2023年3月2日に発表された、株式会社船場2022年12月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社船場 代表取締役社長 八嶋大輔 氏
株式会社船場 取締役執行役員 経営企画・財務経理・PR担当 秋山弘明 氏
2022年12月期決算説明
秋山弘明氏:みなさま、こんにちは。株式会社船場、財務経理担当役員の秋山でございます。当社の2022年12月期決算説明をご覧いただき、ありがとうございます。
本日は、私より2022年12月期決算状況をご説明したあと、代表取締役社長の八嶋より、2022年からスタートした中期経営計画の進捗及び2023年以降の業績見通しをご説明します。
業績ハイライト
2022年12月期の業績ハイライトです。当社を取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による一時期の停滞状態から持ち直し、徐々に回復傾向にあります。
売上高は中期経営計画の戦略推進の成果もあり、前期比18パーセント増加の228億1,000万円となりました。売上高の増加による利幅の拡大や生産性向上に向けた取り組みなどの効果もあり、営業利益は7億7,600万円、当期純利益は4億5,100万円と、前期比で大幅な増益となりました。
連結売上高:国内・海外売上内訳
国内・海外の売上高の内訳です。売上構成比は国内が84.9パーセント、海外が15.1パーセントと、2021年からほぼ変化はありません。売上額推移は国内が前期比18パーセント増加の193億6,000万円、海外が前期比16パーセント増加の34億4,900万円と、国内・海外ともに伸長しています。
連結損益計算書
連結損益計算書です。売上高は商業分野での受注拡大や中期経営計画で掲げている新たな市場の開拓、注力分野での大型案件獲得もあり、前期比118.4パーセントの228億1,000万円となりました。
売上総利益は、一部原材料価格の高騰や競争激化による下振れリスクもありましたが、売上高の増加による利幅拡大、継続的な工事原価低減への取り組みやDX推進などによる生産性の向上もあり、前期比118.6パーセントの38億1,500万円となりました。売上総利益率も16.7パーセントと、2021年の高水準を維持できています。
販管費は人件費の増加やIT投資もあり、前期比110.3パーセントの30億3,900万円となりました。その結果、営業利益は7億7,600万円、経常利益は7億3,600万円、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5,100万円と、前期から大幅な増益を計上することができました。
連結貸借対照表
連結貸借対照表です。スライドに記載のとおり、流動資産は前期末比5億8,900万円の増加、固定資産は4,600万円の減少となりました。資産合計は、前期末比5億4,300万円増加の173億4,800万円となりました。
流動負債は前期末比3億7,200万円の増加、固定負債は1億9,300万円の減少となりました。負債合計は前期末比1億7,900万円増加の61億2,300万円となりました。
純資産は前期末比3億6,400万円増加の112億2,500万円となりました。自己資本比率は64.7パーセントです。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況です。営業活動によって得られたキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上や売上債権の回収などにより、12億8,000万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産取得などにより2億400万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払などにより2億5,500万円の支出となりました。
現金及び現金同等物は前期末から9億500万円増加し、期末残高は95億6,100万円となりました。
受注残高:市場分野別
期末受注残高は45億5,300万円で、前期末と比較すると7億6,700万円減少しています。
2022年は上半期に売上が偏っており、その影響で2021年末の受注残高が53億2,000万円に膨らんでいたことが要因です。
それに対して、2023年は下半期に売上が偏る計画になっているため、今後は受注高が徐々に積み上がっていくと想定しています。私からのご説明は以上となります。
中期経営計画
八嶋大輔氏:代表取締役社長の八嶋でございます。当期(2022年12月期)の成果を中期経営計画に照らし合わせてご説明します。
当期は中期経営計画の初年度でした。中期経営計画ではスローガンに「Make a New Wave!」を掲げています。新しい波を起こすために、エシカルとデジタルの実装、新たな市場の開拓、海外事業戦略としての「SEMBA One Asia」、人事戦略として変化を支えるダイバーシティ戦略を柱としています。
進化系ロゴへアップデート
