業種別(セクター別)株価指数動向を見れば、株式市場動向への理解が深まる。ここでは東証33業種に関して1週間(2017年6月23日から6月29日)の株価動向を振り返る。

業種別振り返り-リターン・リバーサルの動きが目立った1週間

今週は鉄鋼株、鉱業株、非鉄金属株など25業種が上昇。中でも直近まで売り込まれている業種(セクター)に買いが目立った。

中国での過剰生産を背景に、冴えない値動きをしてきた新日鐵住金(5401)や、ジェイエフイーホールディングス(5411)などの鉄鋼株は上昇。米WTI原油先物安を受け、値を下げていた国際石油開発帝石(1605)や、石油資源開発(1662)といった鉱業株も値を上げた。

また、海外商品市況安から見送られていた住友金属鉱山(5713)や、三菱マテリアル(5711)といった非鉄金属株の一角にも買いが入った。

一方、サービス業株、小売業株、ゴム製品株など8業種が下落。

世界の2大広告主であるP&Gとユニリーバが、不透明な状況が改善されるまでデジタル広告費を削減することも辞さないと一部報じられる中、日本国内でも電通(4324)、博報堂DYホールディングス(2433)といったサービス業株の一角が見送られた。

また、2018年2月期の第1四半期決算が前年同期比▲5.6%営業減益となったニトリホールディングス(9843)も大幅安。

さらに、直近1カ月で約3割安となった天然ゴム価格から原料安の思惑が広がり、先週まで年初来高値を更新していたブリヂストン(5108)を始め、住友ゴム工業(5110)などのゴム製品株は利益確定と思われる売りに押された。

今後のマーケット見通しの注目点

今週は、直近まで売り込まれていた業種(セクター)に買い戻しと思われる動きが見られた相場展開であった。

こうした中、米株高ではあるものの、米国の足元の各経済指標が鈍化してきている点には留意したい。来週以降は、米国市場および外国為替市場の動向を見極めながら個別銘柄を丹念に探る展開と考える。

出所:SPEEDAおよび東証で取得したデータをもとに筆者作成

岡野 辰太郎