2023年2月24日に発表された、株式会社アンビション DX ホールディングス2023年6月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社アンビション DX ホールディングス 代表取締役社長 清水剛 氏
AGENDA
清水剛氏(以下、清水):株式会社アンビションDXホールディングス代表の清水でございます。本日は、当社の2023年6月期中間決算説明会にご参加いただき、誠にありがとうございます。
スライドは本日のアジェンダです。Section1では全社の2023年6月期第2四半期決算概要、Section2ではセグメント別の決算概要、Section3では方針、Section4では通期業績予想ならびに配当予想、Section5では直近のトピックスについてお話しします。
全社 ポイント(2023年6月期2Q)
決算概要です。2023年6月期第2四半期について、売上高は前年同期比18.4パーセント増、営業利益は前年同期比46.7パーセント増、経常利益は前年同期比46.1パーセント増で、増収・大幅増益となりました。
当社の主力事業である賃貸DXでは、プロパティマネジメント事業のDX施策が順調に成果を上げ、売上高は前年同期比15.1パーセント増となり、管理戸数は1,436戸増加しました。お部屋探しシーズン前ではありますが、入居率も97.2パーセントと高水準を達成しています。また、賃貸仲介事業ではリーシング(客付け)を行い、当社管理物件の入居率に貢献しています。
売買DXでは、インベスト事業で計画どおりに販売を行い、プロパティマネジメント事業の管理戸数増加に寄与しています。
全社 業績ハイライト(2023年6月期第2四半期 実績)
2023年6月期第2四半期の業績ハイライトです。売上高は前年同期比18.4パーセント増の172億600万円、営業利益は前年同期比46.7パーセント増の7億9,500万円、経常利益は前年同期比46.1パーセント増の7億4,000万円、四半期純利益は前年同期比58.3パーセント増の4億2,300万円となっています。
全社 損益計算書
連結の損益計算書です。EBITDAは前年同期比39パーセント増の9億2,900万円、営業利益は前年同期比46.7パーセント増の7億9,500万円、経常利益は前年同期比46.1パーセント増の7億4,000万円、四半期純利益は前年同期比58.2パーセント増の4億2,300万円となっています。
全社 貸借対照表
貸借対照表です。固定負債が4億4,300万円減少していますが、こちらは長期借入の減少によるものです。
全社 管理戸数の推移
管理戸数の推移です。管理戸数は継続して順調に増加しています。現在の管理物件戸数は2万4,520戸で、2万5,000戸を超えるまであとわずかです。
全社 入居率の四半期推移
入居率の四半期推移です。DX施策が功を奏し、高い入居率をキープしています。
事業セグメント
セグメント別の決算概要です。当社にはスライドに記載の5つの事業セグメントがあります。
セグメント別売上高・構成比
セグメント別の売上高・構成比です。当社は、ストックビジネスである賃貸DXが売上全体の5割強を占めています。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業 2023年6月期第2四半期 実績
プロパティマネジメント事業の2023年6月期第2四半期の実績です。売上高は前年同期比15.1パーセント増の93億2,700万円、セグメント利益は前年同期比41.9パーセント増の6億2,800万円となっています。
サブリース管理戸数の増加により増収、DX施策による管理コスト抑制が功を奏し増益となっています。入居率向上施策により入居率も97.2パーセントと高水準です。
DXの主な取り組みとして、業務効率化を促進する次世代管理システム「AMBITION Cloud」や、ブロックチェーンを活用しデジタルでの賃貸契約を実現する電子契約サービス「AMBITION Sign」、入居者との継続的な関係性の向上を図る入居者アプリ「AMBITION Me」をリリースしています。これにより、業務効率・生産性向上、お客さまのお部屋探しの体験価値向上を実現しています。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業
ブロックチェーン不動産DX「AMBITION Cloud」の全体像です。賃貸管理のワークフローである物件獲得から募集、内見・申込・審査、重要事項説明・契約までを「AMBITION Cloud」でシームレスにデータ連携し、お客さまと関連ステークホルダーとのやりとりをDXで効率化しています。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業
