2023年2月14日に発表された、日本和装ホールディングス株式会社2022年12月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:日本和装ホールディングス株式会社 代表取締役社長 道面義雄 氏

2022年12月期決算説明

道面義雄氏:みなさま、こんにちは。本日は、当社の2022年12月期決算説明動画をご覧いただき、誠にありがとうございます。私は日本和装ホールディングス株式会社、代表取締役社長の道面義雄でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、さっそくではございますが、説明を始めさせていただきます。

目次

本日は、こちらの流れに沿ってご説明します。

最初に、日本和装ホールディングスグループについて簡単にご説明します。続いて、2022年12月期の決算概要、2022年のトピックス、最後に当社の今後の展開についてご説明します。

代表取締役社⻑のご紹介

まず、僭越ながら私の自己紹介をします。2008年に当社に入社して、2016年に取締役、2018年に副社長そして社長と就任しました。

今まで多くのお客さまや取引先さま、株主さま、そして社員、たくさんのステークホルダーのみなさまに支えられ、今日現在を迎えています。今後もステークホルダーのみなさまのために粉骨砕身の想いを持って、努めてまいりますのでどうぞよろしくお願い申し上げます。

DO-MEN channel

和装品の販売仲介 〜当社独自のビジネスモデル〜

それでは、まず当社の概要についてご説明します。日本和装ホールディングス株式会社は、1984年に、創業者の吉田重久が福岡県で創業しました。

当社では、きものを着られる方を増やしたいという想いから、無料の「きもの着付け教室」を1987年よりスタートしています。36年目を迎えたこの春は、日本全国約400教室を展開しています。

生産者と消費者を結ぶ、販売仲介というきものの新しい流通の仕組みを確立し、当社独自のビジネスモデルを軸に、歩み、成長してまいりました。和装品に特化している点が当社の特徴であり、また、在庫を持たないことでリスクを限定できるビジネスモデルが、当社の強みであります。

日本和装ホールディングスのビジネスモデルは、「教えて、伝えて、流通を促す」ことです。きものを着られる方を増やし、和装市場の活性化を図るという新しい流通の仕組みで、和装品全般の販売仲介業を展開しています。

和装業界におけるワンストップソリューションを提供

また、日本和装グループ全体としては、製造・販売、仕立て・縫製、検品・納品、メンテナンス、割賦販売あっせんと和装業界におけるワンストップ・ソリューションを提供し、グループ会社一丸となって取り組んでいます。

ビジネスモデルの発展

きもの文化を次世代につないでいくためには、暮らしに根付かせることが大切です。しかし、きものは「敷居が高い」「難しい」そうした思い込みがあるのもまた事実です。

当社はこうした固定観念を払拭し、できるだけ多くの方に、気軽に、身近に、きものを感じていただくために、一貫して受講料無料で着付け教室を行ってまいりました。今後も当社は、グループ会社のシナジー効果を最大限に活かし、きものを未来へとつなげていきます。

業績ハイライト

2022年12月期の決算概要について、まず、業績ハイライトを申し上げます。第1四半期から第2四半期にかけては、新たな顧客層獲得に向けた教室の取り組み、着付け教室の卒業生を対象としたツアー・イベントの企画を実施したことで、受注は堅調に推移しました。

しかしながら、第3四半期以降においては、「きものブリリアンツ全国大会」が前年を上回る実績を残しましたが、物価高騰によりお客さまの消費マインドが弱まり、販売促進活動により売上の再拡大に向けた取り組みを行うものの、段階利益は前年実績を下回る結果となりました。

連結損益計算書

2022年12月期の決算数値についてご報告します。まずは当期の業績について、連結損益計算書をもとにご報告します。

売上高は47億7,000万円となりました。販売費及び一般管理費は39億5,500万円となり、その結果、営業利益は4億1,900万円、前年比マイナス2,500万円、経常利益は3億9,200万円、前年比マイナス5,600万円となりました。なお、経常利益が減少した主な要因として、助成金収入が前年より3,300万円減少したことが挙げられます。

売上高 年度別推移

こちらは、近年の売上高推移をグラフで表したものになります。   今年度について、上半期は新規顧客獲得に向けた取り組み、既存顧客向けのイベントが好評だったことにより堅調に推移しましたが、下半期は物価高騰により、お客さまの消費マインドが弱まった影響により、前年を下回る結果となりました。

