「全体として儲かっていればいいのではないか」という意見もあるでしょう。仮に総合小売事業が不調だとしても、それがあるがゆえに総合金融事業やディベロッパー事業で利益が出ていると考えれば、総合小売り事業をコストセンターと割り切る見方もあるでしょう。
しかし、問題があります。総合小売事業の損益はストレートにイオンの株主に効いてきますが、イオンフィナンシャルサービス、イオンモールは上場子会社のため、せっかくの利益が外部株主とシェアされてしまうからです。
そこで、岡田社長は肝心かなめの総合小売事業の採算をしっかり回復させるという決意を表明しています。ダイエーの売上高を2016年度3,000億円から2019年度に7,000億円まで成長させること、イオンリテールの収益改善を着実に行うことがうたわれています。
イオンがカテゴリーナンバーワンを目指す領域とは?
イオンリテールの衣料品売上高は3,402億円、住居関連が4,172億円であり、カテゴリートップ企業に対して著しく劣っているわけではない、イオンの資料はそう語っています。
筆者の率直な印象でいうと、これらの領域のトップバリュ(イオンのPB)は十分消費者に訴求できるものが多いと思いますので挽回の余地はあるのではないでしょうか。
そのためにも、魅力的な商品が定期的に投入されることが重要です。競合が製造小売の機能を高め、デジタル対応を進めており、アマゾンをはじめとするネット通販のプレゼンスも日増しに高まるなか、建て直すなら今しかありません。
今後3年間で衣料品と住居関連の事業がどれだけ拡大するのか、楽しみに見守りたいと思います。
LIMO編集部