2022年11月26日にログミーFinance主催で行われた、第45回 個人投資家向けIRセミナー Zoom ウェビナーの第2部・株式会社ダイキアクシスの講演の内容を書き起こしでお伝えします。
スピーカー:株式会社ダイキアクシス 専務取締役 CGO・CIO 大亀裕貴 氏
元・ファンドマネージャー/元・ディーラー 坂本慎太郎(Bコミ) 氏
経済アナリスト/経営コンサルタント 増井麻里子 氏
第45回 個人投資家向けIRセミナー
大亀裕貴氏(以下、大亀):本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきありがとうございます。ダイキアクシスの専務取締役の大亀裕貴でございます。本日は、私たちの事業戦略・成長戦略についてお話しさせていただきます。
自己紹介
大亀:あらためて自己紹介いたします。私は、大亀裕貴と申します。愛媛県出身で、2018年にダイキアクシスに入社し、海外営業担当、常務執行役員を務め、今年から専務取締役ということで、全社の経営戦略や海外事業戦略を担当しています。
Agenda
大亀:本日は、大きく4つのアジェンダに沿ってご説明します。
1. 会社概要 / コーポレートスローガン
大亀:まず、我々が一番大切にしているコーポレートスローガンについてです。「PROTECT×CHANGE」というスローガンを掲げて事業活動・会社経営に取り組んでいます。このスローガンの中に「Value」「Mission/Vision」を入れています。
1つ目の「Value」は企業姿勢、つまり従業員としてあるべき姿です。「守るべきものは守り、変えるべきものは変える」ということで、世の中の大きな変化に柔軟に対応し、維持すべきもの、変化させてより良くするものを明確にしながら、時代に沿って持続可能な組織を目指していくというValueを掲げています。
2つ目の「Mission/Vision」、つまり企業使命としては、環境を守りながら人類の未来を変えていくという使命を持って取り組んでいます。水の事業を軸として、地球環境や生活環境を含めたいろいろな環境を守ることで、持続可能な社会の実現や人類の未来へ貢献していくということです。
1. 会社概要 / 沿革
大亀:会社の沿革・歴史です。ダイキアクシスは、2005年に創業した会社です。東証市場再編もあり、現在はプライム市場に上場している企業ですが、歴史をたどると、1958年創業で、来年は創業65周年を迎えます。
私の祖父である大⻲孝裕が、愛媛県の松山市に大⻲商事という商社を立ち上げたのが始まりです。住宅機器の卸売が祖業ですが、会社が成長する中で、水処理のプラント開発やホームセンター事業を立ち上げました。1989年には水処理のプラント開発、住宅機器の卸売、ホームセンター事業を合わせた会社として、ダイキ株式会社を立ち上げました。
ホームセンター事業の割合が一番大きな会社です。Amazonの台頭やホームセンター事業の先行きを考える中で、DCMホールディングスとダイキ株式会社が、ホームセンター事業を行っている他の会社と経営統合するかたちで、2005年にDCMダイキ株式会社が誕生しました。
現在の株式会社ダイキアクシスの代表取締役である大⻲裕が、水処理のプラント開発事業および住宅機器の卸売事業といったBtoBの事業に関しても将来性があるということで、完全に事業を分割するかたちで株式会社ダイキアクシスを立ち上げたのが2005年です。少し複雑ではありますが、このような歴史を持つ会社です。
1. 会社概要 / グループ概要
大亀:現在、グループは大きく3つの事業柱で経営しています。1つ目が、スライド左側にある環境機器関連事業です。水処理事業を軸に、国内・海外にグループ会社を持ちながら取り組んでいます。
2つ目の事業柱は、住宅機器関連事業です。ダイキアクシス本体とグループ会社、子会社の3社で、住宅設備の卸および空調機器、住宅サッシ・エクステリア建材の施工・販売を行っています。
3つ目の事業柱は、再生可能エネルギー関連事業であり、子会社の株式会社ダイキアクシス・サステイナブル・パワーを中心に事業に取り組んでいます。太陽光に関しては、昨年10月にグループインしたサンエイエコホーム社とともに、再生可能エネルギー関連事業に取り組んでいます。
その他の事業として、愛媛県を中心に中四国で家庭用飲料水の販売事業を行っています。
1. 会社概要 / グループ概況
