受験生にとって最後の追い込みの季節に突入する時期になりました。様々な受験がある中、21世紀前後から中学受験の選択肢を広げたのが公立中高一貫校です。

ちょうど教育界隈がゆとり教育で揺れていた時代、中学受験する児童がほとんどいなかった地方都市でも公立中高一貫校が次々に誕生し、全国的に中学受験の裾野を広げる要因にもなりました。

各自治体が力を注いでいる点や、地域の2番手3番手の高校を中高一貫校化するケースが多いという安心感がある点。また公立なので教育費が抑えられる、コストパフォーマンスが高いと言われ、人気を集めています。

公立ということで、本当にコスパが高いのでしょうか。今回は、全国各地に存在する公立中高一貫校について取り上げます。

全国に広がる公立中高一貫校

公立中高一貫校が誕生したのは1999(平成11)年に遡ります。

その後21世紀に入ると全国に広がっていきます。東京都にも公立中高一貫校が2005(平成17)年に誕生し、2022年度の公立中高一貫校の数は137校(連携型除く)まで広がっています。

連携型や併設型も含め、中高一貫校は増加中1/3

連携型や併設型も含め、中高一貫校は増加中

出所:文部科学省「平成25年度 高等学校教育に関する推進状況について1」

ゆとり教育への不信感から、中学受験を検討する家庭が増えたタイミングで登場した公立中高一貫校。

「私立中高一貫校より学費が安い」「自治体が力を入れている」と教育熱心な家庭にとって魅力的に映ったのは言うまでもありません。とくに中学受験が浸透していない地方では、画期的な出来事となりました。

学区の公立中学に進学することが当たり前であり、私立中学や国立大学附属中を受験するのは極々わずかという状況が一変したのです。

公立中高一貫校の誕生で大都市圏だけでなく、教育に関心の強い家庭を中心に中学受験が身近なものになっていきました。

さらに、教育産業もターゲット層が中学生だけでなく「中学受験する小学生」が増えたことは大きく、大々的に合格者数や公立中高一貫校に強いと宣伝する塾も出現し、現在に至ります。

適性検査という馴染みのない試験

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stockt0_0/shutterstock.com

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筆者が塾で仕事をしている時、近隣地域に公立中高一貫校が開校することになりました。第一期生として試験に臨む小学6年生の生徒を指導をする際、生徒も私も戸惑ったのが「適性検査」です。

公立中高一貫校では個別の科目ではなく「適性検査」と呼ばれる科目を越えた問題が課されます。公立中高一貫校を受ける場合は「受検生」と表現されるのもそのためです。

適性検査には作文も含まれていたり、面接も学校によって個別面接、集団面接と異なり対策はかなりハードでした。

適性検査の問題は大問ひとつに社会や理科、算数や国語が入り混じる複合的な問題が出されます。そうすることで、受検生の総合力を見ることができます。

今では当たり前の入試形式ですが、親世代にはほとんど馴染みがありません。

また、総合的な学力の底上げが求められるため、苦手科目に集中して特訓すれば合格できるとは限らないという難しさがあります。

学校により「理系問題が多い」といった傾向の違いもあるため、家庭で親が対策を練り勉強をみてあげるのは簡単ではなく、ノウハウのある塾へ通う子ども達も多いです。

「公立」中高一貫校とはいえ勉強していなければ受からない

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metamorworks/shutterstock.com

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学区の中学と同じように公立ですが、入試や面接を経て合否を決めるため勉強をしっかりしている児童が受けます。また、学校ごとに明確な教育方針を掲げており、学校の特徴も異なります。

受検を考える場合、私立中学と同様に「子どもに合うかどうか」を見極めることが大切です。

また、適性検査に関しても、小学校で学ぶ教科をミックスした問題が出題されていましたが、英語が教科化となった現在は国語、算数、理科、社会だけでなく英語も加えている中学があります。

適性検査の問題は文章量も多く、読むスピードも求められます。多種多様な形式の問題で、前年度と形式が異なることも珍しくありません。

初見の問題を適切に読み取り、集中して時間内に解いていく力をつけなければ太刀打ちできないのです。普段からしっかり勉強して本番に備え、どんな問題でも解けるにはそれ相応の学力が必要です。

首都圏などの難関私立中学ほど偏差値が高いわけではありませんが、公立中高一貫校を目指す子ども達も同じように日頃からしっかり勉強していないと、合格を掴み取ることができません。

「公立中高一貫校=コスパ高い」とは言い難い

公立中高一貫校の多くは、元々進学校だった高校に中学を新設した形をとっています。必然的に大学進学を希望する家庭の子が受けるため、枠を巡りハイレベルな争いになります。

合格を勝ち取るために通塾する子も多く、合格者を多く輩出している塾にはデータが蓄積され「この成績くらいなら合格する確率は高い」という具体的な数字も集まります。

こうしたデータは魅力的であり、受検を考えている世帯では入塾を検討したり実際に通ったりします。家でコツコツ勉強する方が合う子もいますが、同じ目標を持った子ども達の中で切磋琢磨する方が力が伸びる子もいます。

塾通いをすれば、当然教育費が膨らむため「公立中高一貫校だから安く済む」とは言い難いです。そして、塾に通っていれば確実に合格する保証もありません。

さらに、修学旅行や研修旅行先が海外というケースも多いため、普通の公立学校と全く同じ学費で済むという感覚は持たないようにしましょう。

私立中学に比べれば入学金などもなく安いけれど、合格を目指すには親のサポートはもちろんのこと塾や家庭教師などに投資をしそれなりのお金もかかるのが実情です。

「コストパフォーマンスが高い」と軽い気持ちで受検を検討せず、お金のことも考えながら「本当に挑戦させてもいいか」を話し合ってみてください。


参考資料

中山 まち子