全国が注目した2017年7月の東京都議選が終わりました。都民ファーストが圧倒的な議席を獲得し、自民党が歴史的な大敗を喫するという結末となりました。今後「開かれた都政」「開かれた議会」をはじめ、東京都の改革が進んでいくのかが注目されます。

さて、その東京都では2020年に開かれる東京オリンピックを控え、準備に追われている職員も多いことでしょう。今回は、東京都の職員の給与について総務省が開示している「平成27年地方公務員給与の実態」をもとに平均年収やその待遇、民間企業との比較をしていきます。

東京都の平均年収は全国の都道府県の中で第1位

まず、東京都職員(全職種)の月額支給される給与及び手当と年額支給手当を合計した年間支給額から平均年収を算出してみました。

結果、東京都職員の平均年収は約730万円(平均年齢40.7歳)となりました。この730万円という平均年収は全国第1位の水準です。ちなみに、全国平均は679万円となっています。

東京都職員の平均年収を受験などでおなじみの「偏差値」で表現すると、東京都は79.9と圧倒的に上振れています。偏差値は平均が50であることを思い出していただければ、東京都職員の年収がいかに突出しているかがおわかりいただけるでしょう。

ちなみに、平均年収が最も低いのは、鳥取県の624万円で、年収偏差値は17.7となっています。

では、東京都職員の年収は高いのでしょうか、それとも低いのでしょうか。もちろん、給与や報酬は仕事の内容、生活する場所の物価等に対して比較及び評価されるべきですが、今回はその他道府県、民間企業と比較してみましょう。

東京都の平均年収は他の自治体比でどう評価されるべきか

東京都の職員は東京都民のために仕事をしているわけですから、職員1人で何人の都民を見ているのかを1つの物差しにしてみるというのはどうでしょうか。職員1人当たりで多くの都民をカバーしているのであれば忙しくなりますし、都民をカバーする人数が少なければ余裕があるともいえます。

2015年10月1日の東京都民の人口1,315万人に対して、東京都の職員数は16万7,914人となっています。したがって、東京都職員は1人当たり都民80.5人をカバーしているということになります。

また、この職員1人当たりのカバー人数の全国平均は76.5人であり、東京都は全国平均よりも若干多いという水準です。

下図は、投信1編集部が前出の総務省のデータをもとに47都道府県の平均年収、それぞれの都道府県民の職員1人当たりのカバー人数を算出し、示したものです。横軸が平均年収(万円)、縦軸が職員1人当たりのカバー人数(人)を示しています。

下図を見ていただくと、右端の点が東京都(職員平均年収730万円、職員1人当たりのカバー人数80.5人)です。職員1人当たりのカバー人数は全国平均であるのに対して、平均年収が多いことが分かります。

また、もっとも平均年収が低いのは鳥取県(同624万円、同49.5人)です。職員1人当たりのカバー人数が少ないことや物価水準などを考慮すれば平均年収が低くても仕方がないという意見もあるかもしれません。

一方、職員1人当たりのカバー人数が多いにもかかわらず平均年収がそれに応じて高くない県があります。それが神奈川県(同691万円、同123.3人)です。神奈川県は人口が約913万人であるのに対して、職員の数は7万4,010人です。神奈川県の平均年収は全国平均の679万円を上回っていますが、全国平均の職員1人当たりのカバー人数が76.5人であることを考えれば、1人当たりの負荷が重いように見えます。

ちなみに、千葉県は平均年収が688万円で、職員1人当たりのカバー人数は100.2人、埼玉県は平均年収が689万円で、職員1人当たりのカバー人数は115人となっています。

こうして見てくると、東京都職員の職員は1人当たりのカバー人数が全国平均程度であるのに対して、平均年収が全国1位というのはいかがなものか、というような指摘もあろうかと思います。

ただ、東京都は47都道府県のうちの自治体の1つでありながら、日本の政治や経済の中心地であります。したがって、東京都が管轄しなければならない領域や分野もその他の自治体よりも幅広いことは容易に想像できます。

東京都は大企業? 職員は民間企業並み待遇?

さて、ここでは東京都職員の年収を民間企業と比べてみましょう。