大亀:グループ概況です。スライドには、セグメント売上高の概況を示したグラフを記載しています。2021年の12月期で連結売上高378億円の規模の会社となっています。
セグメント別の売上高の割合は、約53パーセントが環境機器関連事業であり、浄化槽や排水処理システムの事業に取り組んでいます。42パーセントが住宅機器関連事業です。再生可能エネルギー事業に関しては注力事業になりますが、まだ全体の3パーセントという規模です。
坂本慎太郎氏(以下、坂本):環境機器関連事業と住宅機器関連事業の売上高が半分ずつくらいの割合ですが、近年、事業の中で伸びている分野があれば、トピック的に教えていただければと思います。
大亀:全体の売上の割合としては、2015年と比較した場合、2021年は17パーセント増えています。金額では55億円ほど増えており、その中でも一番大きなセグメントである環境機器関連事業が増えています。総合水処理メーカーとして、浄化槽や小型の排水処理から大型の産業排水処理まで手掛けています。
こちらに関しては2015年から2021年までで、国内事業は138億円から177億円、メンテナンスに関しても37億円から50億円に伸びました。海外についても6億円から14.8億円となっており、セグメントの中では主に水処理の事業が一番伸びています。
2. 成長戦略 / 2025年中期経営計画概要
大亀:我々の会社としての強みおよび成長戦略についてお話しします。成長戦略と中期経営計画を立てて、取り組んでいます。
当初は2019年から2021年までの中期経営計画でスタートしていましたが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国内外の大幅な環境変化および業績の変化があったため、2023年までの延長を行いました。さらに長期的な視点に立った持続的成長戦略を踏まえて、2025年12月期を最終年度とする、さらなる延長を実施しています。
成長戦略としては、大きく7つの項目を立てています。海外展開、製品開発、再生可能エネルギー、住宅機器関連事業における安定から成長への転化、あらゆる分野でのストックビジネス、IT推進による生産性の向上、そしてM&Aの推進による商圏や商材の拡充・事業の成長を掲げて取り組んでいます。
増井麻里子氏(以下、増井):新型コロナウイルスの影響を受けた分野はどれになるのでしょうか?
大亀:新型コロナウイルスによる行動制限によって、ほとんどの事業が影響を受けたと言えると思います。その中でも、大きく影響を受けたものとしては、施工関連、そして海外関連の事業です。ですので、環境機器関連事業と住宅機器関連事業のメイン事業においては、かなり影響があったと思います。
国内においては、工事案件の工期延長や、設備投資の消極化があり、なかなか案件が増えませんでした。また、行動制限に伴い、海外へ行けず営業活動ができないことは業績にも響いてくるところでしたので、そのあたりへの影響があり延長しました。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業
大亀:それぞれの事業に関して深くご説明します。弊社の環境機器関連事業では、上水・中水・下水と、それぞれにさまざまな水処理を行っており、それが弊社の強みであると言えます。まず上水に関しては、安価な飲料水システムとして、温浴施設・商業施設・病院・ホテルなどにシステムを提供しています。
中水に関しては、膜処理や生物処理・土壌処理など、さまざまな処理方式を用いて、雑排水を簡単に水処理し、トイレの洗浄水などに再利用できるようなシステムを提供しています。
下水は我々の一番大きな事業です。排水処理システムについては、総合水処理メーカーとして、家庭用の一番小型の浄化槽と呼ばれる生活排水処理装置から、大型の工場の産業排水処理施設および地域集落排水処理施設、排水再利用システムなどの販売・施工を全国展開で行っています。
事業としては、水質分析や環境アセスメント、環境評価から設計、施工、アフターメンテナンスまでグループ全体で一気通貫で行っていますので、さまざまなお客さまのニーズやご要望にお応えしながら最適なシステムを構築、提案できるのが我々の強みです。
坂本:下水の売上の割合がかなり高い理由を教えてください。また、もともと上水より下水のほうが工程が多いため、ビジネスとして売上が膨らみやすいといったことはあるのでしょうか?
