少子化対策の「財源」はどう捻出するのか
前項で述べた少子化対策の財源について、年金保険・医療保険・介護保険などの社会保険から「子育て支援連帯基金」に拠出し、少子化対策の財源を集める案が浮上しています。
この構想は、2022年12月13日に実施された有識者会議で提唱されたもので、厚生年金保険料と一緒に徴収されている税金「子ども・子育て拠出金」(徴収割合は1000分の3.6)のアップデート版と言えるものです。
しかし、実際に社会保険料から子育て資金を拠出するには、社会保障費の現役世代負担を見直す必要があるでしょう。
厚生労働省の資料によると、2022年(予算ベース)の社会保障費は131.1兆円(対GDP比23.2%)となっています。
今後も高齢化の進展による社会保障費の増加は免れず、現役世代の保障費負担はさらに大きくなるでしょう。
例えば、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」の財源は、その4割が現役世代からの支援金で賄われているのが現状です。
社会保障の基本的な考え方である「相互扶助」と「社会連帯」は、その財源は最早現役世代の大きな負担なくして成り立たなくなっています。
高齢者世代向けの給付はそのままに、「子育て支援連帯基金」として社会保険から少子化対策の財源を確保するとなれば、現役世代の経済状況はますます逼迫するでしょう。
ただし、「子育て支援連帯基金」はあくまで現状の案なので、今後どのような財源確保の構想が出てくるのか注目したいところです。