先週のFOMCで政策金利の引き上げと年内のテーパリング(量的金融緩和縮小)開始が決定されました。足元では為替市場に対する影響は限定的ですが、ドルインデックスはFOMC前後で大きく上下し、為替市場はFOMC後の方向性が明確に表れていない状況となっています。

先週の為替動向振り返り

先週の為替市場は、13~14日に開催されたFOMCへの注目一色の週となりました。ただし、そこで発表された0.25%の利上げは既に織り込み済みであり、年内の開始が明言されたテーパリングも市場に対する目先のインパクトは少なく、FOMC直後の値動きはそれほど大きなものになりませんでした。

しかしながらFOMC後の15日からドルが上昇し、ドル/円は円安方向に。FOMC直後に108円台にまで下落していたドル/円は15~16日と上昇を続け111円台に達しました。16日の晩には下落しましたが、それでも110円台後半で週の取引を終え、週足は陽線で終了しています。

なお、15~16日には日銀政策決定会合も開催されましたが、金融政策に変更はなく、為替市場に対する影響はほとんどありませんでした。

ドルインデックスの乱高下

FOMCを境にドル/円は円高→円安に大きく揺れ動きましたが、その値動きはドルインデックスを見ると一目瞭然です。

ドルインデックスは14日のFOMC前の小売売上高の数値発表(予想より悪化)を契機に大きく下落を開始。その後FOMCの利上げ発表により大きく上昇し、ほぼ下落のスタート地点にまで回復しました。

さらに翌15日のロンドン時間から再び上昇を開始して先週の最高値をわずかに更新しましたが、その後再び下落。最終的には14日の小売売上高の発表前の水準に戻っており、ドルインデックスの乱高下は各ドルストレートの通貨ペアを大きく振り回すことになりました。

今週の見通し

コミー前FBI長官の議会証言からFOMCへと、2週続けてイベント週となった為替市場でしたが、今週は為替市場に大きな影響を与える可能性のあるイベントは予定されていません。

今週の為替市場を考える際は、今後のドルインデックスの値動きをどのように見るかがポイントになります。

大きく動いたものの結局14日の小売売上高やFOMC前の水準にまで戻っているドルインデックスですが、チャートを見ると下落トレンドの中のレンジ相場となっており、レンジ相場をどのタイミングで上下いずれにブレイクするのかが最大の注目点です。

個別の通貨ペアでは、ドル/円は先々週の高値を超えた水準に位置し、いったん111円付近のレンジ相場の下限に取りついた状態です。

また、ユーロ/ドルは先々週の高値と安値の両者を先週更新しており、非常に判断が難しい状況です。ただし、高値を更新したとはいえ1.1300が非常に強いサポート&レジスタンスとなっていることは確認されました。今週以降に上下いずれの価格を更新するか、非常に注目されます。

ユーロ/ドルの動き

一方で、FOMCの金利引き上げに関係なく値があまり動かなかったのがアメリカの株式市場です。ナスダック指数はピークアウトの感はありますが、ダウ平均は高値を超え、また日経平均も16日終値は20,000円まであと一歩まで回復しており、地合い自体は悪くありません。

為替市場の方向を占う上で、FOMCの金利引き上げ等の影響がいずれ必ず生じる株式市場は、今後より注意深く見ていく必要があると考えます。

まとめ

先週はFOMCに注目が集まりましたが、蓋を開けて見ればほぼ事前の予想通りの内容ばかりで金融市場に対してそれほど影響は生じませんでした。

しかし、利上げおよびテーパリングは企業収支や金融市場に影響を与えるため、今後は今回の決定を為替市場はどのようなスピード感で織り込んでいくのかを株式市場の行方とともにフォローすべきと考えます。

まずは、先週乱高下が続いたドルインデックスが今週は安値と高値いずれの価格を更新していくのかという点に注目し、為替市場を見守りたいと思います。

LIMO編集部