将来いくら公的年金がもらえるのか、現役世代の年収がどのように公的年金に反映するのかを把握している人はどのくらいいるのでしょうか。
はたらく世代にとって、納めている厚生年金保険料や国民年金保険料の月収に占める割合は大きなものです。
現代の日本の高齢化社会や人口減少、経済状況などを考えると、その保険料が老後どのくらいで返ってくるのか、おそらく今の公的年金受給者よりも減額されるだろうと予想する方は多いことでしょう。
しかし公的年金の減額はすでに実施されており、事実、2022年4月より、公的年金の受給額が0.4%減額となりました。
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出所:日本年金機構「令和4年4月分からの年金額等について」
そこで今回は、老後の収入の軸となる「厚生年金」に焦点を当て、現在厚生年金を30万円もらっている高額受給者の現役の頃の給料についてみていきたいと思います。
【注目記事】【年金】みんな「厚生年金と国民年金」は本当は月いくらもらっているのか
1. 厚生年金「月30万円」の高額受給者はどのくらいいるのか
厚生労働省が発表した「令和2年度 厚生年金保険国民年金事業の概況」をベースに、まずは厚生年金の平均月額の受給者数を1万円のレンジで見ていきましょう。
1.1 厚生年金の平均月額
全体:平均年金月額:14万4366円
- 男性:平均年金月額:16万4742円
- 女性:平均年金月額:10万3808円
※国民年金の金額を含む
1.2 厚生年金の月額階級別の受給者数
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出所:厚生労働省「「令和2年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、LIMO編集部作成
- 1万円未満:10万511人
- 1万円以上~2万円未満:1万8955人
- 2万円以上~3万円未満:6万6662人
- 3万円以上~4万円未満:11万9711人
- 4万円以上~5万円未満:12万5655人
- 5万円以上~6万円未満:17万627人
- 6万円以上~7万円未満:40万1175人
- 7万円以上~8万円未満:69万4015人
- 8万円以上~9万円未満:93万4792人
- 9万円以上~10万円未満:112万5260人
- 10万円以上~11万円未満:111万9158人
- 11万円以上~12万円未満:101万8423人
- 12万円以上~13万円未満:92万6094人
- 13万円以上~14万円未満:89万7027人
- 14万円以上~15万円未満:91万3347人
- 15万円以上~16万円未満:94万5950人
- 16万円以上~17万円未満:99万4107人
- 17万円以上~18万円未満:102万4472人
- 18万円以上~19万円未満:99万4193人
- 19万円以上~20万円未満:91万6505人
- 20万円以上~21万円未満:78万1979人
- 21万円以上~22万円未満:60万7141人
- 22万円以上~23万円未満:42万5171人
- 23万円以上~24万円未満:28万9599人
- 24万円以上~25万円未満:19万4014人
- 25万円以上~26万円未満:12万3614人
- 26万円以上~27万円未満:7万6292人
- 27万円以上~28万円未満:4万5063人
- 28万円以上~29万円未満:2万2949人
- 29万円以上~30万円未満:1万951人
- 30万円以上~:1万6721人
こちらのデータによると、厚生年金を月30万円以上受給している人は1万6721人で割合にして、全体の0.1%、1000人に1人という結果です。
では、この人達は、現役時代どのくらいの収入を得ていたかみていきましょう。
2. 厚生年金はどのように計算されるのか
受給額が30万円である人の収入を考察する前に、厚生年金の受給額がどのように計算されるのかを説明します。
厚生年金は、加入期間や報酬額に応じて納めた保険料により、受給できる金額が変化します。
厚生年金の年金額(報酬比例部分)の計算式は以下の通りです。
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出所:日本年金機構「令和4年度版 老齢年金ガイド」
(1)平成15年3月以前=平均標準報酬月額×7.125/1000×平成15年3月以前の月数
(2)平成15年4月以後=平均標準報酬額×5.481/1000×平成15年4月以後の月数
(1)+(2)=厚生年金の年金額(報酬比例部分)
※7.125/1000および5.481/1,000は、昭和21(1946)年4月2日以後生まれの人の乗率
平均標準報酬月額は「月給の平均額」のことで、平均標準報酬額は「月給と賞与を合わせて12で割った額」です。
3. 厚生年金「月30万円」の高額受給者は現役でいくらの報酬だったのか
それでは、厚生年金を30万円以上受給している人の報酬額について、平均標準報酬額のみを使って考察したいと思います。
3.1 <条件>
老齢基礎年金(国民年金)の満額:78万円
厚生年金:40年間加入
厚生年金の報酬比例部分=360万円(月30万円)-78万円(国民年金部分)=282万円
平均標準報酬額×5.481/1000×480月=282万円
平均標準報酬額=約107万円
107万円×12=1284万円
この計算では、年収が約1284万円以上の場合、厚生年金の月の受給額が30万円になるとわかります。
しかし、厚生年金の保険料には上限が設けられています。
現状、日本に月額30万円以上を受給している人がいるのは事実であるものの、今の現役世代が厚生年金を月30万円受け取るのは、難しいと思われます。
公的年金とは別に老後の生活を安定させるための準備を早めに始める必要がありそうです。
4. 厚生年金だけに頼らない自助努力を
目安受給額を知るには、日本年金ネットが運営する「ねんきんネット」や厚生労働省の公的年金シミュレーターがおすすめです。
早めに受給額をつかむことで、公的年金以外にいくら準備すれば良いか目標額の目安がわかります。
目標金額にむけて資産形成をする上で大切なことは「お金に働いてもらうこと」すなわち「資産運用」です。
まずは毎月の給与から少しずつ貯金することから始め、ある程度貯蓄ができたら余裕資金の部分で月々の積立て投資を始めてみることが老後の資産形成の第一歩となります。
インターネットや本など今は色々な情報が飛び交っていますが、自分自身が理解できないまま元本保証ではないリスク性商品を持つことは大変危険です。
その金融商品が自分のお財布事情や家族環境、リスク許容度に合っているか判断する必要があります。
投資は元本保証ではありませんが、長期積立てすることにより時間を味方につけてリスクを軽減させることが可能になります。
自分自身の将来資金のために、一度じっくりとマネープランについて考える時間をつくり、余裕をもってゆとりある老後をむかえる準備を始めましょう。
参考資料
田中 友梨
