2022年12月13日に発表された、株式会社グッドコムアセット2022年10月期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。

スピーカー:株式会社グッドコムアセット 代表取締役社長 長嶋義和 氏

事業概要

長嶋義和氏(以下、長嶋):株式会社グッドコムアセット代表取締役社長の長嶋です。2022年10月期の決算についてご説明いたします。よろしくお願いいたします。

当社の事業内容について簡単にご説明します。当社グループは、東京23区を中心に1都3県で自社ブランドマンション「GENOVIA」シリーズの投資用新築マンションの企画・開発・販売・管理をグループで、ワンストップで行っています。

グループ会社は6社あります。セグメントは法人への1棟販売を行う「ホールセール」、個人投資家へ販売する「リテールセールス」、建物管理や賃貸管理、家賃保証を行う「リアルエステートマネジメント」、IPOやIRコンサルティング、不動産小口販売を行う「その他」の4つで構成されています。

エグゼクティブサマリー

2022年10月期のサマリーです。5期連続で増収増益を達成し、過去最高益を更新しました。売上高は400億4,000万円、営業利益は前期比34.2パーセント増の46億1,000万円、経常利益は前期比37.2パーセント増の43億4,000万円、当期純利益は前期比45.7パーセント増の28億5,000万円となりました。

不動産販売では、ホールセールにおいて需要が旺盛で、17棟1,001戸の大型契約を好条件で締結し売却が完了したことで、大幅に利益率が上昇し利益が増加しました。

仕入については、仕入のプロを採用し積極的に仕入を進めており、2022年10月期は22棟1,304戸の仕入を実現しました。資材価格の高騰などの影響については物件の大型化によるスケールメリットにて圧縮しています。

株式分割

2022年10月期のトピックスです。株式の流動性を高め、新たな投資家へアプローチする目的で、2022年10月31日を基準日として、2022年11月1日付で当社普通株式1株を2株に株式分割しました。株式分割後に1日の平均出来高が増加したため、今後も1日の出来高を増加していきたいと考えています。

期末配当金の増配

期末配当金を増配しました。株式分割前の実際の配当金として、普通配当50円、上場記念配当3円に加え、業績の進捗により7円増配の60円と発表しました。配当性向は30.1パーセントとなり、2023年1月末開催の定時株主総会に付議する予定です。

業績予想の修正

17棟1,001戸の1棟販売が当初予想よりも好条件で売却できたことにより利益が大幅に増加したため、業績予想の修正を発表しました。営業利益は当初予想比21.3パーセント増の46億1,000万円、経常利益は当初予想比27パーセント増の43億4,000万円、当期純利益は当初予想比22.3パーセント増の28億5,000万円としました。

連結損益計算書

2022年10月期決算の連結損益計算書です。当社および自社ブランドマンション「GENOVIA」の認知が高まり、購入需要が高く多くの方からアプローチをいただきました。条件面での交渉により好条件で販売でき、販売戸数は前期比23パーセント増の1,369戸となりました。利益は大幅に増加し、利益率も向上しました。

連結貸借対照表

連結貸借対照表です。利益の増加によって現預金が116億7,000万円、純資産は114億7,000万円、自己資本比率は46.9パーセントとなりました。潤沢な手元資金をもとに、さらに仕入を行っていきます。

連結キャッシュフローの状況

連結キャッシュフローの状況です。キャッシュは期首の79億円から営業活動によるキャッシュフローで34億円増加、投資活動によるキャッシュフローで2億円減少、財務活動によるキャッシュフローで4億円増加し、期末では約40億円増加の116億円となりました。

不動産販売事業の状況(ホールセール・リテールセールス)

不動産販売事業の状況です。ホールセールおよびリテールセールスで41棟1,369戸を売却しました。内訳としては、ホールセールで1,150戸、リテールセールスで219戸となり、売上高・利益・販売戸数は順調に増加しています。2022年10月期は1棟販売の需要も高く、利益率は大幅に上昇しました。

仕入件数及び仕入規模の推移

仕入は1都3県にエリアを拡大し、賃貸需要を考慮して積極的に行っています。2022年10月期は22棟1,304戸の仕入を行い、そのうち東京23区は63パーセント、最寄駅から徒歩10分以内は95パーセントとなっています。物件の大型化により1棟当たりの仕入規模が拡大しており、スケールメリットで資材価格の高騰を圧縮しています。

