2017年の夏休みは、観光列車、グルメ列車で旅行を楽しもう!

2013年に近鉄が「しまかぜ」を、肥薩おれんじ鉄道が「おれんじ食堂」の運行を始めてから、大増殖している観光列車とグルメ列車。今までの列車のイメージとは全く違う、おしゃれで快適なデザインの車内で、食事やお酒をいただけるのが最大のウリです。

沿線の有名レストランが監修した食事が提供されるものも多く、非日常を気軽に味わえるのがウケて、列車内では若い女性グループやファミリー、カップルの姿が多く見られるようになりました。「お酒が飲める」「車内が広く車両間を移動できる」「子供の遊ぶスペースがある」「フリースペースがある」など、自家用車やバスでの旅では味わえない列車旅ならではの醍醐味は、一度体験すると病みつきになります。

今では、日本全国で何十種類と増えた観光列車、グルメ列車ですが、これらのほとんどを乗車している私が、今から予約しても間に合う、おすすめの観光列車を3つ選んでみました。選考基準は料理プランがパッケージ化しているものではなく、車中でも食事やドリンクを購入でき、旅行予算によって、いろいろな楽しみ方ができる列車です。また、関東や関西からのアクセスも便利で日帰りもできるものを選んでいます。

2017年の夏休み旅行の参考になれば幸いです。

海、山、トンネル、郵便車、車両デザイン、食事、お酒を楽しむなら「のと里山里海号」!

最初の紹介する列車は、関東、関西、中部からのアクセスも良く日帰りもできる、金沢を起点にした列車プランです。乗車する観光列車は「のと鉄道」の「のと里山里海号」。鉄道ファンはもちろん、ファミリーやグループ、カップルにもおすすめの観光列車です。

のと里山里海号(撮影:中嶋 茂夫)

金沢駅から「特急能登かがり火号」で約1時間で行ける七尾駅から「のと里山里海号」は出発します。七尾駅から終点の穴水駅まで約1時間の短い列車旅ですので、できれば往復とも乗車して「のと里山里海号」の魅力をしっかり堪能したいところです。

おすすめは、アテンダントの説明が楽しい「ゆったりコース」です(土・日・祝日・一部指定日運行)

  • 行き:のと里山里海3号:七尾駅(12:38発)→穴水駅(13:39着)
  • 帰り:のと幸山里海4号:穴水駅(14:30発)→七尾駅(15:17着)

のプランです。

お菓子と海洋深層水が付いた標準料金は大人1,500円、小人1,000円。

車内で食事を楽しみたい方には、行きは「寿司御膳プラン(4,000円)」、帰りは「スイーツプラン(3,000円)」が用意されています(それぞれ乗車券付きの料金)。

とくにスイーツプランはおすすめで、能登が舞台のNHK朝の連ドラでスイーツを監修した「辻口博啓氏」が作る、能登の食材にこだわったスイーツが味わえます。

もちろん列車の楽しみは食事だけではありません。「のと里山里海号」を120%楽しむ方法を挙げると・・・

  • バスガイド出身のアテンダントによる「細かすぎる」沿線案内
  • 車内で使用されている沿線の伝統工芸品
  • この沿線の海でしか見られないものを案内
  • 能登中島駅に留置されている珍しい郵便車「オユ10」の車内見学と手紙の投函
  • トンネルのイルミネーション
  • アニメ「花咲くいろは」のラッピング車両が見られる(運行情報は「のと鉄道」ホームページで確認できる)
  • アニメ「花咲くいろは」に登場する「湯乃鷺駅」のモデルになった西岸駅を通る
  • 昔懐かしい「マジンガーZ」ラッピング列車に会える(運行情報は「のと鉄道」ホームページで確認できる)

郵便車オユ10の車内(撮影:中嶋 茂夫)

など、てんこ盛り状態です。

私のように、列車旅でお酒も満喫したい「呑み鉄」なら、土曜日に乗車し、行きと帰りに追加して、

  • のと里山里海5号:七尾駅(15:33発)→穴水駅(16:35着)

の「ほろ酔いプラン(3,500円)」の乗車がおすすめです。能登の美味しい日本酒とおつまみ、そして、適度に揺れる列車の心地よさがたまりません。

のと里山里海号で日本酒(撮影:中嶋 茂夫)

切符は「のと鉄道」のホームページから予約できます。

川、山、滑り台、ミニ鉄道講座、お酒、ラーメンを楽しむなら「SLばんえつ物語」!

