーとの関係性や、持続可能性や共同体への愛着といった目に見えないものほど、実は社会や経済を動かす動機になっていることがありますし、今後はますますそのような時代になっていくと思います。

AMIDAOは、これらの見えない価値を視覚化していくことにより、人々が自然体で、かつ社会的行動動機に基づいて行動し、社会や経済の関係性を豊かにしていくことを目指していきたいと思います。

AMIDAOとしては、当面は場への愛着、つまりプレイスプライドをキーワードとし、商業施設やオフィスに対してこのようなものを導入することを目指していきます。アミタグループの新しい挑戦にぜひご期待ください。

鈴木氏からのご挨拶

鈴木香織氏:みなさま、こんにちは。Codo Advisoryの鈴木です。昨今のニュースでも、気候変動に対する話題が非常に増えていますが、まさに今、全人類に対して喫緊の課題となっています。この課題に対して、Codo Advisoryはフランスとイギリスから取り寄せているグローバルスタンダードを用いて、企業に対して野心的な目標を具体的に戦略に落とし込む、そのようなサポートを行っていきます。

私たちは非常に多様性に富んだチームで運営しています。さまざまなパートナー企業のみなさまと一丸となり、アミタグループのミッション達成に寄与していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

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