日経平均が2万円に回復し値固め中
日経平均が2万円台を回復しました。2017年6月2日に2万円台に乗せて終わってから連日2万円台に絡む値動きをしています。前回2万円台をつけていたのは2015年12月ごろで、その後2016年6月には1万5千円割れを経験しました。それから1年でよく2万円まで戻ったなあという印象です。
2015年は4-8月に2万円台で推移し、その夏場にはあと一息で2万1千円というところまで上昇していました。こう見ると、今回の2万円台乗せも通過点に過ぎず、もう少し上昇するのではないかと期待を抱かせます。
ちなみに、リーマンショック前の2007年には1万8千円台までしか上昇していませんでした。その前の2万円台は2000年の2-4月まで遡らなければなりません。こう見ると、今回の2万円台回復は、相場上昇のマイルストーンとして記憶されるべきだと思われます。
しかし、盛り上がりに欠けるのではないか?
このように、日経平均が2万円台を回復し、値固めをしつつあることは良いニュースだと思いますが、今ひとつ盛り上がりに欠ける気がしてなりません。メディアを見ても、2万円が通過点に過ぎずまだまだ上がるという論調は一部の識者に限られていたように思います。
非常にクールに見れば「それがどうした」となりますが、せめて2万円奪還をお祝いするくらいの雰囲気が醸し出されても良いのではないでしょうか。近隣国でのミサイル問題など地政学リスクが高いことも確かにあります。それにしても、少しさびしい気がしてなりません。
個人投資家の売り越し姿勢は変わらず
日本取引所グループの発表した2017年5月第5週の投資部門別売買動向を見ても、国内投資家、それも個人投資家のクールな反応が確認されます。日経平均が2万円を奪還した5月29日-6月2日の現物株式の売買動向を見ると、海外投資家が+4,282億円買い越し(9週連続)の一方、個人投資家は▲3,217億円の売り越し(2週連続)となりました。
年初からの累計を見ると、個人投資家が▲1兆6,853億円の売り越し、投信が▲8,533億円の売り越し、信託銀行が▲6,483億円の売り越しに対して、海外投資家が+7,160億円の買い越し、事業法人が+4,978億円の買い越しとなっています。ちなみにこの間の最大の買い手は日銀の+2兆5,565億円になります。
個人投資家の方と話をしてみると、「ここから買いたい銘柄があまりない」という意見を耳にします。いったん現金化して、無理せず様子を見るという個人投資家の慎重な投資スタンスが続いているようです。
海外投資家は為替でも儲けている
このように、株価上昇に実感が伴わないのはいくつかの理由がありそうです。
第1に、海外投資家は円高でも儲けていますが個人投資家にはその実感がないという事実です。
日経平均は2016年末から2017年6月2日終値まで+6%上昇しましたが、この間ドル円相場は6%円高ドル安になっています。
したがって、ドルが原資産の海外投資家(で為替ヘッジをしていないと仮定)からすると円建ての日経平均のリターンの2倍のリターンを出すことができたことになります。約半年で2桁のリターンが出れば悪くないでしょう。投資余力が増え、さらに買い増ししてきても不思議ではありません。
これに対して、国内の投資家には円高分はあまり恩恵が感じられません。物価がそれだけ下がり、購買力が高まればよいのですがそうなっていません。しかも個人投資家は3月に1回、高値掴みをしかかりました。「羹に懲りてなますを吹く」状況にあるのでしょう。