先週はコミー前FBI長官の議会証言、欧州中央銀行(ECB)ドラギ総裁の会見、英国総選挙の3大イベントがあったものの、為替市場ではさほど大きな動きはありませんでした。しかし、今週も米連邦公開市場委員会(FOMC)という大きなイベントが控えています。

先週末の9日にはナスダック市場が大きく値下がりしており、株式市場の潮目の変化の可能性も出ている中で金利引き上げが既定路線とみなされるFOMCを迎える今週の為替市場。ドル/円が先週の安値109円台前半を割れて、108円台に突入するかどうかがポイントとなります。

先週の為替動向振り返り

先週は8日にコミー前FBI長官の議会証言、ECBドラギ総裁の会見、英総選挙の3大イベントがあったため、8日以降に大きな値動きが予想されていました。

しかし、英総選挙で保守党が過半数割れに追い込まれたものの、それほど大きなサプライズはなく、8日以降もポンドを除くと大きな値動きがありませんでした。投資家は肩透かしをくらった格好と言えるでしょう。

ドル/円は6日に110円を割れ109円台前半まで下落したもの、8日には反転し110円台を回復。先週の終値はほぼ先々週と同レベルとなっています。

一方、英総選挙の投開票の結果を受けたポンド市場は大荒れ。特にポンド/ドルは1時間で200pips以上下落し、それほど戻ることなく週の取引を終えています。

ポンド/ドル チャート

下げが止まらない原油価格(WTI)

先週動きを見せたのは原油市場(WTI)です。

既に5月下旬から下落を開始していた原油価格ですが、6月5日に節目価格の50ドルを割れた後、7日には大きな下落に見舞われて48ドル台に突入。その後も価格は上昇することなく48ドル台で先週の取引を終了しました。

価格は5月に付けた安値水準にまで下落しており、現状よりさらに下降すると下落のスピードが加速する可能性の高い価格水準に位置しています。

また、歴史的安値に沈んでいたVIX指数は9日に大きく上昇しました。歴史的安値ゾーンから抜け出したわけではありませんが、今後の金融市場のリスクの高まりを示唆するチャートパターンとなっています。

今週の見通し

今週の為替市場のポイントは2点あります。1点目は9日に大きく下落したナスダック市場の影響、2点目は13日-14日に開かれるFOMC後のイエレンFRB議長の声明です。

まず、ナスダック市場については、5月以降連日高値を更新していたナスダック市場に久しくなかった大きな下げが生じています。

先週9日にハイテク株中心のナスダック指数が100ポイント以上下落しましたが、これが単なる戻しに留まるのか、それとも本格的な下落の号砲なのか、要注意です。

ナスダック指数が本格下落となると、同指数の値動きに影響を受けることの多い日経平均株価も下落の可能性があり、また日経平均の下落を受けてドル/円も先週に付けた109円台前半を割れて108円台に突入するなど、さらなる下落の可能性が高まります。

次に、13日-14日の日程で開催されるFOMCでは利上げが予想されています。

既に市場は利上げを織り込み済みですが、14日早朝(日本時間)に予定されているFOMC後のイエレンFRB議長の声明の内容次第では、為替市場が非常に大きく動く可能性がありますので十分な注意が必要となります。

なお、市場への影響は限られると見られますが、15日-16日には日銀金融政策決定会合も予定されています。

今週はFOMCでの利上げという、織り込み済みではあっても先週以上に大きなイベントが控えており、市場が大きく動く契機となりうる可能性があります。タイミングを合わせるように、ナスダックが大きく下げ始めているため、株式市場の動向にも十分な注意を払いたい週となります。

まとめ

今週の大きなイベントであるFOMCでは利上げが確実視されています。一方、9日のナスダック市場大幅安の影響は現段階ではまだ読めませんが、これまで一本調子で上げ続けてきたナスダック市場であり、いったん下がり始めると値動きが軽いだけに一気に下落することもあるので注意が必要です。

また、日経平均はナスダック市場が下がる時に連動傾向にあるため、日経平均・ドル/円市場も十分な注意が必要となります。今週の為替市場を探るためには、FOMCや株式市場と言った様々な方面に留意する必要があると考えます。

LIMO編集部