営業利益・利益率 年度別推移

続いて近年の営業利益・営業利益率をグラフに表したものがこちらになります。

今年度は、営業利益は4億1,900万円を計上しています。売上高が前年実績を下回ったことにより、前年比マイナス2,500万円となったものの、営業利益率は利益確保に向けたコストコントロールにより、前年と同水準を維持しています。

連結貸借対照表

次に当社の財政状態について、連結貸借対照表にてご報告申し上げます。

流動資産は84億4,100万円、前期末比でマイナス1億1,100万円、そのうち現金及び預金については28億900万円、前期末比でマイナス6,000万円となっています。資産合計は88億300万円、前期末比でマイナス1億5,400万円となりました。

負債は54億500万円、前期末比でマイナス2億5,500万円、そのうち有利子負債については45億1,400万円、前期末比でプラス6,900万円となっています。純資産は33億9,700万円で、前期末比でプラス1億円、自己資本比率は38.6%となりました。

連結キャッシュ・フロー計算書

2022年12月期のキャッシュ・フローについてご報告します。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前純利益の獲得、法人税等の支払いなどにより、2,700万円のプラスとなりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得などにより、2,600万円のマイナスとなりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入による収入、長期借入金の返済による支出などにより、7,600万円のマイナスとなりました。

結果として、現金及び現金同等物の前年同期比は、6,700万円のマイナスとなり、2022年12月末の現金及び現金同等物の残高は、25億9,200万円となりました。

ROE

次にROEの推移ですが、2022年末時点でのROEは7.1%となり、当期純利益の減少により1.3ポイント減少していますが、7%を維持しています。

自⼰資本⽐率

 

最後に、自己資本比率の推移ですが、2022年末時点での自己資本比率は38.6%となり、前期より1.8ポイント改善し、財務の健全性を維持しています。2022年12月期の決算概要についての説明は以上となります。

付加価値の高いイベント・ツアー企画

続いて、2022年のトピックスについてご説明します。

当社は付加価値の高いイベント、ツアー企画を提供しています。2022年には、首里城の復興を通じて沖縄の歴史を振り返り、沖縄の伝統文化の素晴らしさをあらためて感じていただく琉球染織ツアーを始め、加盟店ゆかりの工房や歴史観光、京の夏の味をご案内した「THE KYOTO」、ブルガリの一つ星レストランにて、きものファッションショーや一流の職人の方達との交流会「KIMONO PRIDE」を開催しました。

きものブリリアンツ全国大会2022開催!

2022年8月2日、3日に、当社最大の全国イベントである「きものブリリアンツ全国大会2022」を帝国ホテル東京にて開催しました。

2009年の初開催から15回目を迎えた記念大会とあって、ピックアップステージ等の特別企画や、日本和装の子会社・メインステージの社外取締役である伍代夏子さんにご登壇いただくなど、例年以上に華やかなステージとなりました。

2022年から1日だけの参加が可能になり、エントリー数は過去最大になりました。また、コロナ禍で自粛していた方から「3年ぶりに参加しました」などうれしいお声もいただきました。

日本和装最大のきものの祭典「遊々会」「縁の会」

当社の毎年恒例のイベントである「遊々会」「縁の会」は、5月中旬から9月にかけて全国23会場で順次開催し、総勢2,000名を超えるお客さまにご来場いただきました。2022年のテーマは「希望」。会場では、職人たちを応援する「新しいモノづくり基金」企画も実施しました。

このイベントは、きものの作り手側にとっても、直接きものファンからの率直な声が聞ける貴重な場となっており、大変意義のあるイベントとなっています。コロナ禍による外出自粛ムードの状況が続く中、多くの方々にご来場いただきましたこと、感謝申し上げます。

「浴衣の着付け」出前授業を無償で提供 〜⺟校へ恩返しも〜

「次世代を担う子供たちに、日本のきもの文化を」をテーマに、中学・高校生向けに、浴衣を着付けるという体験を通して、和装に触れてもらい、きもの文化に関心を持っていただく「浴衣の着付け」出前授業を無償で提供するプログラムを、引き続き展開しています。

2022年は10校で開催しました。また、7月には私の母校の中学校でも開催しました。中学生や高校生、学校の先生方からも感謝の声をいただき、大変好評をいただいています。

