3. 70歳代のひと月の年金受給額はいくら

では、70歳代は公的年金をどの程度受給しているのでしょうか。厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」から、「70歳~79歳」の各年齢の年金月額の平均をみてみましょう。

出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」

 

3.1 国民(基礎)年金の平均年金月額

  • 70歳 5万7405円
  • 71歳 5万7276円
  • 72歳 5万7131円
  • 73歳 5万7040円
  • 74歳 5万6846円
  • 75歳 5万6643円
  • 76歳 5万6204円
  • 77歳 5万6169円
  • 78歳 5万5844円
  • 79歳 5万5609円

3.2 厚生年金の平均年金月額

※国民年金の年金月額を含む

  • 70歳:14万1026円
  • 71歳:14万3259円
  • 72歳:14万6259円
  • 73歳:14万5733円
  • 74歳:14万5304円
  • 75歳:14万5127円
  • 76歳:14万7225円
  • 77歳:14万7881円
  • 78歳:14万9623円
  • 79歳:15万1874円

各年齢の平均月額は、国民年金で5万円代後半、厚生年金は14万円~15万円となっています。なお、このデータからは見えない部分ですが、厚生年金は現役時代の年収や年金加入期間の影響を受け、個人差が生じます。

参考までに、総務省統計局「家計調査報告 家計収支編 2021年(令和3年)平均結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯の月の支出は「14万4747円」となっています。

公的年金だけで老後の生活費をカバーすることができる人は、決して多数派ではないということは確かでしょう。

4. まとめにかえて

今回は、65歳以上・単身世帯のお金事情について俯瞰しました。

長寿時代に生きる私たちは、「公的年金だけで老後の生活費をカバーできる可能性は高くない」という現実と向き合う必要がありそうです。

現在、多くの企業では60歳~65歳あたりを定年とするケースが多く、そこから年金生活をスタートされる方が多数派でしょう。しかしこのさき「70歳定年」が一般的になる時代が来るかもしれません。

給与が入る期間がのびる点は確かに心強い部分はありますが、70歳前後まで働き続けるために体力面、健康面との相談が必要となることもあるでしょう。家族の介護が始まり、就労を続けることが難しくなる可能性なども想定しておく必要がありそうです。

ここで頼りになるのが、若い頃からコツコツと準備してきた貯蓄です。

老後資金がどのくらい必要かは、なかなか見当がつきにくいですね。とはいえ、いざ老後を迎えてから対策を始めることはそう簡単ではないでしょう。

働き盛りの現役時代のころから、遠い将来をイメージし、老後を自分ごととして考えて準備していくかが重要だといえます。

資産形成のスタートには「早すぎる」ことはありません。まずは、一歩踏み出すための情報収集から取り組んでみてくださいね。

参考資料

荻野 樹