大亀:下水の売上が高い理由としては、当社の創業が水処理プラントの開発から始まっているところが大きいと思っており、その中でも浄化槽の開発を進めてきています。後ほどご説明しますが、我々の水処理の事業は日本の浄化槽の歴史とともに成長してきているという面もあります。下水の売上が高い理由はそのあたりにあると思っています。
上水の事業である地下水飲料化は、水処理を行うという点で技術的に下水と共通するところがあるため、2007年頃から取り組んでいます。
坂本:競合他社というのは、どういう企業があるのでしょうか? また、国内外の競争環境について教えていただけたらと思います。
大亀:競合他社については、浄化槽メーカーは限られており、全国では十数社です。浄化槽という製品に関してはかなり特殊なものになっており、国交省が定める浄化槽法という法律があります。その法律による認証を得られないと浄化槽が作れない・販売できないという認定品になっており、参入障壁としてはけっこう高いと考えています。
産業排水の排水処理施設については、さまざまな規模のメーカーが存在しており、国内に関しては人口減少によって市場がかなり縮んできている部分があります。ただし、浄化槽も産業排水である工場排水も扱えるという部分に関しては、一気通貫で携わることができる強みはあると考えています。
海外に関しては、我々が製造している浄化槽と同等の処理能力を持つ製品を現地で作れるメーカーは基本的にはないと考えています。国内の浄化槽メーカーにおいても、海外に本格的な自社工場を持って展開しているメーカーはないため、海外の浄化槽の分野においては、我々しかいません。
営業活動をする中で、中国や韓国などの現地メーカーが、インドやインドネシア、中国において、日本政府が定めている設計基準と比べて性能が十分に担保されていない製品を浄化槽として売っているのを目にします。
その製品を売るだけで、メンテナンスもしない状況が続いており、そのようなところに関しては、政府ともいろいろな話をしながら、我々の強みや浄化槽というビジネスモデルについてもしっかりと話をしながら、浄化槽の規制作りや、製品の性能を売り込んでいくことに取り組んでいます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【世界水ビジネス市場規模】
大亀:今後の水処理事業の成長戦略に関しては、海外展開を考えています。スライドに示しているのは、世界の水ビジネスの市場規模を表した表です。各項目の数字で上段に記載されているのが2030年の予測規模、下段の括弧内の数字が2010年の実績です。世界の水市場の施設設備と維持管理の市場規模を合わせた額で言うと、2030年の予測規模は112.5兆円となっています。
その中でも、我々がターゲットとするのは下水市場です。2030年の予測規模は50.1兆円となっており、2010年の17.8兆円の実績と比べると3倍近く成長する市場ですので、この分野を狙っていく方針です。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【アジア地域下水道普及率】
アジア地域の下水道普及率を表したグラフです。我々がすでに展開している国々、特にインドとインドネシアに関して、下水道普及率を見ると、インドネシアに関してはたったの1パーセントです。インドの人口は約14億人と、中国を越えて世界人口No.1になる国と言われていますが、人口が多いにもかかわらず、下水道普及率は20パーセント弱です。各国の成長が著しい中でも、まだまだ水インフラが整備されていないことがわかると思います。
坂本:下水で海外戦略を推し進めるとのことですが、世界の下水事情について、こちらのグラフでおおよそわかる部分の他に、御社ができることを教えていただきたいと思います。
大亀:下水道に関しては大規模なインフラ投資が必要になっています。このような発展途上国は国としてもなかなか資金が足りていません。
その中で、日本に関しては国際協力機構(JICA)の資金や円借款のプロジェクトがありますが、インフラ投資に関してはかなり大規模な施設になりますし、時間がかかります。
我々の浄化槽製品は非常に小型であり、オンサイトで簡単に施工でき、その場で処理ができることが強みです。投資のスピード感としては、大型のインフラ設備と比較して、かなり迅速に水処理のインフラを整えることができます。