「イエローカード制」導入

2022年より「イエローカード制」を導入したことによって、お客さまより忌憚のないご意見を頂戴しています。あらためて気づかされる発見もございました。いただいた内容を真摯に受けとめ、今後の運営に活かしてまいります。

IR活動

多くの投資家の方に、当社を知っていただきたい、きものや和装品を身近に感じていただきたいという想いから、IR活動を強化し、Web新聞への記事掲載、ラジオ番組の出演、個人投資家向けの説明会を行いました。今後も多くの方に知っていただけるように、さらに活動を強化してまいります。 

付加価値の高いイベント・ツアー企画

続いて、当社の今後の展開についてご説明します。2023年は「創業40周年」をテーマに、当社と関わっていただいているすべてのお客さまに心から楽しんでいただけるような、そんな企画を新たに計画しています。

日本和装創業40周年を記念して博多・米沢・新潟・沖縄など、きものの産地にて卓越した伝統技術や作品をご覧いただき、作り手のみなさまとの交流も含めて、きもの産地を盛り上げる産地応援ツアーを実施してまいります。

さらに、現代の名工や京の名工の作品をピックアップした展示会を開催し、名工の称号を持つ職人の方にもご来場していただく予定です。

自宅でプライベートレッスン「エグゼクティブコース」

当社のきもの着付け教室では、ご自宅でマンツーマンレッスンが受けられる、富裕層向けの「エグゼクティブコース」も引き続き継続してまいります。このコースでは、各地域のトップ講師がご自宅までおうかがいし、マンツーマンで丁寧にご指導させていただきます。

日本和装初のプライベートブランド「SOUCOLE」

当社では、プライベートブランド「SOUCOLE(ソウコレ)」を展開しています。「SOUCOLE」は、加賀、琉球、伊那、十日町などの産地職人と当社がタッグを組み、共同開発・製作した商品で、すべての商品にシリアルナンバーが付いたオリジナルの1点ものとなっており、同色・同柄のものは存在しません。

これは、当社が各メーカーと直接契約し、生産管理から販売・納品に至るまで、一貫して管理するからこそ可能であり、メーカーでも問屋でもない、販売仲介の立ち位置だから実現できた限定商品です。

今後も日本和装は、きもの業界全体と協働し、きものを未来へとつなげていきます。

サブブランド事業の進捗

顧客層の拡大を目指す事業戦略として、サブブランド事業の準備を進めています。

日本の伝統を守ることをコンセプトに伝統柄を活用したオリジナル商品の開発、和の心を表す「おもてなし(OMOTENASHI)」から間の文字をとり「TENAS(テナス)」と名付けた生活雑貨ブランドを新設し、琉球の染織作家とコラボしたカップ&ソーサーを制作中です。一つひとつにこだわっていますので、どうぞ完成を楽しみにお待ちください。

2023年度業績予想

2023年度の業績予想についてご説明します。和装業界においても、新型コロナウイルス感染症の影響や、原材料価格の高騰、急激な為替相場の変動、長期化するウクライナ情勢など、依然として先行き不透明な状況が続いています。

当社は市場規模が縮小して推移している和装業界に属しながら、独自のビジネスモデルによって、業界内では比較的安定した営業利益を計上しており、2022年は、こうした社会情勢の影響を受けながらも、各段階利益は黒字を確保しています。

2023年も、幹となる日本和装事業を中心として、グループ会社がそれぞれの強みを活用することによって、和装業界に関わるあらゆるシェアを広げてまいります。

剰余⾦の配当(四半期配当)

最後に剰余金の配当についてご説明します。当社は、株主尊重の立場から、株主さまの利益を守り、継続かつ安定した配当を実施することを基本方針としています。また、株主さまにいち早く経営成績を還元し、当社株式の魅力を高めることを目的として2022年より、四半期配当制度を導入しています。

この基本方針のもと、2022年12月期の配当は表のとおりとなり、2023年12月期は、13円の配当を予定しています。また、2022年12月期の配当利回りは4.4%で、前年と同程度を維持しています。

以上、2022年12月期の決算について、トピックスと今後の展開と併せてご説明しました。今後もステークホルダーのみなさまにおかれましては、引き続きご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ご視聴誠にありがとうございました。

記事提供: