資産を守るための準備をする期間に気を付けること
ここまで、資産を形成する期間、取り崩す期間に、それぞれどのような考え方が重要か、ご説明してきました。最後に、2つの期間の狭間となる移行期間の大切さをお伝えしたいと思います。
65歳で退職する場合、移行期間は55歳~64歳ぐらいの時期が目安となります。この時期には、①退職後の毎月の収入や支出のイメージを具体的に考え始めること、②使う時期に備えて、資産運用で取るリスクを少しずつ抑えていくこと、の2点の備えをしておくことが有効です。
一つ目のポイントは、退職後にどのような生活を送りたいかイメージして、お金の出入りはどうなっていくか、把握しておくことです。どこに住むのか、趣味にどのくらいお金を使うかによって、大体の支出の計画を立てておきましょう。
たとえば海外旅行のように、まとまったお金を必要とする趣味がある場合には、計画に含めておくことも重要です。
収入は、年金は月々いくらもらえるのか、退職金はいくら入ってくるのか、確認しておくことが重要です。仮に、月々の収入に比べて、支出額が大きく上回ってしまう場合、早めに対策を考えておくことができます。
たとえば仕事をもう少し長く続けたり別の仕事を始めたりして収入源を確保する、反対に、趣味に使うお金や外食の予定を減らして、支出を抑えるといった方法が考えられます。
収支のイメージがつかめたところで、2つ目のポイントとして、資産運用のリスクを下げていくことが重要です。この時期には、株式中心のポートフォリオから、徐々に債券の比率を上げていくことをおすすめします。
退職するときに一気に資産配分を変えようとしてもなかなか難しく、そのときに相場の状況が悪くなっていたとしたら、大きな影響を受けるかもしれません。数年の時間をかけて、徐々にリスクを下げていくことが望ましいといえるでしょう。
ただし、説明したようなポートフォリオの調整を、読者の方がご自身で行うのは難しい場合も多いと思います。プロに相談するという選択肢もありますので、ご自身に合った方法を見つけていただきたいです。
ウェルスナビ株式会社 小松原 和仁