あってよかった、ライフラインとしてのイオン
皆さんはイオン(8267)を利用していますか? 筆者はごく最近まで最寄りのスーパーがイオンでしたので大変重宝していました。しかし、現在は建物を取り壊して建て直しています。なくなってみると不便なものです。
総合スーパーは空気のような存在で、そこにあるときはそのありがたみに気づきにくく、品揃えや内装などに不満も出ますが、それがなくなってみるとワンストップで何でも揃う便利さが身に沁みます。今でも月に何度かは電車に乗って数駅先のイオンに買い物に行っています。
イオンはこんなにナンバーワン
ところで、イオングループの2017年2月期の営業収益は8.2兆円にのぼり、小売業界ナンバーワンといわれます。同社の資料をひも解くと
- 総合スーパー売上ナンバーワン
- 食品スーパー売上ナンバーワン
- 国内ショッピングセンター売上ナンバーワン
- ドラッグストア売上ナンバーワン
- 流通系クレジットカード ショッピング取扱高ナンバーワン
- ビルマンション管理売上ナンバーワン
- アミューズメント施設売上ナンバーワン
とのこと。総合スーパーや食品スーパーの売上ナンバーワンはイメージ通りですが、リストの最後のほうには意外なナンバーワンが記されています。
イオンの営業利益は伸びていない
2017年5月24日に行われた同社の定時株主総会における岡田元也社長の発表資料を見てみましょう。
すると、2011年度から2016年度にかけて営業収益は5.2兆円から8.2兆円まで増えましたが、営業利益は1,956億円から1,847億円に減少しています(2011年度はダイエー子会社化前)。
この間、ダイエーが子会社化され、2016年度には▲71億円の営業赤字を計上しました。また総合スーパーを担うイオンリテールの営業利益は84億円の黒字となり同期間で▲382億円減少しています。
こうした不振がなければ2016年度の連結営業利益は2,300億円程度にはなっていたはずです。イオンの本業ともいえる小売事業で苦戦している姿がここから見て取れます。
イオンの健闘を支える事業とは
小売事業、特に総合小売事業の収益性が中期的に悪化していることは多くの方がご存知の通りです。そうした前提でイオンの業績を見ると、連結営業利益は健闘しているという見方もできるのではないでしょうか。では、イオンの業績を下支える事業は何なのでしょうか。
2016年度のセグメント別の利益を見ると、貢献度が高い事業は以下の通りです。
- 総合金融事業:619億円
- ディベロッパー事業:469億円
- スーパーマーケット・ディスカウント事業:313億円
ちなみに、総合小売事業の利益は25億円にすぎません。つまり、イオンの連結収益はクレジットカードなどを扱うイオンフィナンシャルサービス、モール事業を行うイオンモールがメインと言えるのです。