さまざまなプロジェクトがあると思いますが、大型のインフラ設備が考えられないような地方の地域の水インフラを整えるために、浄化槽を普及させていくことが、我々のできる大きな貢献だと思っています。
坂本:インドとインドネシアに注力するとのことですが、インドネシアも人口が多いです。島国のため、地理的なことなどいろいろと大変な部分もあるかとは思いますが、どちらかと言えば日本企業がビジネスをしやすい環境にあるのではないかと思っています。ここでは、インドについて注目される理由などがあれば教えていただきたいと思います。
大亀:インドの重要な部分は、やはり市場規模のポテンシャルです。また、我々はインドには2018年頃から本格的に進出していますが、営業活動をする中で、政府に関しても民間に関しても、我々の浄化槽を販売するパートナーである代理店も含めて、インドネシアと比べると市場として非常に整備されている印象です。
特に政府については浄化槽の理解がかなり進んできていると思っています。インドに注目する理由は、そのポテンシャルと、政府や市場が確立されているという我々の感触が一番大きいです。
インドネシアに関しては、我々が海外展開をする上で最初の拠点になっており、2013年に浄化槽に似た製品を作っている会社を買収したところから始まっています。そのため、今までインドネシアは浄化槽を海外に輸出する基幹工場でありました。
今回、インドで自社工場を立ち上げるため、インドネシアに関しても国内の需要や新たな市場を把握し、現地で作った浄化槽を展開できる国として、しっかり確立していく必要があるとは思っています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【浄化槽とは】
大亀:海外展開でメイン商材として扱っている浄化槽について、少しご説明します。スライドには浄化槽の外観の写真を示していますが。都市部にお住まいの方はこのような浄化槽をなかなか見かけないため、ご存じない方もいらっしゃると思います。
浄化槽という装置は、日本では下水道が整備されていない場所ですと、必ずどのような建物にも設置しないといけないと法律で定められているインフラ設備です。
見た目はただのタンクのようですが、浄化槽のタンクの中はいくつかの部屋に仕切られており、特別な薬品を使うことなく、人間のし尿に含まれているバクテリアで水処理ができるという画期的な装置になっています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【浄化槽 歴史】
大亀:浄化槽の歴史を振り返ると、浄化槽は1950年代から開発され始めた日本特有の水処理装置です。日本は1955年頃から高度経済成長期に入りましたが、経済成長が進む中で、みなさまもご存じのように、同時期にイタイイタイ病や水俣病と言われる健康被害(公害)が見られ始め、水質汚濁を原因とする社会問題が多く出てきました。
日本政府としても水環境に関しては規制しながら整備している段階であり、1971年には水質汚濁防止法、1983年には浄化槽法などの法律ができました。このように整備されて現在の日本の水環境があるため、規制は非常に重要であると言えます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【現地の状況】
大亀:我々が現在展開している国々の現状をご紹介します。16ページから19ページにインド、パキスタン、ケニア、バングラデシュの写真を記載していますが、かなりゴミもあり、川が汚れている状況です。このような水環境を改善していくという思いを持って取り組んでいます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【現地の状況 排水基準】
大亀:各国において環境規制がまったくないというわけではありません。スライドには左からバングラデシュ、ケニア、インドの排水基準の表を載せています。このような基準・規制を設けている国も多いです。