仕入物件一覧

仕入物件の一覧です。

仕入物件一覧

こちらのスライドも合わせてご覧ください。

仕入物件一覧

今期の販売物件は確保できており、来期以降の販売物件の仕入を積極的に行っています。2022年11月1日から12月9日までの仕入は5棟492戸で、順調に仕入ができています。仕入情報は集まっているため、精査しつつ仕入が決定した際には順次公表していきます。

通期業績予想

2023年10月期の業績予想です。仕入が好調で売上高が大幅に増加し、利益は1棟販売先を選定中のため保守的に計画しています。売上高は前期比57.5パーセント増の630億8,000万円、営業利益は前期比18.2パーセント増の54億5,000万円、経常利益は前期比9.5パーセント増の47億5,000万円、当期純利益は前期比14.6パーセント増の32億7,000万円の予想です。

2023年10月期はREIT事業を推進するため、物件供給スポンサーとして投資法人への販売を開始する予定です。しかし、現在グッドコムアセット投資顧問の許認可等の取得時期が未確定のため、第2四半期の業績予想は行っていません。

7期連続の増収予想 過去最高を更新中

売上高は7期連続の増収を予想しており、6年間で6倍以上成長し年平均成長率は36.3パーセントを見込んでいます。

6期連続の増益予想 過去最高を更新中

営業利益は6期連続の増益を予想しており、6年間で6倍以上成長し年平均成長率は34.8パーセントを見込んでいます。

上場来6期連続の増配を予想

投資指標です。配当は6期連続の増配を予想しており、当期は1株当たり普通配当35円、配当性向は30.7パーセントを見込んでいます。こちらは2022年11月1日付の株式分割後の値です。

財務情報(資本効率推移)

高い資本効率を維持できており、2022年10月期のROEは24.9パーセントです。こちらの数字は2022年12月9日現在、上場している不動産業で18位、全上場企業で357位となっています。

株価推移

新規上場からの株価の推移です。2016年12月に新規上場してから6年が経過し、その間に株式分割を4回、増配を5回実施しています。引き続き、企業価値向上のための事業運営を行っていきます。

Purpose(パーパス)&Vision(ビジョン)

当社はVisionとして「21世紀を代表する不動産会社を創る」を掲げています。

当社のPurposeは「不動産を安心と信頼のできる財産としてグローバルに提供し、社会に貢献する」としています。こちらは、入居率が高く資産価値の下がりにくい不動産を、財産として国内外のみなさまに提供することで、当社の物件を保有したみなさまの人生が豊かになってほしいという思いと、災害などにも強い安心安全な街づくりに貢献したいという思いが込められています。

21世紀を代表する不動産会社を創る

Vision「21世紀を代表する不動産会社を創る」を達成するため、当社グループは2030年10月期の決算発表までに、不動産会社における時価総額ランキングの上位に入ることを長期ビジョンとしています。

新規事業:REIT事業

2022年5月期に、グッドコムアセット投資顧問を設立しました。REIT事業への参入を目指し、許認可等の取得に向けて準備しています。

REIT事業は、資金の運用資産の受け皿となる投資法人を設立し、金融機関や投資主から資金を調達します。この資金をもとに、運用資産である不動産を購入し、その不動産の賃料収入から分配を行うスキームです。

運用資産については、当社が物件スポンサーになることで、安定的に供給することが可能となります。新設会社のグッドコムアセット投資顧問は、投資法人から資産運用や管理を受託し、管理費と運用手数料としてのストック収入が投資顧問の収益となります。

REIT事業の市場規模

RIETの市場規模は、2022年10月末現在で約26兆円です。REITの保有不動産額は年々増加しており、市場規模は拡大しています。安定的な投資先の1つとして選ばれ、投資家の方々の出資総額も増加しています。そのため、魅力的なコンセプトでREITを組成すれば、今後REIT事業を拡大することができると考えています。

仕入エリアの拡大

REIT事業への参入に伴い、マンションの仕入エリアを拡大しています。当社は創業以来、東京23区の新築マンションを取り扱っていましたが、現在1都3県まで拡大し、中古物件も対象としています。

REIT事業においては、当社ブランドマンション「GENOVIA」シリーズを基本としつつ、多くの物件ポートフォリオから新築・中古・都心・郊外をミックスすることでリスクヘッジが可能となり、安定的な分配金を確保できると考えています。

