大きなイベントがなく小動きの展開が予想されていた先週の為替市場ですが、欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の発言を契機に、ユーロが値動きの引き金を引くこととなりました。ユーロの値動きはドルインデックスの下方ブレイクを誘発。結果的に為替市場は大きな変動に見舞われた週となりました。
低ボラティリティの6月が終わり、7月最初の週となる今週。7日に米国6月雇用統計の発表を控える中、先週同様ボラティリティ復活の週となるかに注目です。
先週の為替動向振り返り
先週の為替市場はユーロを中心に大きく動きました。6月27日にECBドラギ総裁がポルトガルでの講演でデフレ圧力はリフレに置き換わったとコメント。それを受け、ECBが金融緩和縮小に向けて動くと判断した市場ではユーロが上昇しました。
このユーロ上昇に伴って売られたのはドルです。ドルインデックスで見ると27日にドルは大きく下落し、5月以降続いていたレンジ相場の下限に達しました。そして、翌日にはレンジ相場を下方にブレイク。27・28・29日と3日連続でドルインデックスは大きく下げ、新たな下落トレンド入りとなりました。
ドラギ総裁の発言を契機とする値動きで、ユーロ/ドルはこれまでサポート&レジスタンスとして機能していた1.1300ドルを大きく上方ブレイクし、1.1420ドル台で週の取引を終了しています。
また、ドル/円は29日に112.9円台まで円安が進んだ後に急落。30日には111.6円台まで下落しましたが、その後112円台半ばにまで戻すなど乱高下を見せました。
ナスダック指数に変化の兆し
ドルの各国の通貨に対する相対的な強さを表すドルインデックスは、上述のようにドラギ総裁の発言を契機に下落トレンド入りとなりました。ドルインデックスの大きな下落に伴いユーロ/ドルは素直に上昇の一方、ドル/円は乱高下。ユーロ比率が高いためユーロ/ドルの値動きと逆相関になりやすいというドルインデックスの特徴が表れました。
また、長く一本調子で上昇してきたナスダック指数も乱高下を見せるなど変化の兆しが伺えます。先週は5営業日中、陽線は1本に対し陰線は4本。陰線を形成しても、すぐに陽線の連続で高値更新のパターンを続けてきたナスダック指数でしたが、先週はこれまでにない値動きとなりました。
ナスダック指数と相関関係が生じることがある日経平均株価もギリギリ20,000円維持で週の取引を終えてるなど、ナスダック指数の今後の値動きを注視する必要があると思われます。
今週の見通し
今週は7月7日(金)に6月米雇用統計の発表を控えており、そこに向けた値動きが予想されます。ただ、米国は4日(火)が独立記念日の祝日であるため、値動きが生じるとしても5日(水)からとなる可能性が高いと言えます。
ECBドラギ総裁の講演を契機に先週大きく上昇したユーロ/ドルは、雇用統計に向けて戻すのか、それとも雇用統計まで上げ続けるのか、もしくは現状の水準を維持するのかという点がポイントとなります。1.1300ドルまで戻りその水準から再度上昇を開始すれば、きれいにサポート&レジスタンス転換となります。
一方、ドル/円は株価次第の面が強いと考えられます。日経平均株価の6月の値動きはここ数年では最も小さくエネルギーを溜め込んでいる状態。ドル/円も6月は値動きが少ない状態が継続しましたが、日経平均が大きく動けば、ドル/円も大きく動く可能性があるでしょう。
ナスダック指数に変化の兆しが出ていることもあり、ドル/円の値動きを把握するためには、これまで以上に日米の株価に注意する必要があります。
まとめ
為替市場を含め、金融市場全体が6月は値動きが少ない月となりましたが、ドラギ総裁の発言を契機に、為替市場は月末に突如ユーロから値動きが生じることになりました。
6月の小動きの相場でエネルギーを溜めている為替市場ですが、7月は激しい値動きとなるのでしょうか? 7月第1週は独立記念日の祝日に留意しつつ、7日の雇用統計に向けた値動きの方向性およびそのボラティリティに注目したいところです。値動きを戻す7月となるか、試金石となるのではないでしょうか。
LIMO編集部