2022年12月8日に発表された、株式会社サンリツ2023年3月期第2四半期決算説明の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社サンリツ 取締役 常務執行役員 尾留川一仁 氏
本日のご説明内容
尾留川一仁氏:みなさま、おはようございます。いつもいろいろな面でお世話になっています。また、お忙しい中、本会にご参加いただきまして誠にありがとうございます。
毎回この場には弊社社長の三浦康英が参加してご説明していましたが、今日は緊急の諸事情によりやむを得ず欠席させていただいています。代わりに、私から今回の資料についてご説明させていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
本日の概要についてはスライドに記載のとおりです。終わった第2四半期の決算の概略、通期の見通し、今進めている中期経営計画の進捗状況、それから補足の内容をご説明したあと、今取り組んでいるサステナビリティの状況をご説明します。最後にAppendixを付けていますので、参考までにご覧いただければありがたいと思います。
1-1. 2023年3月期第2四半期 決算概要
まず、第2四半期の決算の状況についてご説明します。この会計期間の売上高は、99億6,900万円となりました。前年同期比や当初見込んでいた計画値よりも増収となっています。10ページ以降で売上高の内容についてご説明しますので、売上高の詳細は割愛します。
売上原価は79億4,200万円です。売上原価率は79.7パーセントと、前年同期比で約2ポイント増加しています。
こちらには、売上高が増加したことに伴う原材料費等の上昇が約9.5億円計上されています。また、前期においても人員が足りなかったため、人員補強のコストが約1億円、人員補強で補えなかった取扱い分をカバーするために、アウトソーシングとして外部委託で取り扱ったコストが約1.5億円入っています。
人員補強と原材料費の高騰については、当初の計画値で見込める範囲で織り込んでいましたが、一部で差が出てきている状況です。しかし、人員に対しての実績値は当初計画していたコストの約半分となっています。
販管費は14億5,900万円で、前年同期に比べて増加した部分は労務費です。経常利益については、子会社に対する長期貸付金である親子ローンのドル建て資産に対する為替差益により、7億7,600万円となりました。前年同期や当初計画していた数字と比べても増加しています。
1-2. 2023年3月期第2四半期 取扱製品群別 決算概要
売上高について、いくつかの角度からご説明します。まず、取扱製品群別です。この期間で増加した売上高のほとんどが工作機械です。工作機械ですので、国内向けではなく、ほとんどが輸出にかかっているものと見ていただければよいかと思います。小型精密機器は若干減少しましたが、それ以外は概ね同じような推移で動いています。
1-3. 2023年3月期第2四半期セグメント別 決算概要
外部公表しているセグメント別の状況です。売上高は前年同期比で梱包が増加しており、運輸も若干増加しています。運輸については、工作機械の取扱いが大きく増加したことが影響しています。
決算概要でお伝えしたとおり、前年と比べて売上原価率が上がっているため、セグメント利益はやや下がっている部分もありますが、おおむね横ばいで推移していると考えています。
1-4. 2023年3月期第2四半期 地域別売上高 決算概要
地域別売上高についてです。日本とアメリカでの取扱いが伸びています。先ほどお伝えしたとおり、日本においては工作機械の取扱い、輸出・輸送が増加しました。アメリカにおいては原価高ではありましたが、そのような中でも取扱量は順調に推移しました。
2-1. 2023年3月期 業績予想
ここからは、通期の見通しについてご説明します。第2四半期の決算の状況を受けて、上方修正させていただきました。売上高は当初計画の180億円から10億円増の190億円に修正しています。今の取扱い状況と同じような推移になる見込みです。
お客さまの中からは「部品の調達がうまくいかない」というリスクにあたるお話も少し聞こえてきているため、このような数字で推移するのではないかと考えています。業界の中でも工作機械の業界が牽引していくという見方です。
利益面については、先ほど人員不足についてお伝えしましたが、当初計画の約半分は補えてきています。しかし、まだ人手が足りないところへのコストの追加を見込んでいます。当初の計画から織り込んでいるところは、確実に実行していく考えです。人件費を鑑みても、営業利益は当初計画より5,000万円増の9億5,000万円を予想しています。
今後、為替がどのように移り変わっていくかわかりませんが、経常利益は第2四半期の評価益を織り込み、11億円に予想を修正しました。第2四半期に特別利益、特別損失が出ているものもありますが、これらの状況を織り込み、親会社株主に帰属する当期純利益は8億円に修正しています。
2-2. 2023年3月期 取扱製品群別 業績予想
取扱製品群別の業績予想についてご説明します。現状ではいろいろな情報を探りながら、通期業績予想を立てていますが、実績値と同様に工作機械が伸びると考えています。
2-3. 2023年3月期 地域別売上高 業績予想
上方修正した計画値を地域別にご説明します。上半期が終わったところでは、中国にある子会社がロックダウンによりまったく活動できなかったという影響がありました。その中で日本とアメリカが中心となって牽引することで、売上高は190億円に上方修正しています。
2-4.配当について
第2四半期の業績を修正しましたが、配当に変更はありません。配当の修正も検討しましたが、利益面で為替の評価が大きく影響を受け、今後の状況が不透明であるため、修正は行いませんでした。配当性向30パーセントを考えていますが、海外子会社へ行った投資の資金繰りへの影響などを含めて今後の方針を検討したいと思います。
3-1. 今後の計画数値について