2022年5月18日施行の「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」による改正にあわせて、ブロックチェーン技術を用いた独自の電子契約パッケージ「AMBITION Sign」の運用を開始しました。これまで、来店、紙、郵送で行っていたものを、オンラインですべて完結し、契約書類の保管までをデジタルで実現しています。
また、他社の電子契約サービスと相違する点は、業法上のワークフローに沿って締結がなされるため、リーガルリスクを軽減しています。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業
プロパティマネジメント事業では、入居者が利用する生活プラットフォームを構築しています。入居者との継続的な関係性の向上を図る入居者アプリ「AMBITION Me」で、入居から更新・退去に至るまで、お客さまとつながり続けることが可能です。
今後、オンライン診療・インフラ(電気・ガス・水道)・保険などの生活サービスと連携予定です。また、正しい情報を正しいかたちで届ける広告なども検討しています。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業 当社の成長ポテンシャル
プロパティマネジメント事業の成長ポテンシャルについてです。獲得可能な市場、いわゆる当社が勝負している首都圏エリアでもさらなる成長が可能だと考えています。 全国の委託管理における当社のシェアはわずか0.5パーセント、サブリースでは0.4パーセントで、今後さらなる成長が見込まれます。今後、当社のシェアを1パーセント、5パーセント、10パーセントへと拡大させ、業績も大幅に成長すると考えられます。
【賃貸DX】プロパティマネジメント事業 当社ターゲット市場の環境
当社のターゲット市場の環境です。当社が強みを持つ「首都圏×ワンルーム」市場は今後も拡大が見込まれます。
現在インバウンドは回復傾向にあり、転入超過もコロナ禍以前の水準に向かって回復傾向です。また、当市場は継続的な人口推移が見込まれ、特にターゲットである単身者の都心集中によりさらなる成長が予測されます。
【賃貸DX】賃貸仲介事業 2023年6月期第2四半期 実績
賃貸DX・賃貸仲介事業の2023年6月期第2四半期の実績です。売上高は3億2,700万円で、セグメント利益は5,600万円の赤字となっています。
Web集客・リモート接客・オンライン契約などの非対面サービスの強化や、集客施策および繁忙期に向けた人員増加により、売上高は増加しました。一方で、人員およびDX施策への投資や広告宣伝費の増加などにより、収益は赤字となりました。今後のさらなる拡大を意図した投資であり、巻き返しを図っていきたいと考えています。
【賃貸DX】賃貸仲介事業 AI×RPAツール『ラクテック』
従来手作業で行っていた物件情報掲載業務を、AIとRPAを掛け合わせたツール「ラクテック」で自動化しています。これにより、仲介業務の入力作業のスピード化や反響数アップに貢献しています。
【賃貸DX】賃貸仲介事業 コンシューマー向けサービス(ルムコン)
コンシューマー向けサービス「ルムコン」についてです。「ルムコン」はお部屋探しユーザーとルームコンシェルジュ(不動産仲介営業マン)をつなぐマッチングアプリです。現在、ユーザー数・契約数ともに増加傾向で、賃貸仲介事業に大きく貢献しています。
お部屋探しにおいて重要なのは営業マンであるという世界観を作り上げたことで、ユーザー数と契約数が増加しました。既存の反響媒体である「SUUMO」や「HOME'S」からの集客に頼らない新しい集客チャンネルとして、賃貸仲介事業に貢献しています。
【売買DX】インベスト事業 2023年6月期第2四半期 実績
売買DXのインベスト事業についてです。2023年6月期第2四半期の実績としては、売上高は前年同期比29.5パーセント増の73億800万円、セグメント利益は前年同期比66.6パーセント増の10億9,300万円で、計画どおりの販売戸数となりました。当事業の販売物件は、売却後に管理戸数の増加に寄与しています。
【売買DX】インベスト事業 当社のデザイナーズマンション
当社が運営しているデザイナーズマンションについてです。立地を重視、著名デザイナー・建築家監修のデザイン、現代のニーズに合った設備仕様の観点からプレミアムな資産価値を創造しています。
インキュベーション事業 2023年6月期第2四半期 実績
インキュベーション事業についてです。こちらはグループ会社のアンビション・ベンチャーズで展開しています。2023年6月期第2四半期の実績としては、セグメント利益3,600万円の赤字です。
今期は新たに5社へ投資を実行し、合計24社のベンチャー企業へ投資しています。
【不動産DX】その他事業 2023年6月期第2四半期 実績
不動産DXのその他事業についてです。不動産DX事業は子会社Re-Tech RaaS(リテックラース)、少額短期保険事業は子会社ホープ少額短期保険、海外システム事業は子会社アンビションベトナムで運営しています。2023年6月期第2四半期の実績としては、売上高は2億4,300万円、セグメント利益は6,600万円の赤字となりました。前年比では収益改善の傾向です。
不動産DX事業は、Re-Tech RaaSで当社プロダクトの企画や開発、販売を行っています。また、不動産DX事業を機動的に推し進めるために、IT先進国を目指すベトナムで海外システム事業のシステム開発や運用、RPA、BPOなどを行っています。
少額短期保険事業はインシュアテックを推進した、住まいに関わるリスクヘッジ商品を提供しているホープ少額短期保険が担っています。独自開発の電子保険システム「MONOLITH」の活用により、お客さまと取引業者との手続きが効率化され、代理店取引者数が増加傾向です。また、保険契約者数も順調に成長しています。
【不動産DX】当社の強み 不動産DXを一気通貫で実現
当社の強みは、不動産DXを一気通貫で実現していることです。当社は開発から企画、仕入れ、管理、仲介、保険、二次流通まですべての不動産業務をワンストップで提供し、不動産業務全体のDXを推進しています。
【不動産DX】当社の強み 事業バリューチェーンを不動産DXで業務効率化
同じく当社の強みとして、事業バリューチェーンを不動産DXで効率化しています。対面・書面・郵送・電話などの従来のやりとりにおいて不動産DXプロダクトを活用し、デジタルを通じた業界変革を行っています。
【不動産DX】当社の強み インハウスでDX推進を行い全体最適を実現
当社は、子会社のRe-Tech RaaSや多様な技術を持つアンビションベトナム、全体のDX推進をリードする「DX推進室」によりインハウスでDX推進を行い、全体最適を実現しています。近代化した不動産DX企業として、すべての不動産分野で自前のDXを推進中です。
高精度AR/VRで完璧な内見体験 全ての説明・契約はスマホで完結
高精度なAR/VRによる完璧な内見体験や、すべての説明・契約がスマートフォンで完結可能となることで、当社が目指す世界観に少しずつ近づいていると感じています。
オーナーも、管理会社も、仲介会社も。ひとつのプラットフォーム
「オーナーも、管理会社も、仲介会社も。ひとつのプラットフォーム」をテーマに「AMBITION Cloud」を運用しています。
構想
不動産ビジネスを一気通貫で効率化できるDXプラットフォームを構築し、さらなる快適な住まい体験を提供していきます。
方針
方針です。中期経営計画達成に向けて、DX推進による事業変革、M&A推進など非連続的な業容拡大への取組み、新たなDXプロダクトの開発・販売による業界変革を考えています。
方針01 DX推進による事業変革
DX推進による事業変革についてです。AIやブロックチェーン、ビックデータを活用したシステム、DX推進により既存の事業のバリューアップを行い、新規事業の創出につなげていきたいと考えています。加えて、デジタルデータの最適化を行い、あらゆることに活用していきたい考えです。
方針02 非連続な業容拡大への取り組み
非連続的な業容拡大への取り組みとしては、既存事業のオーガニック成長に加え、M&A・アライアンス・ベンチャー投資の加速を掲げています。
方針03 DXプロダクト開発による業界変革
DXプロダクト開発による業界変革についてです。不動産DX事業における既存サービスの機能拡充・外販強化に加え、新たな不動産DXプロダクトの開発・販売促進、浸透によって業界変革を実現していきたいと考えています。
2023年6月期の方針と施策の進捗状況
2023年6月期の方針と施策の進捗状況です。「AMBITION Cloud」は全稼働、「AMBITION Sign」は仲介版と管理版が完了しています。「ルムコン」はユーザー数と契約数がいずれも増加しており、「AMBITION Me」は入居手続きの実装が完了しました。
DX施策 進捗状況一覧
DXプロダクトの進捗状況一覧です。業務効率化の貢献度が高くなってきており、今後の戦略実現に向けて尽力したいと考えています。
当社関連不動産DX分野
当社関連不動産DX分野です。ローン・保証を除く分野で不動産DXサービスを展開中です。
全社 業績予想(2023年6月期通期)
通期の業績予想と配当予想についてです。業績は増収・増益を予想しています。
全社 目標とするKGI
目標とするKGIです。2025年6月期には売上高500億円、営業利益30億円を実現したいと考えています。
全社 配当予想