既存事業は、従来どおり東京23区中心の当社ブランドマンション「GENOVIA」シリーズを提供します。

賃貸マンションの市場規模

仕入エリアを拡大した1都3県の賃貸マンションの市場規模についてです。近年は、賃貸マンションの市場規模は拡大傾向で、2021年の建築戸数は約3万7,000戸で、当社の販売戸数はその3パーセント程度です。1都3県を対象とした当社事業は、今後も拡大の余地があると考えています。

事業ポートフォリオ

当社グループの事業ポートフォリオです。主に法人などにマンション1棟を販売する「ホールセール」、個人投資家に販売する「リテールセールス」、販売物件の建物管理や賃貸管理、家賃債務保証を行う「リアルエステートマネジメント」、不動産小口化商品・Good Com Fund事業や、IPO・IRコンサルティング事業などを含む「その他」、そして先ほどお伝えした「REIT事業」を加えた5つの事業を展開しています。

多様な販売チャネル・ストックビジネス・新規事業で、さらに業績を伸ばしていくことが当社の経営戦略です。

サステナビリティの推進

サステナビリティについてです。サステナビリティ基本方針として、私たちはVision「21世紀を代表する不動産会社を創る」を掲げ、不動産の価値創造を通じて、環境および社会問題の解決に向け積極的に取り組み、持続的成長と社会貢献で企業価値の向上に努めます。

ESGの取り組み事例として、環境については自社ブランドマンション「GENOVIA」の壁面や屋上を緑化しています。社会については、働きやすい職場環境への整備を推進し、ガバナンスについては、東証プライム市場の上場会社として求められるガバナンス体制を整えています。

できることから始めていき、中長期的な経営戦略の1つとして引き続き取り組んでいきます。

質疑応答:仕入環境について

司会者:「仕入は順調とのことですが、仕入環境について、まだまだ仕入は可能でしょうか?」というご質問です。

長嶋:当社は2022年11月1日から12月9日の間で5棟492戸の仕入を実現し、仕入状況が厳しいとされる中でも順調に仕入ができています。

一般的な不動産会社の開発物件は、スライド上段のように、土地を取得してから着工・竣工、そして販売・資金回収という流れになり、自社開発では2年から3年の間資金が寝てしまうことになります。

一方で当社は、スライド下段のオフバランス・スキームを採用しています。当社は年平均成長率の目標値を35パーセントから40パーセントに設定していますが、今期の予算は630億円で、3年前には630億円を借入する必要がありました。

しかし、財務諸表のとおり、そこまで借入はしていません。負債は2022年期末で100億円と10億円ほど増えていますが、自己資本比率は46.9パーセントと高い状態で仕入が実現できています。つまり、当社は土地を取得するとき必ず借入をしているわけではないのです。

当社独自のオフバランス・スキームにより、仕入総額の2パーセントから3パーセントの手付金を支払うだけで仕入契約を実現しているのです。

司会者:他社にない独自のスキームですね。

長嶋:おっしゃるとおりです。借入をせずに仕入ができるため、前もって仕入ができることが、今期の仕入がすでに実現できている理由です。

質疑応答:実績について

司会者:「1都3県で、特に東京23区中心に事業を進めているようですが、実績はどれくらいですか?」というご質問です。

長嶋:スライドに2022年の仕入件数および仕入規模の推移を示しています。1都3県にて賃貸需要を鑑み物件仕入を推進しており、2022年は22棟1,304戸の仕入を実現しました。

2022年の仕入戸数は、全体の仕入が前年比71.6パーセント増と大幅に増えています。そのうち東京23区は63.7パーセント、神奈川県は27.3パーセント、千葉県は4.5パーセント、東京23区外は4.5パーセントで、徒歩10分圏内は95パーセントです。

司会者:23区だけではなく、神奈川県もけっこうボリュームが大きくなってきているのですね。

長嶋:賃貸需要が高いことがポイントになるため、そのようなエリアに仕入エリアを拡大していっています。1棟当たりの仕入規模も、2021年から2022年で総額・20億円以上・30億円以上・40億円以上の規模がそれぞれ増えています。

司会者:けっこう大きく増加していますね。

長嶋:仕入規模を大型化することで原価を圧縮し、資材高騰分をカバーしています。

質疑応答:REIT事業について

司会者:「REIT事業の免許取得の状況について教えていただきたいです。いつ頃から事業を開始できそうでしょうか?」というご質問です。

長嶋:2022年5月に設立したグッドコムアセット投資顧問がREIT事業の運用会社になります。こちらが今、国交省や金融庁などに許認可の申請を行っている状況です。2023年度中に事業を開始できると我々は確信しています。そのような事情から、第2四半期の中間決算は非開示としています。

