「女子のどこがキライなの?」
「ルールを守れないとこ」

男子同士には、これだけは言ってはいけない暗黙のルールがあり、ケンカして負けそうになっても、このルールは絶対に破らないのだそうだ。

しかし、女子は負けそうになると何でも言う。ケンカの原因とは全く関係のないことでも持ち出して攻めてくる。「だから、ケンカする気もなくなるんだ」と、口を尖らせた。

「おまけに負けそうになると、陰で悪口言いまくって、関係のない女子まで巻き込む。こっちが忘れたころになって、集団でかかってくるんだ……、女子とはなるべく口をきかないようにしてる。女子はほんとにズルイよ」

男子の言い分は、尽きることなく続く。女子のいない学校に行きたい一心で、男子私立中学校をめざして受験勉強にいそしむ毎日だと付け加えた。中学受験の動機に「女子のいない学校に行きたい」というのは、そう珍しいことはないそうだ。

一方で無事、男子中学校に入学した男子からは、「女子がいないから、とりあえず『学校行きたくない』ってのはなくなったな」という感想が聞こえてくる。

「オレ一生、女いなくていいよ」

女子の話題で盛り上がる光景もないではない。男子校に通う高校生だ。ようやく健全な姿に出合えたようで、ホッとした気分になる。だが少し踏み込んでみると、耳を疑うような高校生活があった。

「女に関心のあるフリをしていないと、同性愛と間違われるから女の話をしてるだけだよ。誘われてから断ると、カドが立つ。女はキライじゃないけど、好きでもないし、めんどくさいってのはあるな」

「それで困らない?」

相手は、高校生。オトナの質問を向けてみる。

「オレ一生女いなくていいよ。二次元の女で十分だもん」

この男子高校生も、有名大学に多数の合格者を出す高偏差値私立高校に通っている。しかもジャニーズばりのイケメン。モテないはずはない。

見えないところで、少子化問題の新たな原因は着実に浸潤しているようだ。

間宮 書子