先週の為替市場はほとんど値動きを消してしまった状態で、非常にトレードが難しい市場状況でした。そんな中で5月下旬から下落を始めていた原油価格(WTI)が金融市場で唯一動き、5週連続の下落で1バレル当たり42ドル台に突入しました。
今週も大きな経済イベントが予定されておらず、先週に続き辛抱強く次の値動きを待つ必要がありそうですが、注意したい点は何でしょうか。
先週の為替動向振り返り
FOMC利上げ後初の週であった先週は特に大きな経済イベントがなく、為替市場は完全に値動きを消した状態となりました。FOMCで材料出尽くしの状況ですが、利上げ自体は織り込み済みであり、さりとて次の為替市場を動かす材料も見当たらず、開店休業に近い状態です。
ドル/円、ユーロ/ドルともに、先週は1日の値幅が50~60pips程度の日がほとんどであり、トレードが非常に難しい環境となりました。英ポンドはイングランド銀行(英中央銀行)のカーニー総裁が20日の講演で利上げは時期尚早と発言した後で急落しましたが、23日には講演会前の水準にまで値を戻しています。
原油価格の下落が続く
動かない為替と対照的に、値動きを見せたのが原油価格(WTI)です。5月下旬から下落が始まっていた原油価格ですが、先週は44ドル台後半から取引を開始したものの21日には42ドル割れ目前の水準にまで下落。
その後反転し週の取引は43ドル台で終えましたが、先週も週足は陰線となり、週足ベースでは5週連続で陰線が確定しています。ただし、42~43ドル台は昨年夏以降から続くサポート&レジスタンスの下限に位置しており、いったん下げ止まりの可能性も高くなっています。
為替市場のみならず、株式市場も先週は大きな値動きがない中で、原油価格のみが大きく動いた1週間となりました。
今週の見通し
今週も先週に引き続き重要な経済イベントや指標発表は予定されていません。ただし、29日に米国第1四半期(1~3月)のGDP(確定値)の発表が予定されています。通常の相場状況であればGDP(確定値)の発表は中程度の注目度ですが、値動きに飢えている状態の現在の為替市場では相場が動く可能性もあります。
為替市場のみならず金融市場全体が動くきっかけを探している状態ですが、何がトリガーになるのかは誰にも分かりません。既に先週1週間で値動きのためのエネルギーを溜めている状態であり、いったん動き始めると大きく動く可能性があるため注意が必要です。
ドル/円は、110円台後半から112円前後のレンジ相場に位置しています。このレンジは5月下旬にも2週間レンジ相場が継続した実績があり、値動きが停滞しやすい場所となります。このレンジ相場を上下いずれに抜けるのかが、次の値動きを占う上で大きなポイントと言えます。
これまで通りトランプ政権に関連したニュースで大きく動き始めることも十分に考えられますが、大きなニュースがなければ先週に引き続き値動きに乏しい週=レンジ相場に留まる週となる可能性が高いと考えられます。また、一時42ドル台まで下げた原油価格が今後為替市場にどんな影響を与えることになるのか、その兆候には充分注意したいところです。
まとめ
先週の為替市場はまるで連日英米市場が祝日であるかのように値動きに乏しい週でした。値動き=ボラティリティがなければトレードは商売としてはいかんともしがたいのですが、まさに先週はその通りの1週間となりました。
大きなイベントがない今週も我慢が必要とされる相場状況となる可能性があります。無理な取引行う必要はありません。辛抱強く次の値動きを待つのが吉と言えるのではないでしょうか。
LIMO編集部