次にご紹介する列車は、子供たちに大人気の「SLばんえつ物語」です。関東からは新幹線で、関西からは飛行機と新幹線で日帰り乗車もできます。

おすすめは、新潟駅と喜多方駅を往復するプランです。

  • 行き:SLばんえつ物語:新潟駅(9:30発)→喜多方駅(13:08着)
  • 帰り:SLばんえつ物語:喜多方駅(15:51発)→新潟駅(19:06着)

※関西方面からは、帰りにSLに乗車せず、喜多方駅→郡山駅→東京駅→新大阪駅というルートで日帰り可能です。

子供に大人気の「SLばんえつ物語」。その中でも、とくに1号車のオコジョ展望車両は、子供たちの夢のスペースです。滑り台やボールプール、ミニ図書館まであり、なんと専任スタッフが子供の面倒を見てくれるので、パパ・ママもゆっくり列車旅を楽しめるのが魅力です。

SLばんえつ物語のオコジョルーム(撮影:中嶋 茂夫)

帰りの新潟行きでは、1号車が最後尾に連結されるので、後ろに流れる後方展望を、オコジョ展望車両で心ゆくまで満喫できます。

子供たちが遊び疲れて眠たくなったら、座席に戻って、大人だけで「呑み会」に変更です!(大人グループでの旅なら、最初から呑み会です。)

5号車にある売店で購入した新潟名物「鮭の焼き漬け」をつまみながら、呑む新潟県の日本酒は最高。子供たちだけに楽しませるのが、もったいない列車です。

喜多方駅に到着したら、喜多方ラーメンを「はしご」しましょう。醤油ラーメンがベースの喜多方ラーメンですが、お店によって味わいが全然違います。あの店にも行きたい、この店にも行きたいと悩むこと必須です。ちなみに、私は昼食時間帯に2時間で最高で4軒はしごしたことがあります。

他にも「SLばんえつ物語」の楽しみ方は、

  • 不定期で、4号車・展望車のイベントスペースにて鉄道ミニ講座を開催
  • 3種類の新潟県の日本酒を楽しめる利き酒メニューがおすすめ
  • 沿線を流れる川の景色を堪能
  • 新潟のおすすめ駅弁が大集合
  • 新潟名物?!「ブルボンのルマンドアイス」が食べられる!
  • ゆったりSLを満喫したいなら、専用展望室もある「グリーン車」がおすすめ
  • 車掌とアテンダントのじゃんけん大会

など、楽しみ方が満載です。

また、新潟駅から1時間ほどの「咲花駅」が最寄駅の咲花温泉があり、SLを1時間ほど楽しんで、日帰り温泉入浴と昼食をいただいて、SLで戻るという贅沢な楽しみ方もあります。

切符は「みどりの窓口」で購入できます。

海、山、駅マルシェ、食事、お酒、フレンチを楽しむならこの列車!

最後に紹介するのは、松山駅を起点に運行している「伊予灘ものがたり」です。

下灘駅で停車中の伊予灘ものがたり(撮影:中嶋 茂夫)

関東、関西からも格安で飛行機に乗れる「LCC」が飛んでいるので、観光列車出発地までの交通費を安く抑えることができるのがうれしいポイントです。

土日を中心に1日2往復する列車は、食事プランと乗車プランの両方が用意され、予算に応じてリーズナブルにグルメ列車の旅を楽しむこともできます。

「伊予灘ものがたり」のおすすめポイントは、

  • 海を見ながらのんびりできる
  • 青春18きっぷのポスターで有名になった「下灘駅」に途中下車して記念撮影
  • 豊富な食事・ドリンクメニューでお腹も満足
  • 駅マルシェで地元の特産品をお買い物
  • 食事内容のコスパが高い!
  • アテンダントのおもてなしが最高!

合計4本の列車は

  • 大洲(おおず)編(朝食):松山駅(8:26発)→伊予大洲駅(10:28着)
  • 双海(ふたみ)編(和洋折衷昼食):伊予大洲駅(10:51発)→松山駅(13:12着)
  • 八幡浜市(やわたはま)編(フレンチ昼食):松山駅(13:28発)→八幡浜駅(15:52着)
  • 道後(どうご)編(アフタヌーンティー):八幡浜駅(16:06発)→松山駅(18:22着)

と、列車ごとに提供される食事内容が異なるので、どの列車に乗車するか迷うところです。その中でも私のおすすめは、朝食の大洲編とフレンチのレストラン門田が提供する八幡浜編です。

伊予灘ものがたり・大洲編の朝食の一例(撮影:中嶋 茂夫)

また、食事を予約しなくても、豊富なドリンクやスイーツメニューがありますので、お腹が減ることはありませんのでご心配なく。

切符は「みどりの窓口」で購入できます。

いつかは乗りたい観光列車たち

今回は3つの観光列車をご紹介しましたが、なかなか乗れない「ななつ星in九州」「トランスイート四季島」「トワイライトエクスプレス瑞風」の3つの豪華クルーズトレインや、北海道を走り外国人観光客に大人気の「富良野・美瑛ノロッコ号」「くしろ湿原ノロッコ号」など、日本全国各地を観光列車やグルメ列車が運行しています。

レストラン巡りのごとく、観光列車・グルメ列車巡りをすることが、鉄道の楽しみ方の一つのカテゴリーになりました。私も日本各地の観光列車に魅了され、いろいろな観光列車に乗車しています。

この夏休みは、観光列車の旅の魅力を感じてみてはいかがでしょうか?

中嶋 茂夫