新しいロゴをご紹介します。当社の使命である「未来にやさしい空間を」を実現するためにタグラインを添えて進化させました。タグラインは当社のビジョンである「Good Ethicai Company」です。
新しい中期経営計画の根幹にはエシカルデザインとデジタルデザインがあります。当社がこれをどのように実装してきたのか、動画にまとめましたのでご覧ください。
(動画流れる)
エシカルの実装
エシカルの実装についてご説明します。当社では、2024年までに施工現場における産業廃棄物リサイクル率を90パーセント以上にしたいと思っています。
全国にネットワークを作り、毎月安全大会を実施している「船場会」という協力企業の集まりがありますが、「船場会」の協力を得て、当社の2022年の産業廃棄物リサイクル率は89パーセントまで上がりました。
「船場の現場は違う」とおっしゃる協力企業の方もおり、現場のエシカルを進めることは整理整頓や安全管理につながっています。
サステナ度の見える化
サステナビリティへの貢献度を見える化するため、国際基準や国の基本構想に参加するべく、数値化に取り組んでいきます。
また、環境への負荷が小さい建材を「エシカルマテリアル」と位置づけて積極的に広めたり、サンプル収集の無駄を省くデジタルシステムを導入したりと、独自の新しいインテリアデザインのあり方を模索しています。
未来型デジタル設計 BIM
当社のデジタル戦略の柱は、「BIM(Building Information Modeling)」と呼ばれる未来型のデジタル設計の手法です。これによりVR・ARを含めてデザイン提案力が格段に上がり、竣工後の施設メンテナンスやオペレーションに活かせるなど、将来は建設や内装業務の主流になると言われる「BIM」をいち早く取り入れています。
2022年末実績で、当社設計者の59パーセントが「BIM」の基本技術を習得しました。これによりクライアントへのプレゼン数も増え、大きな成果を挙げています。
デジタルで労働時間問題に向き合う
業務のデジタル化により、仕事のスピードが上がり、残業時間の低減にも成功しています。当社を含め建設業では、来年度からの労働基準法改正により、残業規制が厳しくなります。これをクリアすべく、さらなる生産性の向上に努めていきます。
メタバース・NFT領域で業務提携 メタバースソリューション「Vterior」の提供開始
当社が「BIM」で設計したデータは、仮想空間の構築や運営に利用できます。当社が保有するこのデータを活かし、メタバース・NFT領域にも参入すべく、専門のベンチャー企業と提携し、メタバースソリューション「Vterior」を提供開始する予定です。
市場分野別売上高
市場戦略では新たな市場を開拓すべく、3つの注力分野を設定して取り組んできました。2022年12月期は、既存分野の復調とともに売上増に貢献しました。
注力分野 売上額の内訳
3つの分野とは、「仕事場」「学び舎」「いやしの場」です。それぞれの内訳はスライドのとおりです。次のスライドから代表的な物件をご紹介します。
サントリー天然水 北アルプス信濃の森工場:2022年4月オープン
まずは「仕事場」です。長野県信濃大町にあるサントリーの新工場内に、工場を紹介するショールームを設営しました。当社のエシカルデザインを発揮し、水を作る上で最も大切な循環が実感できる設計となっています。
大阪デザイナー専門学校:2022年4月オープン
次は「学び舎」です。当社社員も多数学んだ、大阪デザイナー専門学校の改装に際し、使われなくなった家具や廃棄予定の家具などを再利用し、エシカルデザインを活かして愛着のある新しい学び舎を作りました。
ISUMI Glamping Resort&Spa SOLAS:2022年6月オープン
「いやしの場」は、千葉県いすみ市にオープンしたグランピング施設です。都心からそう遠くない場所ですが、宇宙基地を連想するようなドームテントに泊まり、満天の星を見ながら、日常から隔絶された時間を過ごせる空間が出来上がりました。
海外連結子会社別売上高
海外戦略について、売上高は前期比16パーセント増加の34億4,900万円となりました。各地で市況が復調してきましたが、上海については、4月、5月の2ヶ月間のゼロコロナ政策によるロックダウンで閉鎖状態となり、営業活動できなかったことが想定外でした。
業績計画
以上、2022年12月期の実績を踏まえ、2023年12月期の業績見通しをお話しします。2022年12月期は中期経営計画の初年度でしたが、利益面で計画を若干上回って着地しました。
エシカルデザインを推進し、注力分野に取り組むことにより、しっかりと付加価値を実現して、既存分野での価格競争の影響を最小限にすることができたと思っています。今年、来年と引き続きこの戦略を強化することにより、中期経営計画を着実に実行していきたいと思います。
配当計画
株主還元策については、配当を第一義としています。2022年は2021年より8円増配します。2023年、2024年の配当計画についてはスライドをご覧のとおりですが、みなさまの期待を超えられるよう、真摯に経営に邁進し、企業価値を高めていきます。
本日は最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。