繰り上げ返済と住宅ローン控除、優先すべきはどっち?

繰り上げ返済は早めに実施した方が、将来の利息軽減効果は大きいです。

しかしながら、住宅ローン控除の控除期間は10年間(改正後13年間)であるため、ローン残高が多い方が、控除される所得税額は大きくなります。

繰り上げ返済を行って元金(ローン残高)を減らしてしまうと、受けられる控除が少なくなります。どちらを優先すべきかは、しっかりと検討する必要があります。

住宅ローン控除が適用されなくなる期間まで待つべきなのか

住宅ローン控除をフルに活用したいと考えている人は、住宅ローン控除の適用期間が終わるまで、繰り上げ返済を待った方が得策です。

ただ、その間も利息の負担は発生します。利息の軽減効果と住宅ローン控除による減税効果、どちらがお得になるかは、しっかりとシュミレーションを行うと良いでしょう。

繰り上げ返済による利息軽減と住宅ローン控除の減税効果の比較例

金利の異なる住宅ローンで、5年後に繰り上げ返済した場合と、住宅ローン控除適用後に繰り上げ返済を行った場合のシュミレーションは下表のとおりです。

※借入額3000万円、返済期間35年(全期間固定)にて、1月から住宅ローンを開始
 控除期間13年、繰り上げ返済は期間短縮型にて実施

筆者作成

金利が高ければ繰り上げ返済の方が得策

金利の違いによって、どちらが得かは異なります。金利が低ければ住宅ローン控除を優先、金利が高ければ繰り上げ返済を優先するのが得策です。

金利が0.5%の住宅ローンの場合

5年後に繰り上げ返済を行うよりも、住宅ローン控除をフルに使った後に繰り上げ返済を行った方が、軽減できる金額が大きくなります。

金利が1.5%の住宅ローンの場合

5年後に繰り上げ返済を行った方が、利息軽減額が大幅に下がるため、住宅ローン控除適用後に繰り上げ返済するよりも軽減できる金額が大きくなります。