司会者:いつ頃免許が取れるかということも含めてということですね。

質疑応答:関西方面での仕入について

司会者:「1都3県に仕入エリアを拡大するとのお話でした。大阪にも拠点がありますが、関西方面の物件を仕入れることもあるのでしょうか?」というご質問です。

長嶋:当社は私募REITとして新築・中古をミックスして組み入れており、かつ仕入エリアを東京23区から1都3県に広げています。まずは私募REITのスタートラインとして、エリアは1都3県に絞り込んでいきたいと考えています。

ただし、REIT事業の規模が拡大し、1都3県で網羅できない状況になれば、関西圏に進出することも当然考えられます。

質疑応答:マンションの他社との差別化について

司会者:「グッドコムアセットのマンションについて、他社との差別化について教えていただきたいです」というご質問です。

長嶋:当社の自社ブランド「GENOVIA」について、他社との差別化ポイントは3つあります。

1つは、入居率の高いエリアにしか建てないことです。みなさま投資用物件として保有されるため、賃貸需要の高い、そして最寄駅から徒歩10分圏内が中心になることが特徴です。

2つ目は、資産価値の高い統一デザインです。何十社もの建設会社や設計事務所と取引していると、設計の仕方などがバラバラになってしまいます。その中で当社は、外観・アプローチ・エントランスについて各物件に「GENOVIA」仕様のデザインを採用し統一感を持たせています。

こちらは有名な建築家・黒川紀章のNo.2の方が、すべての物件の外観・アプローチ・エントランスのデザインを監修しており、「GENOVIA」仕様を担保できることがポイントです。

3つ目はエコロジーな緑化デザインで、1階部分に植栽した壁面緑化デザイン「green veil」、屋上を緑化した「skygarden」、屋上をドッグランにした「skyrun」があります。

物件の間取りは1K・1LDK・2LDK、広さは20平米から60平米、販売価格帯は2,000万円台から5,000万円台で、すべての商品を投資物件として販売していることも特徴として大きなポイントかと思います。

司会者:非常に統一しており、イメージがきちんと浸透するようなコンセプトになっているかと思います。

質疑応答:マンションの入居者について

司会者:「御社のマンションに投資する人は個人投資家で公務員がとても多いようですが、その物件に住む人はどのような人が多いのでしょうか?」というご質問です。

長嶋:スライドは当社マンションの入居率です。期首の2021年11月から前期末の2022年10月は、98パーセントから99パーセントと非常に高い入居率をキープしています。

入居者は単身者の方が多くいるほか、社宅として企業が一括で借り上げることも増えています。ちょうど今の時期に社宅の使用が増え、まとめて借りていただくこともあります。

司会者:やはり駅が近いというのは大きいですよね。

長嶋:そのとおりです。以前はほとんどの会社が自社でマンションや社宅を保有して独身寮などを作っていましたが、今は社宅に代わっているということだと思います。

質疑応答:キャピタルサポートコンサルティングの業績について

司会者:子会社のキャピタルサポートコンサルティングの業績についてのご質問です。

長嶋:キャピタルサポートコンサルティングは、新規上場(IPO)における上場コンサルと上場後の資本政策を行っており、スライドの「その他」に業績が含まれています。

当社としてはベンチャーへの出資も増加しており、近い将来、当社の出資先の上場などにより貢献できるのではないかと考えています。

質疑応答:来期の業績予想について

司会者:「来期の業績予想で売上高が大幅増となっていました。仕入の好調以外に、どのような要因や理由があるのでしょうか?」というご質問です。

長嶋:売上高が前期比57.5パーセント増と伸びている理由として、当社や当社が供給する場所、「GENOVIA」が広く認知されたことにより、購入者から多くのオファーをいただいています。

司会者:仕入に加えて売り手としての需要もかなりあるのですね。

長嶋:そのとおりです。ただし、利益面に関して販売先はまだ選定中ですので、業績予想は保守的に作っています。

長嶋氏よりご挨拶

長嶋:2023年10月期の業績予想の達成や、仕入拡大に向けて邁進していきます。株主還元にも積極的に取り組んでいきますので、応援いただけますと幸いです。

記事提供: