先週は欧州中央銀行(ECB)理事会、日銀金融政策決定会合を大きなサプライズなく通過した為替市場。しかしながらドル/円はサポート&レジスタンス(サポレジ)に接近、ユーロ/ドルは2015年以降形成しているサポレジ付近に上昇と、個別の通過ペアでは重要な値位置に近づいています。

先週の為替市場振り返り

先週のECB、日銀による発表はともにサプライズはなく、相場の方向性が変わることはありませんでした。よってファンダメンタル要因に大きな動きのない、基本的にそれまでのトレンドが継続した週となりました。

ドル/円は下落が継続し、21日には111円割れ寸前の水準にまで下落。また高値を更新しながらの上昇が続いているユーロ/ドルも上昇を継続しました。

ドルインデックスの下落が継続

ドルインデックスというドル中心の視点で見れば、先週の為替市場はドルが下げた週と言えます。先々週、14日の段階で6月のサポレジを下方向にブレイクしており、先週はさらに下方向に進む展開となりました。

その他の周辺市場では、原油価格(WTI)が47ドル台にまで上昇後、下落。最終的には週足で陰線となり、45ドル台半ばで取引を終えています。

また、金価格が引き続き上昇する一方で、VIX指数は歴史的な安値圏内に沈んでおり、リスクオンと簡単には判断できない状況が継続しています。

株式市場では米株の上昇が顕著で、ダウ平均の高値更新に続き、6月に大きく下落したナスダック指数も再上昇して高値を更新。米株市場の買い意欲の強さが再認識される展開となりました。

今週の為替市場見通し

今週は28日に米国4-6月期GDPの発表ありますが、それ以外には特に重要な指標発表の予定はありません。よって、突発的なファンダメンタル要因の変化が生じなければ、引き続き先週のトレンドが継続する可能性が高い週となります。

これまでドル/円は下落、ユーロ/ドルは上昇トレンドとなっており、これが継続するか否かがポイントです。ドル/円は6月に108円台半ばまで下がっているため、サポレジの観点からはまだ下落余地はあります。

一方、ユーロ/ドルは2015年に形成したサポレジの上限付近に位置しており、そのまま上昇するのか、2015年のサポレジで反転するのか、重要な値位置に到達しています。そのまま上昇するなら、2015年以来継続したレンジ相場の上方ブレイクとなります。

トランプ政権のロシア疑惑報道で動く為替市場

これまでトランプ政権の数々のロシア疑惑が報じられていますが、新たな報道があるとドルが下落するという傾向が継続しています。

先週は、ロシア疑惑を調査するモラー特別検察官が捜査対象をトランプ大統領のビジネス領域にまで広げているとの報道を契機にドルの下落に勢いがついています。まだ報道ベースではありますが、今後の情勢の変化につながることも考えらえるので、注意が必要です。

まとめ

大きなイベントがないため、これまでのトレンドが継続する可能性が高い今週の為替市場ですが、ドル/円はレンジ相場の下限まであと約2円、ユーロ/ドルは既に過去のサポレジ上限に位置しており、今週の値動きは今後の値動きを探る上で重要な週となる可能性を秘めています。

夏休み=夏枯れ相場を控え、値動きがこれまで以上に少なくなる可能性を踏まえつつ、今週の為替市場に臨みたいと思います。

LIMO編集部