ただし、我々が営業活動を行う現地のスタッフや政府関係者と業務において話す中で把握していることとしては、規制が15年以上前に設けられたものであったり、排水基準が日本と比べてもかなり厳しすぎる部分があったりします。そのため、規制を設けているにもかかわらず、水環境の整備が行われていない状況があります。
そのような課題を解決するために、我々は浄化槽の製品を売り込むだけでなく、維持管理も行います。また、各国の政府や自治体に足を運び、先ほどお話ししたような浄化槽の歴史を踏まえて、水環境の規制作りや環境規制の重要性をご説明しながら、規制の整備がしっかりと進むように対話を進めています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開 代理店網】
大亀:こちらが、我々の浄化槽の海外での販売ネットワークです。現在の代理店網構築の状況として、浄化槽を販売する各国の代理店は31社あり、販売代理店を設けている国は9ヶ国あります。
浄化槽を海外で作る生産拠点は、現在4ヶ国にあります。中国、インドネシア、インド、スリランカで、中国とインドには2箇所、浄化槽の生産拠点を持っています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開 インド・スリランカ】
大亀:現在注力しているインドの工場に関してご説明します。もともと2019年から現地のプラスチック製品を生産しているパートナーと組んで、浄化槽の委託生産工場として生産を進めてきました。今年は月産20台から月産30台へと生産設備の増強を実施して、インド国内の需要に応えるために生産能力を拡大しています。
今年11月に落成式も行いましたが、浄化槽の自社製造工場の建設が完了しました。生産能力としては現在月産30台で、将来的には月産60台を目指す規模の工場です。
坂本:浄化槽を見て、比較的大きいと感じました。大きさにより異なる部分もあると思いますが、1台の料金はどのくらいなのでしょうか?
大亀:サイズによっても大きく変わってきますが、一番小さいもので言うと50万円以下のものから、大きいもので言うと数百万円まであります。規模に関しても、浄化槽を組み合わせることによってサイズ、処理能力、処理水量が変わってきます。プラントは処理水量によってかなり変わってくるため、数百万円から数千万円規模の工事案件になることもあります。
坂本:わかりました。インドに新工場を設立したとのことですが、こちらの現在の稼働状況と、立ち上がりの状況を教えていただきたいと思います。
大亀:先ほどもお話ししましたが、新工場は11月4日に落成式を行っており、国内の役員も含めて式に参加しました。ハリアナ州という場所に自社工場を立ち上げたのですが、落成式には200人ほど現地の方々が参加し、州知事にもお越しいただいてお話しいただいたような落成式となりました。
さまざまな説明会で、今年9月から出荷が行えるとお話ししていましたが、建設の遅れ等も少し発生しており、今年中には浄化槽の初出荷が行えるような状況です。設備に関しては現在入荷しながら進めています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開 インド・スリランカ】
大亀:スリランカの製造拠点の概要です。スリランカに関しては、今年7月に国としての破産宣告もありました。国の債務整理状況や、次期大統領や首相などの政権の動向を注視しながらではありますが、営業活動を進める中で、現地のビジネス環境としてはあまり大きな問題なく進んでいます。
今年10月には小型浄化槽の組み立て工場の建設が完了しており、すでに製品の出荷を開始できている状況になっています。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開】
大亀:海外展開については、昨年末で14.9億円という規模であり、全体の売上高に占める構成比は3.9パーセントでした。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【海外展開】
大亀:将来的には、2025年に売上高40億円の規模を目指して進めていきます。
2. 成長戦略 / 環境機器関連事業 【取り組み背景 SDGs】
大亀:創業から社会貢献・環境貢献を目指して事業を進めてきていますが、昨今のSDGsやESG投資という後押しもあって、海外展開においては、水環境の整備を進めています。特に6番の「安心な水とトイレを世界中に」という目標の達成を目指して進めていきたいと思っています。