配当予想です。成長分野への積極的な投資を行いつつ、安定的な株主還元を継続する方針です。2022年から1株1円増加の1株20円で、配当性向16.2パーセントを計画しています。
直近のTOPIC1
直近のトピックスをご紹介します。入居者DXアプリ「AMBITION Me」の提供を開始し、サービスを報告しました。
直近のTOPIC2
ブロックチェーン不動産DX「AMBITION Cloud」の構想を発表しました。
直近のTOPIC3
「ラクテック」にAI画像認識・自動登録機能を実装したと発表しました。
直近のTOPIC4
当社子会社のホープ少額短期保険が、保険料収入ランキングにおいて大きく躍進したと発表しました。
質疑応答:下期の業績動向について
司会者:「下期の業績動向について教えてください」というご質問です。
清水:現在のところ、下期においても計画を達成できる見込みです。数字に変更等があった場合は、速やかにご報告します。
質疑応答:インキュベーション事業における下期の投資予定について
司会者:「インキュベーション事業について、下期であらたな投資先はありますか?」というご質問です。
清水:第2四半期から継続して検討中の案件はあります。
質疑応答:DX推進の新規プロダクト開発・販売予定について
司会者:「DX推進の新規プロダクトの開発や販売予定があれば、具体的な説明をお願いします」というご質問です。
清水:AIを用いた言語処理について、当初から弊社で企画・研究中のものがあります。まだプロダクト開発には至っていませんが、公表できるようになりましたら適切にお知らせします。
質疑応答:「AMBITION Sign」の他社への販売について
司会者:「自社開発の『AMBITION Sign』の他社への販売予定はありますか?」とのことです。
清水:将来的な販売は計画していますが、時期については公表を差し控えたいと思います。
質疑応答:2023年度6月期の伸びについて
司会者:「中期経営計画の目標では2023年6月期の伸びが小さいようですが、先行投資の影響でしょうか?」というご質問です。
清水:前期はインキュベーション事業の売上・利益が寄与している関係上、このようなかたちになっています。今期はインキュベーション事業の売上・利益はゼロですので、その分、既存事業はかなり成長しています。会社としての本当の実力がついて強くなっていると考えていただければと思います。
質疑応答:業者向けDXサービスの単価について
司会者:「業者向けDXサービスの外販について、単価は現状でどの程度引き上げ余地があるとお考えでしょうか?」というご質問です。
清水:「ラクテック」は約2万円で外販しており、さらにアップセルできるように新たな機能を開発しています。
質疑応答:「AMBITION Sign」および「AMBITION Me」の反響について
司会者:「『AMBITION Sign』および『AMBITION Me』について、ユーザー・外国人居住者も含めて反響はどのような状況でしょうか?」というご質問です。
清水:海外在住で日本へ移住を検討されている方にも利用いただけるようになっており、実際に契約したお客さまもいます。契約書や重要事項説明、鍵の受け取り、現状確認の書類など、あらゆる手続きで紙がなくなり、すべてをオンライン化したことに対して評価をいただけているのではないかと思います。
質疑応答:DX投資額について
司会者:「先行投資としてのDX費用について、今期・来期の投資額を教えてください」というご質問です。
清水:具体的な回答は差し控えたいと思います。ただし、今期・来期ともにDX投資を止めるつもりはありません。
質疑応答:DXを推進する上でのKPIについて
司会者:「管理戸数と入居者率について、DXを推進する上でのKPIはあるのでしょうか? その指標と近年の推移、今後の目標値を教えてください」というご質問です。
清水:あくまで社内的なKPIですが、入居率は直近で97パーセント以上を1つの目安としています。DXを推進する上では、入居率が重要な指標であると考えています。
質疑応答:日本の金利上昇の影響について
司会者:「今後日本で金利が上昇した場合、事業にどのような影響があるのか教えてください」というご質問です。
清水:金利が上昇した場合、購入者のマインドが冷えてしまうのではないかと考えられますが、日本の不動産市況はこれからどんどん活性化していくと思っています。資産価値がますます高まっていくのは、日本だけでなくアジア各国、あるいは世界的な不動産の傾向です。
したがって、一時的に消費者マインドが少し冷え込む可能性はありますが、全体的に見るとそのようなことはないのではないかと私自身は考えています。海外投資家が日本の不動産に非常に興味を持って動いています。今後海外投資家という購入者が入ってくることで競争力に拍車がかかり、不動産はさらに盛り上がると思います。