公的年金の受給額は、現役世代の賃金や物価を考慮して年度ごとに見直しが行われます。
2023年1月20日には、2023年度(令和5年度)の年金水準が公表されました。
- 国民年金(老齢基礎年金):6万6250円(1人分)
- 厚生年金:22万4482円(夫婦2人分※)
※平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)43.9万円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準
ただし、上記はあくまでも年金の例であるため、全員が同じ金額の年金を受給しているわけではありません。
とくに「厚生年金があるかないか」では水準が大きく異なります。
基礎年金を含む厚生年金の受給額は約14万円ですが、そもそも厚生年金に加入していない方は基礎年金のみとなります。
今回は、2022年12月に公表された厚生労働省の資料から、厚生年金と基礎年金の受給額をみていきます。
【注目記事】60歳代で「貯蓄4000万円以上」の世帯はどれくらい?平均は2537万円
1. 基礎年金と厚生年金の加入者とは
まずは公的年金制度の仕組みを整理します。
日本の公的年金制度は「基礎年金(国民年金)」と「厚生年金」の2つの年金制度から成り立ちます。
このことから、「2階建て構造」などと表現されることも多いです。
1/3
出所:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 被保険者のしおり」(令和4年4月)、厚生労働省「日本の公的年金は『2階建て』」をもとに、LIMO編集部作成
1.1 基礎年金(国民年金)
2階建てのうち、1階部分にあたるのが基礎年金です。
土台となるため、日本に住む日本に住む20歳以上60歳未満の全員が加入対象になります。
また、年金保険料は一律です。
基礎年金の加入者は、働き方によってさらに3つに分類されます。
- 第1号被保険者:自営業、20歳以上の学生など
- 第2号被保険者:会社員、公務員など
- 第3号被保険者:第2号被保険者に扶養される配偶者
このうち、第2号被保険者は次に解説する厚生年金にも加入します。
1.2 厚生年金
会社員や公務員などは「基礎年金」に上乗せして「厚生年金」にも加入します。
老後に受け取る老齢厚生年金の金額は、加入期間や納付保険料によって決まります。
そのため、個人差が大きいことが特徴的です。
2. 厚生年金の平均受給額は月額約14万円
ここからは、2021年度末時点での平均受給額を見ていきます。
まずは厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」より、元会社員等が受給する厚生年金を見ていきましょう。
こちらの金額には老齢基礎年金の金額も含まれます。
2/3
出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
2.1 厚生年金保険(第1号)平均年金月額(※)
※基礎年金(国民年金)の月額を含む
全体:14万3965円
- 男子:16万3380円
- 女子:10万4686円
月額で約6万円の男女差がありますね。個人差を見るために、1万円ごとの受給者数も確認しましょう。
2.2 「厚生年金」受給額1万円ごとの人数
- 1万円未満:9万9642人
- 1万円以上~2万円未満:2万1099人
- 2万円以上~3万円未満:5万6394人
- 3万円以上~4万円未満:10万364人
- 4万円以上~5万円未満:11万1076人
- 5万円以上~6万円未満:16万3877人
- 6万円以上~7万円未満:41万6310人
- 7万円以上~8万円未満:70万7600人
- 8万円以上~9万円未満:93万7890人
- 9万円以上~10万円未満:113万5527人
- 10万円以上~11万円未満:113万5983人
- 11万円以上~12万円未満:103万7483人
- 12万円以上~13万円未満:94万5237人
- 13万円以上~14万円未満:91万8753人
- 14万円以上~15万円未満:93万9100人
- 15万円以上~16万円未満:97万1605人
- 16万円以上~17万円未満:101万5909人
- 17万円以上~18万円未満:104万2396人
- 18万円以上~19万円未満:100万5506人
- 19万円以上~20万円未満:91万7100人
- 20万円以上~21万円未満:77万5394人
- 21万円以上~22万円未満:59万3908人
- 22万円以上~23万円未満:40万9231人
- 23万円以上~24万円未満:27万4250人
- 24万円以上~25万円未満:18万1775人
- 25万円以上~26万円未満:11万4222人
- 26万円以上~27万円未満:6万8976人
- 27万円以上~28万円未満:3万9784人
- 28万円以上~29万円未満:1万9866人
- 29万円以上~30万円未満:9372人
- 30万円以上~:1万4816人
幅広い金額にばらけており、ボリュームゾーンは9~11万円未満、17万円~18万円未満といえそうです。
3. 基礎年金の平均受給額は月額5万円台
先程紹介した厚生年金の金額には、基礎年金も含まれます。
しかし、一度も会社に勤めたことがない自営業者や専業主婦(夫)、扶養内パートをしてきた方などは、老齢基礎年金のみの受け取りとなります。
最後に基礎年金のみの平均額も確認しましょう。
3/3
出所:厚生労働省「令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
3.1 老齢基礎年金(国民年金)平均年金月額
〈全体〉平均年金月額:5万6368円
- 〈男性〉平均年金月額:5万9013円
- 〈女性〉平均年金月額:5万4346円
3.2 「老齢基礎年金」受給額1万円ごとの人数
- 1万円未満:7万27人
- 1万円以上~2万円未満:28万4152人
- 2万円以上~3万円未満:90万3006人
- 3万円以上~4万円未満:274万9550人
- 4万円以上~5万円未満:463万6048人
- 5万円以上~6万円未満:791万730人
- 6万円以上~7万円未満:1500万3006人
- 7万円以上~:187万2466人
男女ともに、ボリュームゾーンは6万円~7万円未満です。
4. 老後に向けた資産の準備
最新データより、厚生年金と基礎年金の平均月額を見ていきました。
厚生年金の加入者は平均が14万3965円ですが、基礎年金だけだと5万6368円です。
個人差を見る限り、そもそも平均どおりの年金を受給している方ばかりではないので、まずは自分自身の年金受給額を知ることが重要になるでしょう。
ねんきんネットやねんきん定期便などで、定期的に確認する習慣をつけることが大切です。
昨今の物価高では、生活のやりくりに必死で「老後の資産形成は後回し」となるケースも多いかもしれません。
しかし、年金だけで生活できる方は年々減っています。
自分自身の老後生活を豊かにするために、少しずつ準備を始めてみてはいかがでしょうか。
参考資料
太田 彩子