中期経営計画の進捗状況についてご説明します。売上高については概ね達成していますが、営業利益率6.6パーセントについてはやや足りてない状況です。修正はかけず、計画数値に近づける取り組みを行っています。
営業利益率が計画数値に届いてない原因は、想定以上の原材料高の影響によるものです。また、計画を立てた時以上に、人員不足の点で労務費などのコストが増えています。省力化や効率化を考えながら、数値目標を追いかけていきます。
3-2.中期経営計画の概要
ビジョンの「オペレーションからソリューションへ」に取り組んでいます。確実なオペレーションの上に成り立つソリューションとして、足固めをしっかりしながら攻めることを提案しています。
最終目標は売上高166億円、営業利益11億円、営業利益率6.6パーセントです。現状、営業利益率が足りてないため、ここへの取り組みを積極的に仕掛けていきます。
3-3. 中期経営計画の概要
中期経営計画の概要と進捗状況について、スライドに数字を掲載しています。世界的な原料高と想定以上の人員コストをカバーするために、物流のDXによる可視化、効率化、省力化のための戦略に取り組んでいます。こちらは、後ほどご説明します。
3-4-1.中期経営計画の概要及び進捗状況
今後、底堅く成長していくメディカル部門については「メディカル推進TEAM」を作り、取り組んでいます。約1億円の売上に寄与しており、引き続きさまざまな営業の場面に積極的に参加して推進していく考えです。
包装仕様の変更など、お客さまの生産効率を高めるソリューションを提案し、最終的には当社の利益率を高めることに取り組んでいます。
成田地区、多摩地区への投資については、成田空港の機能強化を目指した滑走路の延伸計画を受け、成田地区での取り扱い量が増加する見込みです。現在は、成田地区の設備増強の拡大プロジェクトを立ち上げて動いています。
今年度は、計画をどこまで立てられるかや設備投資のための土台固めとなりますが、ここの取扱いについてはさらに増加させていくことを狙っています。
工作機械業界においては、特定の顧客に対して、海外の子会社と連携したシームレスな国際一貫物サービスを提供しています。お客さまの生産効率、輸送効率などの効果を出せるような仕組みで物流提案を仕掛けながら、獲得をさらに増やしていきます。
3-4-2.中期経営計画の概要及び進捗状況
アメリカの子会社についてご説明します。米国ではコロナ禍の影響で、設備投資や倉庫建築の際に役所からなかなか許可が下りない状況でしたが、許可が下りましたので、早期に完成できるように精一杯建築を進めている状況です。
アメリカには少ない30トンクレーンを装備した重量貨物が扱える倉庫の建築をロサンゼルスのほうで進めており、順調に進めば来年4月頃に完成する想定です。期間的には当初計画より若干遅れてしまいましたが、鋭意進めています。
なお、当初建築費用は750万ドルを見込んでいましたが、鉄骨や鋼材などの建築にかかる原材料を調達するのにかなり苦労してゼネコンが動いています。価格高騰への対応や建築部材の確保でコストが上がっているため、計画より400万ドル増加の1,150万ドルの建築費用をかけて取り組んでいる状況です。
3-4-3.中期経営計画の概要及び進捗状況
国内においては、自動化・省力化を図ろうと考えています。スライドに記載の内容はその一例です。
品質管理部・事業戦略部などの組織がタイアップしながら動画マニュアル作成ツールを作り、物流DXへの一歩としてデジタル化を図りながら、作業の可視化と標準化を進めています。
また、無人のフォークリフトを導入することを決めています。人手不足やフォークリフト資格者の確保に対する問題、事故を未然に防ぐための仕組みなどを考えながら、無人の利点を活かし、作業時間の効率化に向けた実証実験に向かっているところです。
人材の確保に苦労していることはどの業界でも同じかもしれませんが、当社は各階層別の教育を図りながら、やりがい・働きがいのある職場を実現するために、いろいろな面での投資や環境アンケートなどを実施し、エンゲージメントを進めていきながら、少しでも働きやすい職場環境作りに取り組んでいます。
設備投資については、先ほどお伝えしたアメリカへの投資により、2年間で総額25億円の投資を行う予定です。
4-1. 2022 日本パッケージングコンテストで包装アイデア賞を受賞!
サステナビリティへの取り組みについてご紹介します。スライド右下に記載のとおり、今までも「Asia Star賞」「Good Packaging賞」などを受賞していますが、今回は「Good Packaging 包装アイデア賞」を受賞しました。
段ボールに商品を詰める際の隙間を埋める緩衝材にはさまざまな形態があり、コストの抑えられるエア緩衝材などがよく使われています。当社のアイデアとして出したのは、工数削減と環境負荷低減を目的とした緩衝スペーサーです。
スライドの写真は上から見ているためわかりにくいですが、折りたたんだり、組み立てられるスペーサーを隙間に埋めています。これにより、どのようなサイズにも対応でき、エア緩衝材を作ったり詰めたりする工数と環境負荷の低減を図っています。
改善効果については、主に梱包するための時間を約33パーセント削減でき、空気の緩衝材のゴミはゼロになります。簡単な梱包で埋められるため、品質的にも無駄がありません。いくつかの種類のケースに共通して使用可能なため、資材の管理面でも有利になることが評価されました。
4-2.地域交流について
すでにご存じの方もいらっしゃると思いますが、当社は企業スポーツとして女子の卓球に取り組んでいます。プロではなく実業団のチームですが、今年は日本卓球リーグで優勝しています。
「卓球王国」という卓球専門誌とコラボし、東京都葛飾区付近の中学生を集めて、卓球の指導などを通じて地域貢献や地域交流も行っています。スライド右上のSDGsの3番目と4番目への貢献も含めて、社会貢献の実現に取り組んでいます。
スライドには記載していませんが、障がい者支援として、パラリンアートへの企画提案も行っています。障がい者が描いてくれた絵を使い、スポーツへの取り組みも実現しています。
以上でご説明を終わります。ありがとうございました。