2. 成長戦略 / 再生可能エネルギー関連事業
大亀:成長戦略の1つである再生可能エネルギー関連事業についてご説明します。冒頭でご説明したとおり、この事業に関しては、子会社の株式会社ダイキアクシス・サステイナブル・パワーが主導となって進めています。基本理念として、「社会全体の低炭素化実現に向けた取組に貢献し、持続可能な地球環境の実現を目指す」という理念を持って取り組んでいます。
詳細な事業としては、固定価格買取制度(FIT)による太陽光・風力発電の売電事業、太陽光発電施設・プラントの企画・施行・販売・保守、バイオディーゼル燃料の製造および製造プラントの販売・維持管理、水熱処理装置の設計・販売があります。
太陽光・風力・カーボンニュートラルディーゼルオイルなどのさまざまな再生エネルギーの発電・電源をもとに顧客に対して最適ミックスな提案を行い、お客さまのあらゆるニーズに応えていくことを、この事業の中で進めていきたいと思っています。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【太陽光発電事業】
大亀:現在の具体的な取り組みについて、太陽光発電事業に関しては、ホームセンターDCMの店舗屋根を有効活用してFIT用の太陽光発電を行っています。現在、130サイトを持っており、年間売上高で7.5億円、売上総利益で4.3億円規模の事業を展開しています。
再生可能エネルギー関連事業に関しては、M&Aを通じてシナジー効果を発揮させるため、昨年10月にサンエイエコホーム社を子会社化しています。サンエイエコホーム社が保有する既設野立の太陽光発電プラント23ヶ所をもとに、シナジー効果を発揮させ、太陽光発電事業を成長させていく取り組みを行っています。
坂本:バイオマスを含めていろいろな再生可能エネルギー関連事業がありますが、その中では、やはり太陽光が一番ボリュームが出ると思っています。FITは基本的に買い取り価格がかなり下がってしまい、新規で始めるのはなかなか難しいため、今後サンエイエコホーム社のようなかたちでM&Aを行っていくのでしょうか?
大亀:おっしゃるとおり、FIT制度の売電価格は低下もしていますし、積極的に今後増やし続けられるものではないと認識しています。そのため、ポストFITとして当社が太陽光設備を所有し、その設備で売電した電力を需要家に販売していく、PPAモデルというビジネスモデルへの取り組みを進めています。
今後、事業として成長していくためには、やはり購買力や、施工の技術力を持っている会社のM&Aや、協力業者とのネットワークを確立しながら対応可能な範囲を拡大していく取り組みを行っていきます。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【風力発電事業】
大亀:風力発電事業についてご説明します。小形風力のFIT売電事業に取り組んでおり、2022年度に関しては10サイトを新たに開発し、今22サイトが稼働している状況です。ゆくゆくは70サイトを目標にしています。
国産の中形機開発への参画についてもリリースしているとおりですが、2021年より開始し、リコーとゼファーとの3社共同で、純日本産の風力発電機を開発しながら、来年4月頃を目処に、販売開始ができるような開発を進めています。
2. 成長戦略 / 再エネ事業【バイオディーゼル事業】
大亀:バイオディーゼル燃料の事業に関してご説明します。低炭素化の実現だけではなく、我々がメインとしている水処理の事業にも関連する事業です。
水汚染には食用油が関連するため、水を汚染する油は事前に回収しエネルギーに変換する事業として、当社では2002年から愛媛県で始めています。精製するためのプラントを愛媛県松山市に構え、家庭や事業所から排出される使用済みの天ぷら油を回収・精製し、軽油の代替燃料としてすでにトラックやバスで使われています。
もともとは愛媛県の自社プラントでのみ行っていた事業ですが、昨今はバイオディーゼル燃料の需要がかなり増えており、関東エリアでの需要増加もあるため、今まさに関東エリアでの事業拡大を計画しています。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【連結業績推移】
