3. 退職金が2000万円あれば老後は安泰なのか

2019年に話題となった「老後2000万円問題」をきっかけに、老後資金の目安を2000万円としている方もいます。

ただし、「老後2000万円問題」の根拠となった試算には注意点があります。

「市場ワーキング・グループ」(第21回)厚生労働省提出資料)にある、「老後2000万円問題」の算出根拠は以下のとおりです。

出所:金融審議会「市場ワーキンググループ」(第21回)厚生労働省提出資料「iDeCoを始めとした私的年金の現状と課題」をもとにLIMO編集部作成

「夫婦の収入が20万9198円、支出が26万3718円だった場合に、30年間の赤字が1980万円になる」というのが「2000万円」の正体です。

支出26万3718円の内訳も確認してみましょう。

〔内訳〕

  • 食料: 6万4444円
  • 住居: 1万3656円
  • 水道・光熱 :1万9267円
  • 家具・家事用品: 9405円
  • 被服及び履物 :6497円
  • 保健医療 :1万5512円
  • 交通・通信 :2万7576円
  • 教育:15円
  • 教養娯楽 :2万5077円
  • その他の消費支出:5万4028円
  • 非消費支出 :2万8240円

「我が家の場合」と比較した場合、相違点がいくつか見つかるのではないでしょうか。

例えば住居費は1万3656円となっていますが、持ち家の方と賃貸の方を合わせた統計のため、平均値は実態を表していないことがわかります。

介護費用等も考慮すると、2000万円以上が必要になる家庭もあるでしょう。

退職金が2000万円あったとして、誰もが安泰とはいえないのです。