大亀:業績についてご説明します。スライドは2012年からの業績を表しており、年々右肩上がりでおおむね成長してきていますが、2019年と2020年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、少し凹んでいます。2021年と2022年については、売上高を伸ばしていこうと考えています。利益率に関しては、経常利益率がここ数年は約3.5パーセントで推移しています。
坂本:経常利益率が若干落ち込んでいる理由を教えてください。
大亀:海外展開した事業の基盤作りのため、販管費が先行している状況が一番大きいと思います。コロナ禍によって浄化槽の需要は増えていますが、インドネシアからインドに送る際など、新型コロナウイルス感染症の影響で海上輸送費がかなり高騰しているため、ここ数年の利益率に影響していると考えています。
坂本:今期は住宅機器関連事業がかなり伸びていると思いますが、今後もこのペースで伸びていくのか、もしくは特需があったのか、見通しを教えていただければと思います。
大亀:住宅機器関連事業に関しては年々商材・商圏を伸ばしています。現在は愛媛県など中四国中心の事業になっていますが、関東や関西にも営業所・支店を持っていますので、今後は商材・商圏を拡大するために、M&Aを中心に事業を拡大する取り組みや企画を行っていきます。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【2021年12月期決算概要総括】
大亀:昨年末の決算概要です。連結売上高は378億円で、前期比109パーセントです。連結営業利益は11.1億円で、前期比107パーセントで推移しています。
3. 業績概要 / 経営成績の概況【2022年通期業績予想】
大亀:今年度の通期の業績予想です。連結売上高は400億円で、前期比105パーセントです。連結営業利益は11.5億円で、ほぼ前期比100パーセントで据え置きとしています。据え置きとしている原因は、従業員のモチベーションを勘案し今年度は全社員を対象にベースアップを実施した影響が一番大きく、前期比に対して横ばいの予想を立てています。
4. 株主還元
大亀:株主還元については、現在年間24円配当としています。株主のみなさまに対して、利益還元を行うことが最も重要であると考えていますので、今後も株主のみなさまへの安定的な利益還元および会社の継続的な成長が実現できる範囲で考えています。
増井:配当性向というよりは安定配当に重きを置いているように見えますが、イメージは合っているでしょうか?
大亀:おっしゃるとおり、株主さまに対して安定した利益還元に重きを置いています。今後も利益をさらに伸ばしていくことが一番重要ですので、生産性を向上しながら利益が増えれば、さらに利益を還元していくことも考えています。
4. 株主還元
大亀:株主優待は、ポイントによって商品と交換ができるプレミアム優待倶楽部を導入していますので、ご参考ください。
質疑応答:国内ビジネスの拡張や新規事業の予定について
坂本:「今後の国内におけるビジネスの拡張計画や、新規事業の予定について教えてください」というご質問です。
大亀:国内の事業に関しては、環境機器関連事業が成長を進めてきた結果、数字も右肩上がりに伸びています。浄化槽は市場が減少していますが、その中でも産業排水や工場排水の事業に注力しており、新たな製品の開発や商圏、お客さまの開拓を進めています。
住宅機器関連事業は中四国中心の事業のため、関東や関西に商圏を拡大しながら、扱う商材も広げ、M&Aを通して成長していく取り組みを行っています。再生可能エネルギー事業についてもさまざまなエネルギー電源がありますが、M&Aや我々の持っているマンパワーを中心に成長させていきます。
新規事業に関しては、さまざまな開拓を行っています。ベンチャー企業とのタイアップやアクセラレータープログラムなども行い、いろいろな事業を考えながら取り組みを行っている最中です。
質疑応答:排水処理システムについて
坂本:「排水処理のシステムは、どの程度までの規模が対応可能なのでしょうか?」というご質問です。おそらく、浄化槽の範囲についてのご質問だと思います。
大亀:ご質問の意図がどのあたりにあるのかが難しいところです。我々の対応できるところで大きなものですと、国単位の大型中央処理施設などになります。
坂本:浄化槽を使わない施設になってしまうということですね。
大亀:そうですね。難しいです。
坂本:御社は、どちらかというと浄化槽を使うものが中心になっており、規模が大きいと下水処理施設のようなかたちになるということですよね。
大亀:はい、そうですね。
坂本:お答えとしては、おそらく浄化槽が使える範囲というところが正しいかと思うのですが。
大亀:我々のターゲットとしては、小型から中型のサイズ感になります。浄化槽で言うと、一番小さいものは5人家族が住むような一戸建て住宅の水処理ができる装置で、そこから徐々に、大きい商業施設などで対応できるようなサイズまでになります。
加えて、工場排水や産業排水という場面では、食品工場など1つの工場の生活排水や産業排水を処理できるような工場単位の規模になります。
質疑応答:浄化槽の寿命とメンテナンスについて
坂本:私も興味があるのですが、「浄化槽の寿命を教えてください。また、メンテナンスは必要なのでしょうか?」というご質問です。
大亀:浄化槽の製品寿命に関しては、20年から30年もちます。素材はFRPというガラス素材と樹脂を混ぜ合わせたプラスチックです。20年から30年の耐久性があるということで営業活動でもご説明しています。実績としては、50年前に納入した浄化槽が今でも動いていますので、FRPの素材・性質の強さはけっこうあると思います。
メンテナンスに関しては、国内に浄化槽法という法律があり、その中で年に1回メンテナンスをしないといけないことが決まっています。浄化槽の中に汚泥が溜まってくるため、その汚泥を引き抜かないといけません。
坂本:そのあたりのお仕事は御社で対応されるのでしょうか?
大亀:地域に浄化槽のメンテナンス業者がいますので、我々は管理を行うのみであり実際の作業については携わっていません。
質疑応答:公営水道へのかかわりについて
増井:「公営水道のプロジェクトファイナンスは、御社のビジネスと関係ありますか?」というご質問です。これはコンソーシアムなどの話だと思います。
坂本:ビジネスとしては下水のほうが多いとお話がありましたが、公営水道ですので、おそらく上水について御社でどのくらい関わっているのかの質問だと思います。上水のビジネスについても絡めて教えてください。
大亀:公営水道のプロジェクトに関しては、ほぼ携わらないような規模です。唯一、愛媛県では団地の専用水道を管理していますが、それは特別な案件としてお話をいただき、取り組みました。
我々が行っている、地下水を処理して飲料水を販売する事業に関しては、水処理・下水処理と似ており、一施設の飲料水を提供するシステムです。基本的には、病院の施設やスポーツジム、温浴施設などでプラントを提供しているようなサイズ感です。
質疑応答:海外ビジネスについて
坂本:海外ビジネスは自治体から受注するかたちなのでしょうか? 日本政府の補助があり環境を整備するものなのか、もしくは現地企業や一般家庭が御社に発注するようなかたちなのか教えてください。
大亀:海外での販売先としては、政府と民間どちらもありますし、割合としては難しいところですが、民間のほうが多いものの、半分ずつくらいでお考えいただくとよいかと思います。
政府に関してはオンサイトで処理できることもあり、展開している国々は水がかなり不足している状況です。浄化槽で処理した水を再利用するプロジェクトを政府にはメリットとして理解し、導入いただいている状況です。
民間に関しても、途上国でも環境意識の高いお客さまが増えてきています。代理店やパートナーを通じた営業を進めて販売ができており、引き合いもどんどん増えてきています。
質疑応答:水メジャーとの関連について
増井:水メジャーにはフランスのヴェオリアなどがありますが、そのような企業とかかわったり競合したりなど、関連は一切ないのでしょうか?
大亀:現在、競合などはしていないと考えていますし、今のところは競合のお話もありません。水メジャーが携わるのは、国や一自治体の大型の中央処理施設だと思っています。我々は小型のサイズ感がターゲットですので、バッティングすることはないと考えています。